<中学校公民教科書等における「国民を育成する教育措置請求」>(請願その2) | 日本世論の会 本部

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内閣総理大臣 安倍 晋三 殿

文部科学大臣 馳  浩  殿

     横浜の教育を考える会 代表 湯澤甲雄 

     横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222 

             85歳、無職(元東京銀行員)

 

  <中学校公民教科書等における「国民を育成する教育措置請求」>(請願その2

 

1、請願の趣旨

教育は、教育基本法第1条(教育の目的)に基づき憲法が国是と定める「自由民主主義国家の国民の育成」を期して法律の定めに従い行うとされています。憲法前文1項末尾に「これは(=自由民主主義は)人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令を排除する」とあるからです。

 請願1、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律第1条末尾「もって義務教育の充実を図ることを目的とする」を抹消し、<もって「自由民主主義国家の国民の

    育成を期した」義務教育の充実を図ることを目的とする>を挿入して法改正する措置を請求します。

 

請願2、中学校公民教科書全般について、<自由民主主義の原理を国際法化した国際人権条約(「自由権規約」と「社会権規約」)に則り記述を変更する>措置を請求します。

 請願3、文部科学省制定の教育振興基本計画(昭和25614日閣議決定)は、国民一人一人の意識改革教育を通じて、生徒を全体主義者に育成するように制定されています。「自由民主主義国家の国民の育成」という教育の目的が、全く記述されていません。全面的改訂を請願します。

 

請願4、文部科学省教育行政全般に、基本的人権という歴史的に形成された自由民主主義の国民の権利の概念を尊重せず、天賦の自由を保障せず、個人の自由と権利という条件として創造されて公共の福祉に使用する義務について、敢えてこれを権利に転 じて尊重し自由を抹殺、全体主義に誘導する傾向がみられます。省内の徹底的な行政改革を請願します。

2、請願の理由

中学校公民教科書育鵬社版63頁に<国民の義務「憲法は、―中略―、国民が国家の一員として果たさなければならない義務を定めています。子供に普通教育を受けさせる義務(26条)、勤労の義務(27条)、納税の義務(30条)の3つです。>とあります。因みに東京書籍版52頁にも同じような記述があります。全体主義に立脚するとこうなります。

ところが、自由民主主義の原理を国際法とした両規約三部には、「自由と権利」として規定された国民個人の義務は合計32条文あります。これを憲法条文に置き換えると、憲法第12条(自由と権利)と第14条(法の下の平等)から第40条(刑事補償)までの27条文までが義務条文です。明らかに教科書の記述に誤りがあります。

何故このような大きな違いが出るかと言えば、自由民主主義の原理に照らした場合と、全体主義の原理に照らした場合、即ち座標軸が基本的人権尊重になる場合と、個人の権利尊重となる場合とによって、権利が義務に変わり義務が権利に変わるからです。

従って、自由民主主義の原理を自由権規約、社会権規約によって正確に法制化する必要があるのです。法制化されていないために公民教科書や教育振興基本計画の様に、文部科学省行政当局によって教育行政全体を全体主義に誘導するように作為されてしまうのです。

 

なお参考までに自由民主主義の原理は、権利と義務を次の如く5層構造にしています。

1層、個人の自由(「日本国民は―中略―我が国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し―中略―この憲法を確定する」、不断の努力で保持する義務条文、憲法前文1項冒頭文参照、係争は、裁判所の中立公正な裁定に委ねて保障しています。)

 

2層、国民の自決権という国家形成の権利条文、(憲法第10条、両規約第1条参照)

 

3層、家族や共同体の人々が歴史的に形成した習俗、伝統、文化、道徳、法律、領土、財産、法律、人間愛等の具体的内容を国が認定したもの換言すると国家の体質即ち国体を基本的人権とし、憲法がこれを永久に保障即ち尊重するとした国民の権利条文(憲法103条文中至高のもの、憲法第11条、13条後段並びに両規約前文冒頭文、第21項、第5条参照)

 

4層、個人の自由と権利(無数にある自由を享受するために、創造された条件(Created Conditions)として27条文の「自由と権利」が創られ、個人が不断の努力で保持する義務条文(憲法第12条前段及び第14条から40条迄27条文、両規約前文中段と第三章参照)

 

5層、基本的人権と自由と権利の法秩序・軌範(自由と権利を帯する個人は、奉仕者たる公共団体が基本的人権を永久に保障する公共の福祉のために、常に自由と権利を利用する責任を負う国民の義務条文、即ち個人が常に基本的人権という国体のために尽くす義務を負うと定めています。憲法第12条後段及び両規約前文末尾参照)

 

 総じていえば、第3層と第5層をキチンと法制化することによって自由民主主義の原理に基づく教育行政が確立し、法制化しなければ全体主義の原理に基づく教育行政に誘導を許す結果をもたらすという憲法の構造になっています。以上