「憲法改正について思うこと」(その3) | 日本世論の会 本部

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    平成271014

日本政策研究センター 伊藤哲夫 様

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  「憲法改正について思うこと」(その3

 副題・全体主義に占拠された教育行政

     左翼に仕掛けられた法務戦争に負けるな

 

全ての政治家、国会議員、公務員あるいは国民は、現行憲法前文1項の自由民主主義を原理とする政治を国是とする定めの通り、確たる目的をもって立法し行政し行動すべきであると考えます。現行憲法は、既に個人に自由を認める自由民主主義憲法であるにもかかわらず、現実の政治は個人の自由を曖昧にさせて認めない全体主義(共産主義、社会主義、社会民主主義、リベラル等、――自由を認めない程度の強いものから弱い順に並べている)に傾斜する憲法解釈が適用され、或いは立法が行われて、全体主義に曲げられた行政・行動が多くみられます。特に安倍内閣によりこの傾向は教育行政において強化されました。教育再生と逆の立法・行政が行われています。この曲げられた現状に対して、自由民主主義の原理の法的枠組みを定めた社会権規約、自由権規約(以下「国際規約」という)を適用し、或いはこれに則った法律をキチンと制定することによって、現実に行われている政治、行政の軌道を国是に載せる政策を憲法改正に先行させるべきであると考えます。この作業が終わった後に、平和条約締結により既に失効している占領軍政用の憲法条文の削除等を行うことによって、自由民主主義を原理とする憲法を完成させるべきであると考えます。

 

このような順序を踏まない状態で憲法改正を先行させた場合には、憲法と一般法の下に行われている行政との間の亀裂が決定的に深まり、間に挟まれた内閣が行政権執行不能に陥り、国家秩序が大混乱するだけでなく、改正された憲法が宙に浮いて改憲勢力が瓦解することが予想されます。

自由民主主義の法網を全体主義が通り抜けて全国の教育行政を支配してしまう法の穴を見つけて、その穴をふさぐ方法を列記したので、下記例1から例15をご参照ください。

憲法第26条により教育は法律の定めるところにより行われるとあり、その条文の下に教育の憲法として、日本国憲法の精神に則り教育基本法が制定されています。従って、教育基本法は、日本国憲法が国是として定める自由民主主義を原理とする政治の完成を目的として国民を育成する教育が行われなければならない明確な目的を有しています。

 

 文科省の国家公務員や地方の教育公務員は勿論地方の首長等教育行政に携わる全公務員が、憲法の精神を尊重、擁護する義務を全うする心をもって教育行政を行う限りにおいては、現行の教育基本法の条文に不足は無く法改正する必要もありません。

 ところが、教育に携わる公務員が、そもそも憲法の精神である自由民主主義の原理を遵守、尊重して行政を行うという綱紀を全く理解しておらず、更には、意図的に全体主義革命に誘う内乱行為を行う公務員の感化によって職場全体が占拠されていることから、教育基本法の規定は飴細工のように全体主義の法律解釈に姿、形が変えられています。(文部科学大臣の他に、行政改革担当大臣、法務大臣、国家公安大臣の連帯責任があると思います。)

教育行政関係公務員によって、勝手に法律解釈が変えられないようにするために、教育基本法に手当を要する箇所を以下に列記します。このような手当てを行って自由民主主義教育行政体制を固めた後に、憲法改正が検討されるべきと思料します。

                 記

1、教育基本法前文に「個人の尊厳を重んじ」とあります。「国際規約」の自由民主主義の原理には「個人の尊厳」と言う「個人が自由でないものを重んじる」概念は無く、「個人の自由を重んじ」に法改正すべきです。なお同原理によれば「尊厳」は、「家族と共同体の人人の固有の尊厳(inherent dignity)」換言すると「国民の人々の尊い習俗(custom)」に対して使われる言葉です。

 

2、第1条「国民の育成を期して」とあります。教育基本法は、前文規定にあるように「日本国憲法の精神に則り」制定されています。その日本国憲法は前文1項において、「自由民主主義を原理とする国家の形成を国是と定めています。」従って、第1条は「<自由民主主義国家の>国民の育成を期して」と、法改正を要します。

3、第2条「学問の自由を尊重しつつ」とあります。憲法並びに国際規約によれば、国が尊重する対象としているものは「国民の基本的人権」であって、「学問の自由」は「思想・良心の自由」同様に国民が不断の努力で保持する義務について国が保障している「自由と権利」の一つです。「学問の自由」は国が尊重する対象ではなく、国が保障する対象にして法の理解に誤りがあるので、これを削除する改正を要します。

 

4、第22項「個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし」とあります。「価値」とは、「その事物がどのくらい役に立つかの度合い」(大辞泉)であるので、何故それを国が尊重する意味があるのか、意味不明です。国際規約によれば、「個人」は国民共同体(国家)のために尽くすべき義務を負い、且つ常に国民の基本的人権の増進、擁護のために努める責務を負う」と規定しており、「個人」は尊重の対象としていません。自由民主主義の原理に反する規定は削除すべきです。「個人の尊重」は全体主義の用語です。

 

