聖徳太子の名前が「厩戸王」に変わる?文部科学省へパブリック・コメントを届けてください! | 日本世論の会 本部

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聖徳太子の名前が「厩戸王」に変わる?

(次期小中学校の学習指導要領を改訂)

文部科学省がパブリック・コメントを募集中 

皆さんぜひ反対のご意見を! 締め切りは3月15日

つくる会FAX通信

第403号 平成29年(2017年)2月21日(火)  

TEL 03-6912-0047 FAX 03-6912-0048 http://www.tsukurukai.com 

 

聖徳太子の名前を「厩戸王」に変えるな!

次期学習指導要領改訂案に対する緊急声明

文部科学省へパブリック・コメントを届けてください!

        

新しい歴史教科書をつくる会は、2月14日に文部科学省から発表された次期学習指導要領改訂案に対し、21日、下記の緊急声明を発表しました。そして同日、本声明は文部科学省が現在募集中のパブリック・コメントとして、同省に送付されました。

この案件は是が非でも阻止しなければなりません。会員ならびに支援者の皆様には、声明についてご理解の上、文部科学省へパブリック・コメントをお送りいただきますよう、何卒、ご協力をお願いいたします(パブリックコメントへの宛先は声明の最後をご覧ください)。

なお、今回の緊急声明は、改訂案の歴史的分野で「聖徳太子」の一点について指摘しておりますが、他にも歴史・公民それぞれに、懸念される部分があります。これらにつきましては、今後内容を精査し、会として改めて問題点を指摘いたします。

 

<緊急声明>

日本人の精神の支えをなす聖徳太子の名前を「厩戸王」に変えないで下さい!

-次期学習指導要領改訂案への「つくる会」のパブリック・コメント-

                                                      

平成29年2月21日

                           新しい歴史教科書をつくる会

 

 文部科学省は2月14日、次期学習指導要領の改訂案を公表しました。その中で、小中学校の歴史教育に関し、日本国民として決して見逃すことのできない重大な記述が含まれていることがわかりました。日本史上もっとも大切な人物として長年位置づけられてきた聖徳太子のその呼称を否定し、「厩戸王(うまやどのおう)」と呼ばせるという方針が書かれています。当会は文科省のこの改訂案に絶対反対であり、改訂案に対するパブリック・コメントとして、ここに当会の見解を発表します。

 

 (1)改めて説明するまでもありませんが、日本史上の聖徳太子(574~622)の事績は傑出しています。太子は冠位十二階と十七条憲法によって国家の仕組みを整備し、天皇を中心とする国づくりへ前進させました。中国大陸との外交では、「日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す」という文言で知られるように、中国の皇帝を中心とした華夷秩序から離脱する自立外交を展開しました。こうして聖徳太子はその後1世紀にわたる日本の古代国家建設の大きな方向付けをしたといえます。
 しかも、その影響は古代史のみにとどまりません。明治以降発行された紙幣の人物像として最も多く登場したのは聖徳太子です。このことが象徴するように、聖徳太子は日本人の精神の支えとなる人物であり、聖徳太子を日本史上最も重要な人物の一人と見ることは、近代日本の国民的合意でもあったのです。

 

 (2)学習指導要領の改訂案についての文科省の説明は、<「聖徳太子」は没後使われた呼称だが、伝記などで触れる機会が多く、人物に親しむ小学校で「聖徳太子(厩戸王)」、史実を学ぶ中学では「厩戸王(聖徳太子)」とする>(産経新聞2月15日付け)というものです。

 中学校の場合について聖徳太子の扱いの変化を確認すると、次のようになっています。いずれも、「3 内容の取扱い」という項目で記載されているものです。(以下、引用文中の下線は引用者による)

 ◇現行学習指導要領(平成20年)の記述

 <「律令国家の確立に至るまでの過程」については、聖徳太子の政治、大化の改新から律令国家の確立に至るまでの過程を、小学校での学習内容を活用して大きくとらえさせるようにすること>

 ◇改定学習指導要領(平成29年)の記述

 <「律令国家の確立に至るまでの過程」については、厩戸王(聖徳太子)の政治、大化の改新から律令国家の確立に至るまでの過程を、小学校での学習内容を活用して大きく捉えさせるようにすること>

 このように、現行版と改訂案ではほぼ同文であるのに、唐突にも、「聖徳太子」だけが「厩戸王(聖徳太子)」と変えられています。

 

 (3)なぜこのような改変がおこったのでしょうか。その根拠は、世紀のはざまに日本史学界の一部で唱えられた「聖徳太子虚構説」と呼ばれる学説にあります。しかし、これが学界の通説になったかといえば全くそのようなことはありません。「聖徳太子」という呼称の初出は確かに1世紀以上後のことですが、核に当たる「聖徳」という呼称は、太子の存命中から使われた複数の事例があることは、すでに明らかにされています。これは、

聖徳という最高の美称をもってたたえられる人物がその時代に確かに存在した

ことを示すものといえます。(詳細は高森明勅・つくる会理事による別稿を参照して下さい)

 そもそも、死後に使われた呼称だから使えないとすれば、教科書の人名の多くを書き換えなければならなくなります。そのことを無視して、聖徳太子の呼称だけを「厩戸王」にしようとするのは、聖徳太子がまさに日本国家のアイデンティティの基礎となってきたからこそ、それを否定しようとする動機が隠されていると推測せざるを得ません。聖徳太子虚構説が全く省みられなくなっている今日、突如として、学習指導要領によって全国の小中学生の歴史教育の現場に押しつけるとは、誠に驚くべきことと言わざるを得ません。

 聖徳太子の偉業はその名前と深く結びついてきたのであり、名前の否定は人物の否定に行き着きます。もし、この度の学習指導要領の改訂で「厩戸王」を強制することに成功すれば、

文科省は10年後の改訂では人物そのものを抹殺するであろうとも予想されます。

 学習指導要領では、歴史教育の目標として、「我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる」(中学社会の場合)と書かれています。聖徳太子を抹殺しようとする今回の改訂案は、この「目標」にも違反していると言わなければなりません。

 私達の主張は以上のとおりですが、この声明をお読みいただいたあなたに訴えます。どうか、3月15日まで行われる文科省募集のパブリック・コメントに応募して下さい。そして、<学習指導要領から日本史上の最も重要な人物である聖徳太子の名前を消さないでほしい。「厩戸王」の呼称の強制をやめ、現行の学習指導要領の記述に戻してほしい>という趣旨の明確なメッセージを届けて下さるようお願いいたします。

 

【パブリック・コメントの宛先】 

文科省のパブリック・コメントにネットで応募される方は、以下の<画面の意見提出フォームへ>をクリックし、ご意見を記入の上、送信して下さい。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000878&Mode=0

 

*上記アドレスのページに「意見公募要領」がありますので、必ずその要領に従って意見をお送りください。要領に沿っていない場合、無効になる恐れがあります。ご注意ください。