臨機応答・変問自在(森博嗣著) | 本のブログ

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普通の人は読まないだろうと思う本を記す。
あとは、Linuxと中古PCなどの話題。

本書は集英社新書2001年刊行のもの。

この著者は、小説家にして大学教授、彼の講義では学生に講義に関する様々な質問を提出させてそれを評価するという手法を取っていた。

そして、その中で少数あったユニークな質問と森助教授による回答を集めたものが本書。

とても、面白い本なのだ。

私は読んでいて、当時20代程度で、現在40歳程度の大学生の(当時の)考え方が伺えるのではないか・・・と、自説に狂喜したが、よく考えなくとも、この程度のサンプル数で、全体の5%と本書でも書かれている少数では、とても偏った意見にしかならないと気づいた。

ただし、とても気になったことはある、それは、森氏がたびたび言っている、自身は(講義では)教えているのではない・・・ということだ。

それは、こういう風に言葉が変わることもある・・・(わざわざ)お金を払って大学に来ているのに何故休講を喜ぶのか?

そう、学ぶのは自分なのだということ!

 

自分も大学時代はそんな(休講が好きな)甘えた考え方だったし、自分の時代は、未だ終身雇用の風潮が残っていたから、企業は、新卒者を時間をかけて社内教育できていた、いわゆる、実践的な補講を(就職後に)行うことができた時代・・・だったのだなと、今は振り返ることができる。

しかし、森助教授のころは、それが崩壊してしまった時代であり、今での慣例(そんなのあるのかな)に従った人々は就職に難儀した。

冷徹な発言はあるが、その実は正しかったとも言えるだろう。

本書は、そこそこ売れたらしい(現在読んでいる「臨機応答・変問自在2」で多少触れている)、しかし、皮肉にも、当時はただただ面白い本の裏には、現在の予兆も紛れ込んでいた・・・のかもしれない。

いわく、栄華を誇る初代に対して、できの悪い2代目は、積み上げた宝を使い果たし、その後の3代目は・・・現在の若い人たちなのだろうか?

丁度、17年も続いたというマイナス金利が解消されたというニュースが入ったところだ、もしかすると、日本国内の新たな段階へと、スイッチが切り替えられた可能性はある。

それが、良くなろうと、悪くなろうと、その状況を受け入れる覚悟があれば、凌ぐことも可能だろう、私は、その片鱗しか伺えないが、戦争、そして戦後の一時期のような状況からすれば、どう見ても今は天国のような気がする。