「内閣は現行憲法の解釈の誤りを正せ」(提議) | 日本世論の会 本部

日本世論の会 本部

各支部並びに会員相互の交流と広報を目的としています。

平成28年11月1日

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿

内閣官房長官 菅  義偉 殿

法務  大臣 金田 勝年 殿

文部科学大臣 松野 博一 殿

横浜の教育を考える会代表 湯澤 甲雄

横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222

 

「内閣は現行憲法の解釈の誤りを正せ」(提議)

 

1、はじめに

 掲題の提議は、衆議院憲法審査会が審査の対象とする「憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等」に係るものではありません。

「法務省設置法第二節 法務省の任務及び所掌事務 (任務) 第三条  法務省は、基本法

制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利擁護を図ることを任務とする。

(2)前項に定めるもののほか、法務省は、同項の任務に関連する特定の内閣の重要政策に

関する内閣の事務を助けることを任務とする。

(3)法務省は、前項の任務を遂行するに当たり、内閣官房を助けるものとする 」に係る提

議であります。

 法務省設置法に基づき内閣の職務として本提議のご検討を煩わしたくお願いに上がる次第です。

 

 次に、本提議の対象とした問題点について以下述べます。

昭和54年に国連憲章に次いで重要なCovenantsと称される国際法・国際人権条約(社会権

規約と自由権規約がある)を締結し、遵守を公約しました。この条約の締結により憲法改

正を要する問題や憲法解釈変更を要する問題が発生しましたが、何も行われていません。

本提議においては法務省設置法に基づき憲法解釈の変更を要する問題の内、現行憲法規定並びに国際人権条約の軌範・法秩序に対し明らかに違反する問題である<「基本的人権」と「自由と権利」の混同」>だけに絞り、且つ全国の中学校の約60%で使用されている東京書籍の中学校公民教科書に掲載された事例を引用しながら提議いたしたいと思います。

 

2、本提議において正すべき誤った憲法解釈<「基本的人権」と「自由と権利」の混同」>

事例<日本国憲法は、第3章「国民の権利及び義務」(10条~40条)において、「自由権」

「社会権」「参政権」「請求権」などの幅広い国民の基本的権利の保障を定めています。

第11条ではこれらの基本的権利を基本的人権と呼び、これを「侵すことのできない永久

の権利」として、現在および将来の国民に与えられると宣言しています。この基本的権利

の保障の根底にある考え方は、「個人の尊重」の思想であり(13条)、人間一人一人の人

格をかけがえのないものとして尊重するとともに、人格としての人間を平等に差別なく

尊重する思想です。>中学校公民教科書「東京書籍」20頁より引用。

事例<特に日本国憲法は、子どもに普通教育を受けさせる義務、勤労の義務、納税の義務の三つをあげています。>中学校公民教科書「東京書籍」52頁より引用。

 

3、提議

上記事例の憲法解釈を、現行憲法規定並びに憲法の最高法規となっている国際人権条約

に照合し書き直すと次の様になりますので、法務省として「基本法制の整備、法秩序の

維持、国民の権利擁護を図ることを任務とする」見地に立ち、憲法解釈(憲法改正ではな

い)を変更する提議を内閣に提出していただきたく、下記提議を致します。

<日本国憲法は、第3章「国民の権利及び義務」(10条~40条)において、日本国「国

民の要件(自決権)(10条)、「国民の基本的人権」(11条)、「個人の自由・権利保持義

務」(12条、14条から40条)、「国民の幸福追求権」(13条)などの幅広い国民の権利

と個人の義務の保障を定めています。

第11条では「国民の基本的人権」を「侵すことのできない永久の権利」として、現在

および将来の国民に与えられると定めています。

「国民の基本的人権」(11条)とは、家族やその共同体の人々(Individuals)や、人間

個人(Individual)が歴史的に形成した尊い習俗(多神教、先祖崇拝、伝統文化、道徳、

法律、領土、財産等)や人間愛に由来するもので国により認知されたものを言います。

(recognition of the inherent dignity and of the equal and inalienable rights

of all members of the human family is the foundation of freedom, justice

and peace in the world,    Recognizing that these rights derive from the

inherent dignity of the human person,)

 

「個人の自由・権利保持義務」(12条)は、人々が自由(Fundamental Freedom)を

享受するためには、人工的に創設された条件(if  conditions are created whereby

everyone may enjoy his—-rights)が必要であるとされているものにして、12条、14

条から40条に至る義務条文です。また、「個人の自由・権利保持義務」(12条)は、常

に公共の福祉に使用されなければなりません。

 

「生命・自由及び幸福追求等国民の安全保障に対する国民の権利については、公共の福

祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」(13条)とあ

り、この国民の権利に対して憲法は最大に尊重する義務を果たさなければなりません。

更には、国際人権条約により、自由・権利を保持する国民個人は、常に国民の基本的人

権を増進・擁護して安全を保障する義務があるとされています。(Realizing that the

individual, having duties to other individuals and to the community to which

he belongs, is under a responsibility to strive for the promotion and

observance of the rights recognized in the present Covenant,)

 

国政が法律に従って国民の基本的人権の増進・擁護や生命・自由及び幸福追求等のため

に、国民個人にその義務を果たさせることにより国民の安全が保障され、憲法第13条の

国の義務が履行されたことになり、ひいては国民個人が尊重されたことになります。

 なお、「特に日本国憲法は、子供に教育を受けさせる義務、勤労の義務、納税の義務の

三つをあげています」は、「日本国憲法は、第12条、第14条から40条に至る自由・権

利条文の全てが憲法に対する義務条文であります」と教科書の記述を変更すべきです。

 

4、誤った憲法解釈解消の効果

(1)基本的人権や法秩序が確立し、日本人の精神、魂が込められた憲法解釈が成立する。

(2)憲法と国際法が合致したものとなり、愛国心を備えた国際人の輩出の素地ができる。

(3)国民の国家防衛体制構築意識が昂揚する。(4)共産主義や反日勢力が排除される。

(5)憲法と行政諸法間の断絶が解消し、今後行政職は能動的に動ける。

(6)国家に生きる大きな望みを与える教育の道が開くので、有用な人材が輩出する一方いじ

   めがなくなる。教師も個人の権利に閉鎖された教育から脱し、誇りと希望が持てる。以上