日本語と朝鮮語 | 日本世論の会 本部

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件名: 日本語と朝鮮語


アメリカの言語学者スワディッシュ(1905 1967)は、どのような人類集団でも、それにあたる語を持っているようなもの200語を選び、それを、「基礎語彙」と定めている。「古事記」上巻において、音で記されていることばで、スワディシュの「基礎語彙」に含まれている語を「現代日本語」「現代朝鮮語」「中期朝鮮語」で比較すると。
「現代日本語」と「古事記」上巻のかことばが、やはり「基礎語彙」においては、殆ど変わらない形をしているものの多いことがわかる。そして朝鮮語が日本語とは、そうとうに異なっていることもわかる。
日本語と朝鮮語の一致率は、かなり多めにみても、11パーセントていどにすぎない(朝鮮語と日本語とが近いという議論の多くは、このように、似ている語だけをとくにとりだしているのである。)英語とドイツ語とは、だいたい今から2000年ていどまえに分裂したとしてよいであろうが英語とドイツ語のばあい、「基礎語彙」の一致率は、半分程度を占め、朝鮮語と日本語とのばあいとは、事情が非常に異なっている。……
現代朝鮮語は、南朝鮮の、韓族のたてた国のひとつ、新羅の言語が母体となっている。もし、西暦紀元後という新しい時期に、日本列島が、朝鮮半島と同じく、南朝鮮勢力によって統一されたものであるならば、ほぼ同一の過程をへて成立したこの両国の言語は、そうとうに近いものでなければならない。最近、応神天皇は、新王朝の始祖で、朝鮮から侵入した人ではないかとの説も説かれている。この場合も、両国の言語は、近くなるはずであろう。しかし、事実は、それに反している。
私は、天皇家の出自が、朝鮮半島であるとする多くの見解には、疑問をもつ。日本人の核をなす民族は、おそらくは、大陸から渡ってきたのであろうが、それは、天皇家の発生よりも、ずっと古い時代のことであったと思うのである。
フィンランド人やハンガリー人は、その故郷をウラル地帯に持つ。現在混血によって、そうとうに西欧化しているにもかかわらず、言語は、ヨーロッパ語とは、はっきり異なっており、もとのウラル系フィン・ウゴル語族に属する言語を使用している。もし、朝鮮からきた勢力が、比較的新しい時期に日本を統一したのであれば、それに近い現象がおきるはずではないだろうか。
安本美典著「邪馬台国と高天原伝承」より。

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菊地正拝