平成30年1月11日
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
衆議院 議長 大島 理森 殿
参議院 議長 伊達 忠一 殿
最高裁判所長官 大谷 直人 殿
横浜の教育を考える会 代表 湯澤 甲雄
横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222
首相年頭会見関連「憲法のあるべき姿は普遍の原理の提示にあり」(その2)
1月9日付掲題(その1)に次いで、ここに(その2)を追加して具申します。
(その1)4、第4層から述べさせていただきます。
4、第4層<我が国の憲法は、国際人権条約が定める個人の義務を有する個人と、国民の基本的人権を有する国民との間の法秩序並びに個人の憲法尊重、擁護義務を定める条文が欠落していますので、憲法改正時に追加して補う必要があります。>
国際人権条約は、その法秩序を次のように規定しています。
「 Realizing that the individual(everyone=個人), having duties
to other individuals (家族や共同体を構成する全ての人々=国民)and to the community to which he belongs, is under a
responsibility to strive for the promotion and observance
of the rights recognized in the present Covenant(基本的人権)」
(意訳・個人の権利を有する個人は、家族や共同体の人々即ち国民の基本的人権を有する国民に対して尽くす責務を負い、常に国民の基本的人権の増進、擁護に努める責任を負っていることを認識すること)
簡単に言えば、国際人権条約は個人も基本的人権(=「主権」或いは「国体」のこと)の増進・擁護に努める義務を負う、即ち個人も国防の義務を負うとされているということです。
ところが我が国の憲法学界の通説は、第3層で述べたように<個人の権利が基本的人権であるとして、「個人の権利尊重」の概念を捏造し、個人から自由を剥奪し、全体主義に誘導させる>と同時に、第4層で述べるように国防の義務をも無いものとしています。こんな通説は、同条約の条文には皆目見当たりません。
なお、憲法第99条(憲法尊重擁護義務)に、国民や個人の義務が欠落しているのは、亡国の被占領地に国籍を有する人は存在せず、勿論主権者たる国民も存在せず、個人たる「土人」しか居ないと占領軍が認定していたからです。しかし、我々日本人は一貫して独立国人の誇りをもって、国際法を採り入れた憲法解釈を行っていくべきです。
5、結び 憲法制定当時の我が国は軍隊の無条件降伏が盛られたポツダム宣言の占領下にあり、これを憲法条文とするには、憲法の国民に対する保障文にはなり得ないので国民の一方的宣言文の形にして、第9条が憲法条文として挿入されました。従って憲法の保障文ではないので、公務員の国民に奉仕する義務は発生しておらず、公務員には第9条(戦争放棄)を尊重し擁護する義務がありません。しかし第9条以外の憲法条文については、公務員は依然として憲法尊重擁護義務があります。
翻って、憲法第11条の国民の基本的人権を永久に安全保障する憲法上の義務を履行し自衛するために、奉仕者たる公務員はそれに必要な戦力を予め十分に保持する憲法上の責務があります。憲法が、国民の基本的人権を永久に保障する義務を履行する目的をもって、憲法上国民に対する永久の奉仕義務を負う公務員(自衛隊員)をして、個別的又は集団的自衛の固有の権利を行使させる行為の目的は、憲法第9条1項の戦争目的とは全く異なります。
そこで、「憲法第11条の国民の基本的人権の安全を永久に保障する目的は、憲法第9条1項の目的とは異なることを明確にする」ために、憲法第11条に下記第2項の条文を新設することを提案いたします。
記
「国民は、永久に安全保障された国民の基本的人権を脅かす外国の行為に抗して武力を整備すること、並びに固有の権利である自衛権を武力をもって行使することができる」
繰り返しになりますが、憲法9条は「戦争放棄を目的とする国民の宣言文」にして、公務員が行政権を行使した場合憲法違反になります。
但し本条文はこのまま据え置くこととします。
憲法第11条2項は「国民の基本的人権の永久の安全を目的とする憲法の安全保障文」です。目的に沿った行政権をキチンと行使します。
なぜならば、憲法9条1項の目的と異なりますので、9条2項の制約
を受けないからです。以上