国連人権理事会訪日報告書対する政府反論について(提議)(修正分) | 日本世論の会 本部

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平成29年9月3日

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿

外務  大臣 河野 太郎 殿

内閣官房長官 菅  義偉 殿

 

日本世論の会神奈川支部 監事 湯澤 甲雄

横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222

               元銀行員 86歳

 

国連人権理事会訪日報告書対する政府反論について(提議)(修正分)

 

日本における「表現の自由」の現状を調査するために、国連人権理事会によって任命された特別報告者デービット・ケイ氏の訪日報告書が去る5月29日公表され、その要旨が5月30日産経新聞に報道されていました。報告書に対する日本政府の反論に対し、ケイ氏は「解釈の相違」として自らの誤りを認めていません。このまま放置したら、報告書が独り歩きして特に国内のメディアやNGOから報告書履行要求が高まり、これが海外に反響して、問題が蒸し返される恐れがあります。従って、政府反論について改めて国権の最高機関である国会決議を行って、国民の基本的人権と為し、不動の反論書として国連人権理事会へ送付し、禍根を断つことを提議します。

 なお、国連人権理事会特別報告者は、国際人権条約(社会権規約・自由権規約)に基づき任務を遂行することとされています。

 

ケイ氏の訪日報告書に関し、改めて国際人権条約と我が国の法制の視点から下記2点の意見をご参考までに述べさせていただきます。

1、放送メディアの自由と独立について

(1)個人(メディアを含む)の自由はこれを放置したら人々が自由を享受できなくなるので、国連は国連憲章に次いで高位の国際人権条約(社会権規約、自由権規約)の前文において、個人が自由を享受するための一定の条件を創設することとし、同条約3部に32条文が創設され保障されています。

   その32条文の個人の被保障権の内の一つが自由権規約第19条(個人の表現の自由)でありまして、憲法第21条に反映されています。

   また、同条約前文は「個人」と「家族、共同体、国民の構成員の全ての人々」との間に、後者の基本的人権を優先させる法秩序を設けています。

   < Realizing that the individual,(自由と権利を有する個人) having  duties to other individuals(基本的人権を有する家族、共同体、国民の構成員の全ての人々)and to the community to which he belongs, is under a responsibility to strive for the promotion and observance  of the rights recognized in the present Covenant(=基本的人権)>

 この法秩序を受けて自由権規約第19条3項に、この権利を行使するには自由民主主義を原理とする政治体制の核心的概念である国民の基本的人権を増進擁護する特別の義務及び責任を伴うとして、「表現の自由」には一定の制限を課することができるとされました。それが放送法第4条(国内放等の放送番組の編集等)であって、「放送における政治的公平性を求め、国の安全、公の秩序又は公衆の健康もしくは道徳の保護に資する」とする国民の基本的人権を保障する規定です。法律の違反者には、統治の基本秩序を壊乱した過度により一定の罰が科されることは当然です。これが国連の定める国際法であって、ケイ氏のいう「解釈の相違」は、ケイ氏自身の「基本的人権に対する国際法理解の誤り」がもたらしたものであると言えます。

 

(2)メディアばかりでなく事業者が国から独立することは空想論です。事業者は民法の規定に従って事業を行うことを定款に定め、認可されて法人となり事業が行われています。NGO法人も同然です。政府は法律の遵守を求め、法律に違反した事業者に事業の停止や法人解散を求めることができます。

 

2、歴史教育

  わが国の教育行政の目的は、自由民主主義国家の国民の育成を期して行うとされています。憲法に定める自由民主主義国家の至高の概念は、国民の基本的人権尊重です。その基本的人権について国際人権条約は「recognition of the inherent dignity and of the equal and inalienable rights of  all members of the human family is the foundation of freedom, justice and peace in the world,」と定めています。史実であるからとして「the inherent indignity and the unequal and alienation」を義務教育することは反自由・反正義・反平和の教育であり誤りです。それは際限のない恨みの感情を再生産させるからです。自由民主主義国家における歴史の義務教育は、優れて尊い基本的人権を教育するものであるべきと思います。以上

 

追記 自民党の会合に出席したケイ氏は、共産党の見解との近さを指摘されると「共産党には知り合いはいない」と抗弁し、「野党の人やマイノリティーの権利をどう守るかだ」と、同氏は強調したと伝えられています。

しかしケイ氏が日本滞在中に事実に立脚した調査を行ったと言われる先は、国連の人権理事会を梃に利用しながら、国連憲章や国際人権条約が志向する自由民主主義政治体制の構築、あるいは、国民の基本的人権の確立を妨害し、全体主義革命への野望持った先であることを、人権理事会や事務総長に伝える必要があります。(世界革命組織の一味?)

 

同時にケイ氏の意識は、上記1に記した< Realizing that the individual is under a responsibility to strive for the promotion

   and observance of the rights recognized in the present Covenant>

の法秩序が欠落していることを伝える必要があります。

 

以上