平成27年7月7日
TBS テレビ社長 武田信二 殿
テレビ朝日 社長 吉田慎一 殿
日本テレビ 社長 大久保好男殿
神奈川新聞 社長 並木裕之 殿
日本新聞協会会長 白石興二郎殿
(読売新聞東京本社社会部気付)
湯澤 甲雄 横浜市南区大岡3-41-10
yuzawa.motoo@rainbow.plala.or.jp
報道・論評の完全な自由を求める日本新聞協会各社の政治報道
7月6日付神奈川新聞「特集・報道圧力問題」の記事は、安倍政権に対する全面対決する姿勢を露わにした記事であり、その内容は現行憲法を根本から否定したものであります。
掲題のあて先は、同記事と同様の考え方を持つ各社の社長の名前が引用されていましたので、本信を差し上げることにした次第です。
昭和21年制定された憲法は、前文規定にある通り、自由民主主義を原理とする政治を国是とし、これに反する一切の法律を排除すると定められており、今日においてもこの国是に
変りがありません。その憲法は、国民の基本的人権を永久に保障すること即ち国民の主権を永久に保障すること、並びに、国民の自由と権利を国民が不断の努力で保持する国民の義務を保障することの二点を、他の条文が支える構文となっています。占領下にあって、国民に主権が無いのですから基本的人権の具体的内容の定めが無く、守るべき対象が無いから当
初は自衛権すら認められないものでありました。芦田修正によってかろうじて自衛権が認められた経緯はご高承の通りです。
国民の主権が認められない時代にあっては、法律と称するものがあっても無いと同然です。しかし、日本国民としては国民の自由と権利の下に認められた「表現の自由」を駆使して、国民の主権であり基本的人権である日本国民の八百万の神の神道、先祖崇拝、靖国神社参拝の習俗、歌舞伎公演の伝統文化等国民の習俗を占領軍に認めさせる必要がありました。
昭和21年設立した日本新聞協会の「言論・表現の自由を擁護するため、取材・報道を規制する法規制に反対します」は、大いに意味のあるものでありました。この法規制とは、占領
軍政を意味します。
昭和27年主権が承認され昭和54年に至るまでの間に、確立された国際法規として「日本との平和条約」「国連憲章」とそれと一体を成す「自由権規約」「社会権規約」等を締結したことにより、国と国民は最高法規となったこれらの条約を誠実に遵守する憲法上の義務が生じました。これによって、自由民主主義を原理とする政治の法体系が完成したのであります。
一方新聞協会の綱領は平成12年「表現の自由は人間の基本的権利であり、新聞は報道・論評の完全な自由を有する」に変わりました。こうなりますと、日本新聞協会の「報道・論評の完全な自由」が、自由民主主義を原理とする政治並びに基本的人権を永久に保障する憲法規定に違反する行為に変わったのであります。
国際条約は、国権の最高機関において多数をもって議決されて憲法第98条2項により最高法規となり、憲法が永久に保障する基本的人権の内容の一部となっていますので、その国
際条約の内容を受け入れない「報道・論評の完全な自由」は憲法第98条2項に違反するものであり、ひいては刑法第二章 内乱に関する罪に該当します。
特に、「自由権規約」「社会権規約」前文末尾にある基本的人権と表現の自由を含む自由と権利との間の規範を次の如く規定しており、報道各社はこの国際理解を咀嚼した上で報道
を行うべきであります。
< Realizing that the individual, having duties to other individuals and to the
community to which he belongs, is under a responsibility to strive for the
promotion and observance of the rights recognized in the present Covenant,>
上記を意訳すると次のごとくなります。
「自由と権利を有する報道機関は、家族や共同体の人々や報道機関が属する共同体に対し
て尽くすべき義務を負うこと、並びに、国民の基本的人権の増進擁護のために、常に努める責任を有する」
国民は、報道機関に政治を負託していません。報道機関は金融機関等と変わらず、国民の一員として徹底して法律の範囲において自由を追求する報道を行うべきです。
現在安倍内閣は、外から仕掛けられる戦争から国民を守るために、自由民主主義の原理に則した法律上の手続きにより、国民から負託されている憲法第11条の国民の基本的人権を永久に保障する所謂公共の福祉のための安全保障法案を閣議決定し、国権の最高機関である国会に諮っているのですから、報道機関は常にこれを増進擁護する義務があります。
又、国家公務員法第1条3項「何人」も同法第102条(政治的行為の制限)及び人事院規則政治的行為」14-7第6項「国の機関又は公の機関において決定した政策の実施を妨害すること」を禁止するとあり、報道機関はあくまでも自由民主主義政治を増進擁護する法に従った報道を行う責務があります。報道機関は我が国の政治を二元化すべきではありません。
新聞協会は、平成12年の「完全な自由を求める」新聞綱領を早急に改めるべきです。然らざれば我が国の国是である自由民主主義政治の無用な混迷が続き、憲法規定に反し且つ、国益を害する協会が残存することになります。
以上
以上