集団的自衛権の憲法解釈は内閣が行うべし | 日本世論の会 本部

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      平成25年8月25日
産経新聞論説委員 中静 敬一郎 殿

         湯澤 甲雄 横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222

  
 <集団的自衛権の憲法解釈は内閣が行うべし>

 8月25日<軍事忌避する「奇妙な国」考>は、末尾に示されているように憲法第9条
を改正して軍を持ち、活用することによって、わが国領土や領海を侵害する不法な暴
力に犯されている事態の打開を図ることを主張されています。
 これに対し敢えて憲法第9条を改正することなく、憲法第11条の下に集団的自衛権
をもってご指摘の事態の打開を図るべきと思います。
以下その理由を説明します。

1、わが国がご指摘の事態の打開を図る自衛行為については、国連憲章以下の全ての外
  交条約に照らしても、わが国が法的に制約を受けるものはありません。

2、わが国の憲法は、第9条を除いて全条文が、主権者たる国民と憲法との間を規律し
  た条文となっており、且、主権者たる国民が第11条の国民の基本的人権に対する
  永久の保障を享受するためにその他の条文が設定されております。
   後段について、自由権規約第2条1項を引用して眺めてみると次の通りです。
 「この規約の各締約国は、その領域内にあり、且管轄の下にある全ての家族や共同
  体の人々に対し、如何なる差別もなしにこの規約において認められる権利即ち、基
  本的人権を尊重し及び確保することを約束する。」
   その基本的人権とは、既説明の通り、国民の大義あるいは国民の主権、更には国
  家の主権を意味します。憲法第12条以下の国民の自由及び権利や国際人権条約第
  3章に述べられている創設された諸条件の次元のものではありません。

   そこで国民は、憲法の永久の保障利益を享受すべく公務員を選任して奉仕者とな
  し、立法、行政、司法、地方行政の各機関を設置して、法律の目的に沿った公務員
  を任用して、現実に保障利益を享受することにしています。
   このために公務員は法の定めるところにより、国民に基本的人権を永久に享受さ
  せるべく、個別的あるいは集団的自衛権を行使して、且あらゆる武器を使用して、
  「必要な措置」をとることによって国民に永久に奉仕することを職務とします。

   国民の奉仕者であり且国民の代表である国会議員の決議により成立した法に基
  づき、全ての公務員は身命を賭して国民に対し永久に奉仕する義務が有ると、憲法
  第11条は定めています。重複しますが、憲法第11条は集団的自衛権の行使につい
  て、これに制限を設けていません。

3、第9条は、国民と憲法との間を規律した条文では無く、従って憲法の国民に対する
  保障条文ではなく、日本国民の一方的宣言文であります。即ち、国民が憲法から享
  受する保障利益は何も無く、公務員の奉仕義務も何もありません。しかも9条の規
  定に伴う危険を担保できるものが一切ない無責任極まりない条文です。因みに第9
  条に関しては、公務員には憲法第99条(憲法尊重擁護義務)が発生していません。

  よって、集団的自衛権の憲法解釈は第9条の改正にこだわらず、第11条の国民固
  有の権利として「内閣法制局の法律上の専門的知見などを活用しながら第一義的に
  は内閣が行う」との、菅義偉内閣官房長官記者会見の線で進むべきです。以上