平成29年7月3日
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
内閣官房長官 菅 義偉 殿
横浜の教育を考える会 代表 湯澤 甲雄
横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222
憲法を補完する政令の発令について(提議)
我が国は、軍隊の無条件降伏と連合国軍の日本進駐を認めることを条件としてポツダム宣言を受諾し終戦しました。進駐した連合国軍は、トロイの馬の兵士のように、我が国の無条件降伏の証並びに占領軍政規則としての日本国憲法を作成して大日本帝国議会の議決を求め、我が国はこれを議決し事実上無条件降伏しました。沖縄は、連合国軍ではなく米国軍の占領地とされました。
日本国憲法前文1項に「自由民主主義を原理とする政治を国是とし、この原理に反する法律は一切排除する」と立憲されています。しかしその中身は、国土も国民も法的に存在しない従属国の憲法でありました。しかも国連憲章第77条には、国際信託統治制度により我が国土を永久に消滅させることができるようになっていました。また、国連憲章第107条には敵国条項があり、我が国の振舞によってはいつでも連合国軍が進駐できるという監視下に置かれました。
やがてサンフランシスコ平和条約や沖縄返還協定が締結され、領土が返還され、個別的集団的自衛の権利が認められ一応独立国となりました。しかし、我が国の独立国としての政治的動向には、近隣諸国から従軍慰安婦問題や南京大虐
殺問題等を含むFictionに基づく華夷秩序を押し付けられ、他国を尊重する立場に立たされ、あるいは国内左翼勢力から軍国主義や右翼の復活として国際的に喧伝され、その都度米国から政治的牽制が入り、我が国は常に敵国条項発動の
懸念から従属国憲法の改正を行うことができずに今日に至っています。
昨年、安倍総理とオバマ大統領との間に、主敵同士であった二国間に和解が漸く成立し、米国からの敵国条項発動を心配する必要がなくなりましたので、独立国となるための憲法改正に向けた環境が大幅に改善されました。
憲法改正は安倍総理のご判断のように一挙に行うことは難しいので、当面は先般の安倍総理が示したご方針に沿って進めることに賛成です。
しかしここで注意したいことは、現行憲法は自由民主主義の原理に照らすと、数多くの改正しなければならない箇所があり、憲法改正が終了するまでには相当年月要することが懸念されますので、ここに下記の提議を行う次第です。
記
国際人権条約は、国連憲章に次いで高位の国際法として、我が国はこれを昭和54年国会の議決を経て、批准しています。この条約は、憲法第98条2項に従い「これを誠実に遵守することを必要とする」ものでありますので、同条約の全部
または前文から第5条に至る主要部分のみについて、憲法第73条6項に基づく政令として発令し、自由民主主義の原理を確定することを提議いたします。
このようにしておけば、国会の憲法審査会の審査が国際人権条約或いは政令に基づき行われますので、改正作業の進捗に大いに役立つものと思います。
人権関係の用語は、微妙に意味を異にしますので、国際人権条約(社会権規約、自由権規約)等により以下に説明します。区別をキチンと身に着ければ、混同、混乱から脱出し、自由民主主義政治体制が見えてきます。一歩間違えれば、そこ
には全体主義がありますので、厳重に注意を要します。
1 「人権」は憲法、国際条約が制定される以前から成立している人間の権利の俗語です。憲法、国際条約に定められたものでなく、従ってすべての「人権」が必ずしも尊重又は保障の対象とされるものでは無いので注意を要します。
2 「国民の基本的人権」とは同条約は、家族や共同体の人々が歴史的に形成した尊い習俗や慈しみの心等で国によって認定されたものを帯した人々である国民が、国により尊重され保障される権利であると規定しています。=憲法第11条。「基本的人権認定法―仮称」を新設し、具体的体様を認定する必要があります。憲法の基本的人権は、至高の条文として国民の主権条文としながらも具体的体様を空白とし、主権無き隷属国民と規定しています。
3 「国民の基本権」とは、天賦の基本的自由を享受するために国が国民個人に条件として創設した「自由と権利」=憲法第12条、14条から40条。「自由と権利」は国民個人が不断の努力で保持し、濫用を慎み、公共団体が憲法11条と13条後段を保障する福祉のために常に使用する義務を負う義務条文。(なお文部科学省は、「自由と権利」を基本的人権と混然とさせたものが「国民の基本的人権」であるとして自由の無い「個人の権利尊重」という「全体主義政治概念」を捏造して、これを中学校公民教科書に掲載しています。
その傍ら文部科学省は、教育基本法第1条教育の目的「自由民主主義を原理とする国家の国民の育成」を排除して、「個人の権利尊重」の概念に基づく「一人一人を育成する教育」に換骨奪胎した教育基本法第17条の教育振興基本計画を新設し、閣議決定を経た後、地教行法を通じて全国の知事、教育長に対し教育行政責任を科し、「全体主義に基づき生徒を育成する公教育体制」を全国的に完成させました。刑法第193条(公務員職権濫用)適用の可否について調査を要します。)
4 マッカーサー憲法草案第12条の「Individuals」を「個人」とした重大な意図的誤訳があります。断固として憲法改正すべき点です。=第13条冒頭文
5 「個人の義務条文」を新設すること。同条約に全ての個人は、家族・共同体・国の人々に尽くす責務(Duty)と共に国民の基本的人権の増進擁護に努める責任(Responsibility)が常にある(国防義務を含む)と定めています。
上記によって、「人々の基本的人権が国によって尊重される自由民主主義を原理とする憲法」であると理解していた国民が、勝手な憲法解釈によって知らぬうちに、「個人の権利が尊重される自由の無い全体主義の憲法」に換骨奪胎されて
いたという現状を打破することができます。野党は換骨奪胎した憲法を護憲して、メディア、弁護士と共に個人の人権侵害或いは違憲と断じて内閣提出法案の悉くに反対してきていますが、今後与党は堂々と憲法の自由民主主義の原理に
基づく法秩序をもって野党の法令違反の行動を正せるようになります。
以上