衆院を通過した安全保障関連法案をめぐり、若者たちが各地で積極的に声を上げている。「お任せ民主主義はもうやめよう」「私たちの世代こそが当事者」。自分なりのスタイルでメッセージを発する。
「反対する国民の声を知りながら、採決を強行した政府にめちゃくちゃむかついてます」。6月26日に札幌市で約700人を集めたデモを企画したフリーター高塚愛鳥さん(20)は憤る。
髪を染めて遊び回っていた高校時代。町でデモを見ても「うるさい」としか思わなかった。だが、大学中退後に留学していたフィリピンから5月に帰国し、安保法案のニュースを見て「戦争がすぐ近くに来ている」と危機感を抱く。6月中旬に「戦争になったら駆り出されるのは私たちの世代だ」と友人らに
デモ開催を呼び掛けた。フェイスブックに寄せられた賛同の声は4000件を超えた。
デモのテーマは「戦争したくなくてふるえる」。若い世代で人気を集める歌手西野カナさんの曲の歌詞「会いたくて震える」にかけた。
16日に上京し国会前の抗議集会に参加。「こんなに人が集まってるなんて」と驚きながら「でも東京だけでなく、各地で声を上げるからこそ意味がある」と力を込めた。
米軍普天間飛行場がある沖縄県宜野湾市出身の国際基督教大4年元山仁士郎さん(23)は、祖父母や沖縄戦の経験者から話を聞き「戦争は絶対にしてはいけない」と胸に刻んで育った。今は学生らのグループ「SEALDs(シールズ)」の中心メンバーとして、法案への抗議活動を行う。
6日、衆院特別委員会の参考人質疑が那覇市で行われた際には、東京から駆け付けた。「『沖縄の人の意見も聞いた』というアリバイづくりにされるのでは」と不満が募った。「戦争になれば、基地がある沖縄が攻撃の対象になる可能性がある」と心配する。
16日には国会前で「もっと声を大きくして、参院での採決や衆院での再可決を絶対に止める」と決意を語った。