<中学校公民教科書における「国民を育成する教育措置請求」>(請願) | 日本世論の会 本部

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    平成28127

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿

文部科学大臣 馳  浩  殿

横浜の教育を考える会 代表 湯澤 甲雄  

横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222 

85歳、無職(元東京銀行員)

<中学校公民教科書における「国民を育成する教育措置請求」>(請願)

 

教育は、教育基本法第1条(教育の目的)に基づき憲法が国是と定める「自由民主主義国家の国民の育成」を期して法律の定めに従い行うとされています。

然るところ、現行中学校公民教科書育鵬社版第62頁には「個人の育成」を教育目的とすることについて次の記述があります。

<日本国憲法は、第3章「国民の権利及び義務」(10条から40条)において、「自由権」「社会権」「参政権」「請求権」などの幅広い国民の基本的権利の保障を定めています。

11条では、これらの基本的権利を基本的人権と呼び、これを「侵すことのできない永久の権利」として、現在及び将来の国民に与えられると宣言しています。この基本的権利の保障の根底にある考え方は、「個人の尊重」の思想であり(13条)、人間一人一人の人格をかけがえのないものとして尊重するとともに、人格としての人間を平等に差別なく尊重する思想です。>

 

上記育鵬社教科書の記述は、東京書籍版をはじめ全部の公民教科書に共通しています。

何が共通しているかと言えば、<「国民(私人=単数)の自由と権利」と「国民(公民=複数)の基本的人権」を同一視して、尊重される>ものとしていることです。しかしその法的根拠を国内法、国際法に探しても該当する法文は無く、結局、文部科学省がこのように捏造したものを、各教科書出版社が採り入れたと思わざるを得ません。

 因みに、日本国憲法第11条の「基本的人権」は国民に永久に保障即ち尊重されると規定する一方において、第12条の「自由と権利」は国民が不断の努力でこれを保持する義務があることを保障すると規定しており、両者は異なる次元のものとされています。更に12後段において「自由と権利」は「基本的人権」を永久に保障する公共団体の施策を含む公共の福祉のために使用されなければならない義務があるとして、両者は対極に在ると規定しています。従って憲法(10条から40条)の全部が「基本的人権」ではありません。

 

また国際法においても、憲法の最高法規となっている国際人権条約(自由権規約、社会権規約)の前文と第21項、2項は「基本的人権」と「自由と権利」を明白に区別し、両者間の法秩序をもキチンと定めています。

 「自由と権利」を行政が保障するのではなく尊重するものとして文部科学省が教科書をもって推進する教育は、自由民主主義の自由を否定する全体主義、共産主義に通じるものにして、自由民主主義を国是と定めている憲法前文1項に違反する教育であり廃止すべきです。

同条約は、基本的人権を「締約国の国民の家族や共同体の人々が、歴史的に紡いできた尊い習俗(custom)や法律(law)であり、慈愛の心」にして、国によって認知(recognitionされたもの<原文「recognition of the inherent dignity and of the equal and

inalienable rights of all members of the human family is the foundation of freedom,

justice and peace in the world」に5条を加えたもの>と規定しています。

文部科学大臣は憲法第11条の下に基本的人権の具体的内容を認定する法律を新たに制定し認定すること並びに、「自由を帯する私人(individual)は、基本的人権を帯する家族や共同体の人々(individuals)に対し及びその属する社会に対して義務を負うこと並びに基本的人権の増進及び擁護のために努める責任を有することを覚悟すること」<原文

Realizing that the individual, having duties to other individuals and to the

community to which he belongs, is under a responsibility to strive for the promotion

and observance of the rights recognized in the present Covenant,」>を定めた新たな法律の制定し国際的規範を採り入れ、これを国会と連帯して推進する責任を有する立場にあります。

斯くして、昭和21年日本国並びに国民に主権即ち基本的人権が認められない時代に制定された憲法の解釈が今日まで引きずられている戦後レジームからの脱却を図るため、先ずは教科書の内容の改訂を行い、「個人を育成する教育」から「国民を育成する教育」への転換を図るべきであります。

以上請願いたします。