5、第25項「他国を尊重し」とあります。「他国を尊重する」ことは、昭和26年の平和条約により他国と同等となっているのであるから意味不明です。抹消すべきです。

   国際規約には、加盟国は全て同等の権利を持ち、他国の基本的人権を侵してはならないとする規定があります。「尊重」を濫用して我が国の自決権否定の企みを感じます。

6、第3条「国民一人一人が、自己の人格を磨き」とあります。「国民が自身の人格を磨き」と訂正すべきです。「一人一人」と個人レベルを強調する必要は全く無く、「一人一人」は全体主義を導入する布石となる字句であるので削除すべきです。又、同条末尾を「その成果を適切に生かすことのできる<自由民主主義>社会の実現が図られなければならない」と変更し、生涯学習の目的を明示する法改正を要します。

   更に、文部科学省では、「第3条、生涯学習の理念」を「教育全体を貫く基本的理念として位置付けることが適当と考える」(平成15320日中教審)を採り入れて、生涯学習政策局が教育行政実施の中心となっています。しかし教育基本法は、第1から第4条までを教育全体を貫く「教育の目的及び理念」と定めており、これは「教育の理念」と「生涯学習の理念」の法秩序を入れ替えた革命です。このため教育基本法が、「教育の実施に関する基本」の筆頭に挙げている「義務教育」を推進する初等中等教育局は、生涯学習政策局の後塵を拝する地位に下げられました。加えるに第1

   (教育の目的)に規定する「(自由民主主義国家の)国民の育成」ではなく、(教育の目的)に規定されていない「(全体主義国家の)一人一人を育成」する「教育振興基本計画」(平成25614日閣議決定)をでっち上げて、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律第1条の3」により全国の首長の権限を利用して、その法権力によって地方の教育委員会の教育の中立性を圧殺する体制を作っています。文科省が策定し閣議決定された全体主義教育が全国で行われています。このような国民不在の法体系は第一次・二次安倍内閣が制定したのであるから安倍内閣が始末をつけるべきです。

 

7、第52項「<自由民主主義>国家及び社会の形成者として必要とされる基本的素質を養うことを目的として行われるものとする」と法改正して、教育目的を明確に定めるものとします。

 

8、第71項末尾「<自由民主主義>社会の発展に寄与するものとする」と法改正し、目的を明確に定めるものとします。

 9、第91項末尾「絶えず研究と修養に励み、<自由民主主義国家の国民を育成する>職責の遂行に努めなければならない」と法改正し、職責を明確に定めるものとします。

10、第122項末尾「その他の適当な方法によって<自由民主主義の原理に則した>
社会教育の振興に努めなければならない」と法改正し、目的を明確に定めます。

 11、第13条冒頭文「学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、<自由民主主義の原理に則した>教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに」と法改正し、全ての関係者の行動目的を自由民主主義にそろえるものとします。

 

12、第141項「<自由民主主義の原理に則した政治的学問と教養を身に着けることは国民の義務である>」、2項「法律に定める学校は、<自由民主主義の原理に則した教養を身に着ける政治教育を行わなければならない。これに反する政治原理を身に着ける教育は一切排除しなければならない>」3項「<法律に定める学校は政治的学問と教養を身に着ける公共施設であるので、職員、生徒及び職員団体は、校内において一切の政治的活動をしてはならない>」と、選挙年齢引き下げに伴う法改正と共に、教職員団体等の学内政治活動一切禁止措置を明確にします。

 

13、第152項「国及び地方公共団体が設置する学校は、<基本的人権に属する習俗宗教を除き、>特定の宗教のための宗教教育その他宗教活動をしてはならない」と法改正します。なお、「習俗宗教」は、「基本的人権認定法」(仮称)において定めたものとします。

 

14、第161項「教育は、<自由民主主義国家の国民の育成を期して>不当な支配に服することなく、この法律および<この法律に規定する諸条項を実施するために制定された法律>の定めるところにより行われるべきものであり、」と、改めて教育の目的を挿入し且つ、教育基本法体系以外の法律の適用を排除するものとします。

 

15、第17条(教育振興基本計画)全文削除。教育基本法に屋上屋を重ねしかも憲法規定に反する全体主義教育を導入するものにつき不要。以上

 

追記 憲法第13条冒頭に「全ての日本人は個人として尊重される」とあります。

これに相当する条文をマッカーサー憲法草案で見ると「all japanese by virtue of their humanity shall be respected as individuals.」(意訳・道義を帯した全ての

日本人は、基本的人権を有する家族や共同体の人々同様に尊敬される)であります。

道義は家族や共同体の人々が培った習俗に属する基本的人権ですから、尊重の対象

とされます。マ司令部は道義を説いた教育勅語を問題にしなかったと思われます。

これに対して当時の日本側と米国側の憲法起草委員は、マ司令部に向けては自由民主主義の原理に嵌る上記英文を示す反面、日本に向けては上記冒頭文を捏造して、個人に自由の無い「個人の尊重」という全体主義に誘う革命装置を仕掛けたのです。

なお冒頭文は憲法前文1項「自由民主主義を国是とする規定」、憲法第11条「国民の基本的人権を<永久に保障(尊重)する>規定」、第12条「個人の自由と権利は個人が不断の努力で保持する規定」の何れの規定にも反するものとして、他の法律への転用、引用を禁止する国会決議を行うべきです。

憲法第13条後段の条文は、「国際規約」にて法律に拠る格別に配慮することが求められているものであり、法改正不要です。

以上