ベジフルインフォネット65号 好きな柑橘類はありますか | 日本野菜ソムリエ協会認定 「野菜ソムリエコミュニティ新潟」

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夏ミカンや八朔、いよかんなど、どちらかと言えば酸っぱさを感じる柑橘類が

主役だったような気がしますが、最近では農業試験場や生産者の努力により

甘みの強いものなど食べやすい品種が多く開発され店頭に並ぶようになりました。
今回はそんな柑橘類の中からいくつかご紹介することにします。

 

 

 

大将季(だいまさき)

 

この時期を代表する柑橘類の一つが「デコポン」ですが、

見た目は「デコポン」にそっくりなのが鹿児島県産の大将季です。
ご存知のように「デコポン」は商標名で品種名は「不知火(しらぬい)」です。

この「不知火」の枝変わりとして鹿児島県の農園で発見され、

2006年に品種登録されたのが「大将季」です。
糖度は計測していませんが15度以上はありそうで、

とても甘味があり酸味とのバランスがとれていて食味は良好です。

 

 

 

 

あすみ

 

 

「あすみ」は2014年に品種登録された新しい柑橘で、

「カンキツ興津46号」と「はるみ」を掛け合わせ農研機構が育成したものです。
今回、お話を聞かせていただいたのは香川県の生産者の方ですが、

香川県ではまだ8軒しか生産者がいないため全国に出荷するには至っていませんが、

生産量を増やし多くの方に食べていただけるようにしたいと言っていました。
8軒の生産者のうち7軒が野菜生産からの転作というのも特徴のように思いますが、

施設栽培に向いているからでしょうか。
甘味が強く果汁もたっぷり、じょうのう膜も薄く食べやすいのが特徴かと思います。

オレンジのような香りが食味をさらに良くしているように感じました。

 

 

 

はまさき


「麗紅(れいこう)」という品種のうち糖度が12.5度以上で

見た目も優れたものを「はまさき」としてJAからつがブランド化して出荷しています。
「清美」と「アンコール」を掛け合わせ、さらにマーコットオレンジを交配してできたものです。
「はまさき」は甘味が強く、酸味も少し感じられ、そのバランスが良いように感じられます。

じょうのう膜(薄皮)は薄く口当たりも大変良いものでした。

 

 

 

 

津の輝き


「津の輝き」は「清美」と「興津早生みかん」を掛け合わせ、

さらに「アンコール」を交配しできたものです。

「はまさき」と似たような感じを受けますが、若干オレンジ色が濃く出ているように思えます。

 

 

青果業界ではこれらの柑橘類を雑柑(ざっかん)としてひとくくりにすることがありますが、

もはや雑柑とは言えないでしょう。
この時期出回る柑橘類をいくつか挙げてみましたが、

みなさんはお気に入りの柑橘類はありますか。

 

お好きな柑橘類を楽しんでください。

 

 

 

 

 

 

種の少ないきんかん「ぷちまる」

 

 

62号で宮崎県産きんかん「たまたま」を取り上げましたが、

きんかんを食べる時に種が気になるという方も少なくないと思います。
種無しきんかんの育成は当然ことながら行われており、

「ナガミキンカン」に「4倍体ニンポウキンカン」を交配・育成した3倍体のキンカンです。

2002年に種苗法に基づく品種登録がなされました。
上記の種無しきんかんの育成法は種無しスイカと同じですね。

 

 

スイカの染色体は2倍体で、これにコルヒチン処理をして4倍体とし、

この4倍体と2倍体を交配しできたのが3倍体の種無しスイカです。

 


「ぷちまる」を10個試食しましたが、3個は種が一つ入っており、

1個には種が3個入っていました。

このことから種無しではなく、「ぷちまる」は種が少ないきんかん」ということでしょうか。
きんかん独特の苦みは少なく、適度に甘味が強く丸かじりしても食味は良好でした。
産地である徳島県内の一般的スーパーでは宮崎県産と一緒に販売されていましたが、

宮崎県産きんかん「たまたま」は398円、種が少ない徳島県産は298円と

まだブランド化には至っていないようでした。

 

 

 

(野菜ソムリエプロ 木村純一)