6.【信用と信頼】 | 始まりはアドラー心理学

始まりはアドラー心理学

より、楽しい日々を送るために、
より、ハッピーな人生を過ごすためには、
どうすればいいのでしょうか?
そのための方法論や実践論を考えています。
ちょっと難しい内容かも知れませんが、
みなさんのお役に立てるような情報を伝えていきたいと思います。

前回は、「安易に他人を信じない方がいい」という内容でした。
ただ、現実には、信じざるを得ない状況が多々あります。
何故なら、他人の本心を窺い知る事など出来ません。
僕らには、他人の心を読む事は不可能だからです。
ならば、最終的には、
信じるか、信じないか、のいずれかを選ぶしかなくなりますねうーん

アドラー心理学では、信用と信頼を明確に区別しています。
どちらも「信じる」事に違いはありませんが、
内容的には大きな違いがあります。

主に『信用』はビジネスの世界で適用されます。
いわゆる、見返りや報酬を前提としてあり、
互いにギブ&テイクの関係を維持するために必要なものとなります。

例えれば、企業が商材を仕入れたり、銀行からお金を借りる時は、
後々の支払いや返済が不可欠となります。
売る側も貸す側も、
お金を払ってくれる事を前提に相手側を信じる訳です。

もし、期日が来ても支払いや返済がなかった場合、
借りた側は信用を失います。
銀行ならば、取引をやめて、
二度とお金を貸してくれなくなると同時に、
相手側の資産を差し押さえ、
それを売る事で無理矢理返済させます。
この『差し押さえ(抵当)』は、
銀行がお金を貸す際に、相手側に付ける典型的な条件となります。
また、もう一つ典型的な条件は、

保証人(借金を肩代わりする人)の選定です。
相手側に、このような厳しい条件を認めさせる事で、
ようやく信じてくれるのです。

対人関係でも、様々な場面で『信用』が適用されます。
例えば、男性が女性に愛の告白ドキドキをして交際を申し込んだ時、
条件が付けられる場合があります。
最も典型的な条件は「浮気したら別れる」でしょう。
これが承諾されれば、
浮気される心配がなくなり、安心して付き合う事が出来ます。
でも、実際は、何も条件を付けずに交際を始め、
いざ浮気をされてから「裏切られた」と怒る場合がほとんどですね。
世の中では、『浮気は悪』というのが暗黙のルールになっています。
暗黙だから、つまり何もいわずに信じるのです。

以上のように『信用』とは、打算的で儚いものです。
相手が自分の意図に反した場合、簡単に消えてしまうのですから。
確かに、リスクを回避するために何かしらの条件を付けるのは、
致し方ないとは思います。
ただ、全ての対人関係が信用だけでしか成り立たないとしたら、
あまりにも寂し過ぎると思いませんかはてなマーク

一方、信頼は、そう簡単には消えません。
何故なら、信じる事に何の条件もないからです。
つまり、これが銀行ならば、「抵当や保証人を抜きにしてお金を貸し、
返さない場合も一切取り立てない」…となります。
恋愛の場合も同様で、
相手が浮気しようが、裏切ろうが、無条件に受け容れ、
絶対に見捨てたりしない事になりますね。
つまり、リスクから回避するために条件を付けるのが信用ならば、
リスクを想定しながら無条件で受け容れるのが信頼となる訳です。
これは、まさに無償の愛と同じではありませんかはてなマーク

以上からすると、僕らの対人関係で信頼出来る相手というのは、
かなり少ないと思われます。
多くの人は、親や兄弟などの家族、
そして一部の親友だけしか該当しないかも知れません。
やはり、男女関係ともなると難しいでしょう。
相手が浮気や不倫に走る可能性を予め想定し、
それでも無条件で許す事を覚悟出来てる人って、
どれだけいるんでしょうかはてなマーク

やはり、信頼とは、極めて深い愛と勇気があってこそ、
初めて成立するものだと解ります。
ならば、「信じる」という言葉を、
そう簡単に口に出来なくなりますね。

しかし、アドラーはいいます。
僕らの対人関係には、信頼が不可欠だと。
この辺については、次回に説明しますバイバイ