新幹線の車内販売 | 奈良藤ノ木台 小児科開業医の独り言

奈良藤ノ木台 小児科開業医の独り言

にいのみ小児科・・・2007年4月開業。



このブログでは小児科医として日々感じることや、

一人の母親としての日常を綴っていきます。

今日、通勤途中に聴いていたラジオで、

心にのこるお話があったので、

紹介しますね。


インタビューを受けていたのが、

東北新幹線で、車内販売をしている売り子さん。

その彼女、

普通の販売員の、2,3倍を売り上げる、

カリスマ販売員なんだそうな。


しゃべり方は、

とてもそんなカリスマにみえない、

少し、東北弁のまじった、

ぼくとつで、ゆっくりしたほんわか系の話し方。

彼女が、なぜそんなに売上が多いのか、

その秘密とは??


きいてみると、

いろいろ工夫しておられるのが分かる。

まず、画期的なのが、

普通は、ワゴンを押して、販売するところを、

後ろ向きで、お客様の顔がみえるように、

ワゴンを引いて販売している、ということ。


当然、押す方が力がいらず、

楽なのだが・・・


そうやって、引くことで、

お客様と目が合い、

呼びかけられやすくなる。

また、声をかけられずに通り過ぎて行ったあとでも、

呼び止めやすくなる。

なるほど、確かに・・・


その方法に気がついたのは、

なにも初めからではなかったそうだ。

たまたま、新人のころ、

ワゴンをお客様の足にぶつけてしまい、

苦情をうけて、

悩んだ挙句、

そうだ、押せば、ワゴンが前を歩くお客様に当たることはあっても、

引けば、自分の体がお客様に当たるだけだから、

痛さもましなはず、

と思って、試してみたら、

おもわぬ効用があって、

このスタイルになったのです、と話しておられた。


で、引くスタイルにすれば、

自分の前のお客様は全部見渡せるうえに、

窓ガラスに、後ろのお客様も映るので、

全体を見渡せることがわかったのです、

それで、自分の背後のお客様の動きも把握できるんですねえ、と。


おお、これぞ、まさしくカリスマ!!


彼女の工夫は、それだけではなかった。

いかに往復回数をふやすかを考えて、

まず歩くスピードを上げてみた、

そしたら、逆に売り上げは減っちゃったんです、

次に、アナウンスを早口にしてみた、

それも、だめでした。

で、どの部分を短縮できるかを考えたら、

結局、自分がおつりを用意する時間だ、って

気がついたんです。

で、ポケットに、

片方には500円玉と10円玉。

もう片方には100円玉と50円玉。

触覚で、硬貨はポケットの中でも区別できます。

で、たとえばビールなら290円なので、

お客様が札の方に手を出したとたんに、

即座に710円を用意しておくんです。

お客様が、どんな種類のお札をだされても、

即座に710円はだせるように・・・



いまや、彼女は、

後輩の指導をする立場だけでなく、

経営者の人たちにも話しをしてください、と、

ひっぱりだこだとか。


わかります。

彼女の仕事に対する、その態度は、

本当にすばらしいし、

学ぶべき点が多い。

人間って、どんな仕事についていても、

どんな立場であっても、

その位置の中で、

日々、工夫をし、

まわりを少しでもいい状態にしていくように、

地道に努力していく、

その気持ちがあるのとないのとで、

大違いだとおもうのです。


日々の買い物で行く、スーパーのレジの人でも、

無駄な動きがなく、てきぱきしていて、

しかも、親切な声かけをしてくれる人がいて、

とても気持ちがいいので、

その人がいる時は、

かならずそのレジにならんでしまう。

そんな人って、いませんか?


たとえば、専業主婦でも、

日々のお弁当やお料理を、

ちょっとした工夫で、みんなが喜ぶように

努力を続ける人。

PTAの仕事であったとしても、

地道に、まわりをサポートして、

自分のすべきことをこなしていく人。

たとえ、スポットライトの当たらない、

ちいさな自分の立ち位置であっても、

死ぬまで、そんな努力を重ねていく人に、

わたしはなりたい、と思います。