.「敵の狼狽ぶりは世界の笑い草である」 | 日本世論の会 本部

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■3.「敵の狼狽ぶりは世界の笑い草である」

 真珠湾攻撃の成果とともに、米軍がどんなに狼狽(うろた)えたか、という記事を、南米経由でもたらされたニュースとして掲載している。

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 同日桑港(サンフランシスコ)付近にあった米潜水艦は一輸送船を発見、わが艦艇の急襲と早合点し、忽(たちま)ち魚雷を放って撃沈、沈められた米船の乗組員5、6十名は狐につままれた気持ちながら、かろうじてボートに乗り移り、陸地に向かって漕ぎ帰った。

 海岸の防御陣ではこのボートを発見、“日本軍敵上陸部隊来襲”と青ざめ、有無を言わせず一斉射撃を浴びせ哀れにもボートは忽ち海の藻屑(もくず)と消えてしまった。二度までも敵、味方の見わけもなくなった自国軍の手にかかって最後を遂げた米船員達の不運もさることながら、敵の狼狽ぶりは世界の笑い草である。[1,p27]
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 米国の国土が史上初めて敵の攻撃を受けたのであるから、このような狼狽もあったのかも知れない。それにしても「敵の狼狽ぶりは世界の笑い草」とまで書く悪乗りぶりはどうだろう。初戦の勝利に沸く国民に米国軽視の風潮を植えつけるだけで、世界最強国との先端を開いたという緊張感のかけらも感じられない。


■4.「焼夷弾って、ほんとに怖くはないものですのね」

 翌春、昭和17(1942)年4月18日、太平洋上の米軍空母ホーネットから発進したドリットル爆撃隊16機が東京を空襲した。初の本土空襲であり、川崎、名古屋、神戸なども爆撃され、全国で50人が死亡、約2百戸の建物が火災などで損壊した。

 翌日の朝日夕刊は「けふ帝都に敵機来襲 9機を撃墜、わが損害軽微」との見出しで、軍司令部の発表をそのまま報じた。「9機撃墜」も「損害軽微」も事実かどうか、その検証もされていない。国内の被害なので、死者数や火災件数くらい、新聞社なら掴めるだろうが、「軍部の報道統制に従ったまで」と言い逃れるのだろうか。

 翌日には「初空襲に一億沸(たぎ)る闘魂」の大見出しのもと、「我家まもる女手 街々に健気な隣組群」との見出しのもとに、「焼夷弾を消しとめた婦人」の証言を紹介している。

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 奥の6畳の間に赤ちゃんを寝かせておいてお勝手の用をしていましたら、四畳半にバーンという音がしたので驚いて駆けつけると、大きな火の玉が部屋中転がっていました。

とっさにこれが焼夷弾だなと思うとすぐに、屋外に駆け出して菰(こも)を水桶で浸し、「焼夷弾だ」と叫びながら燃える火の玉にとびかかるようにしてかぶせたら、すぐに消えちゃいました。焼夷弾って、ほんとに怖くはないものですのね。

 無心に眠る背中の赤ちゃんを揺り上げて、また一散に町内の火災現場へ駆けだしていった。[1,p57]
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 この他にも、屋根に墜ちた焼夷弾を手づかみで投げ捨てた話も掲載されている。まるでアクション映画の一シーンである。

 朝日は戦後、南京戦で二人の日本軍少尉がどちらが先に100人の中国人を斬れるか、という「殺人ゲーム」をしたという記事を掲載して「南京大虐殺」報道を始めたが[a]、それと同様に、まったくリアリティの感じられない記事である。

 たとえ事実だったとしても、焼夷弾に水で濡らした菰で覆い被さるというような危険な真似を国民にさせるつもりなのか。本当に国民の安全を望む良識のある新聞記者なら、こんな報道は控えるだろう。