「皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理」に係る意見について | 日本世論の会 本部

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内閣官房皇室典範改正準備室 御中


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                      湯澤甲雄(ゆざわもとお)元銀行員



 平成24年10月5日「皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理」が 
 公表された。
 この論点整理は、平成24年2月20日「皇室制度に関する有識者ヒアリングの実
 施について」の趣旨に基づくものであるので、「女性の皇族に皇族以外の方と婚姻さ
 れた後も御活動を継続していただくとした場合の制度の在り方」絞って行われた
 ものである。「御活動」とは、「皇族としての御活動」を意味している。

 (1)「皇族としての対外的御活動」でなければ、旧皇室典範第44条「皇族の女子の
    親戚に嫁したる者は皇族の列に在らず。但し、特旨により内親王、女王の称を
    有せしむることあるべし」を復活し、皇族ではないが「内親王」「女王」の「称」
    を持たせればすむことである。
    これが憲法第14条2号の「華族その他の貴族の制度は、これを認めない」に
    該当する説があるが、それはこの「称」を「華族その他の貴族制度とする」法
    が制定されない限り、「称」は「尊称」であって憲法違反に当たらない。

 (2)「皇族」とは、天皇の家族のことである。天皇は、先代から引き継がれている
    皇室典範第1条「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」家
    族の長であり、これを後代に継承する歴史的責務を有する。
    したがって、皇族といわれる天皇家のどの家族も、天皇の歴史的責務を担う
    べく、「皇統に属する男系の男子が継承する」家族を維持する責務がある。
    その責務を有する家族を「宮家」という。
    「皇統に属する男系の男子を継承する」事ができない「宮家」には、皇族の
    資格は本来ありえない。

  (3)「女性の皇族に皇族以外の方と婚姻された後も皇族としての御活動いただく」
    事は、その家族が既に「皇統に属する男系の男子を継承する」事ができてい
    ないので、皇族の資格が無い。且皇室典範第12条「皇族女子は、天皇及び皇
    族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」明文規定があり法律違
    反に該当する。皇族として対外的に御活動を継続していただくことは不可能
    である。
    「内親王」「女王」は、あくまでも皇室に近い縁者として、互いに親しみの持
    てる皇族間の心情的関係に止めるものとすべきである。

  (4)「論点整理 5 具体的方策」の中に「女性皇族を当主とする宮家の創設を可
     能とすることは、象徴天皇制度の一貫として許容されるものと考えられる」 
     とある。
   先ず前段の「女性皇族を当主とする宮家」については、上記(2)(3)から
     この世に存在するはずの無い虚構にして、創設不能である。
     後段でわざわざ「象徴天皇制度」といっている意味は、皇族が「皇室と国民
     の間をつなぐ様々なご活動を分担されて、国民との絆を深められているい
     る」のは、国民の象徴とされているからご活動されているとの理解からもた
     らされていると思われる。しかしこの理解も誤りである。
     古来日本民族は、天皇は常に日本人のあるいは世界中のあらゆる人々の安寧
     を、八百万の神に祈っておられる家長的存在の思いやりの深い尊いお方と親
     しんできています。日本民族も、あらゆるところに神が宿っている八百万の
     神を信じている証拠に、多様な祭りが全国各地にあり、日本の野球の選手や
サッカーの選手が外国の球場に入場、退場するときでさえも、そこに神がい
ると信じて一礼し、謙虚な心と習俗・道徳性の高さを世界に示しています。

     現行日本国憲法制定の資料とされたマッカーサー憲法原案第1条は、天皇と
     日本人との関係を次の如く表現しています。
    「The emperor shall be the symbol of the state and the unity of the
people, deriving his position from the sovereign will of the
people, and from no other source.
      (天皇は、日本国の象徴であり日本国民と単一体をなすものであって、
       この地位は主権の存する日本国民の意思に基づく。)」
     天皇は「(国家の象徴であるが)国民統合の象徴でなく、主権者たる国民と単
      一体である」としており、これは古来家長的元首と考えている日本人の心情
     に現行憲法条文より遥かに合致しています。
     天皇は家長的主権者であるから、第4条国事行為等について奉仕者である公務
     員によって組織された内閣に助言、委任させている、第6条総理大臣の任命権
     を有し、第7条栄転を授与したりする大権・権能を備えているのです。
     なお、家長たる天皇の最も重要な神事行為については、成文法化できないが侵
     すべからざる尊い大権・権能として、国民も公務員も不文律として心得ている
     のであります。

結論
 (1) 女性皇族を当主とする急こしらえの虚構の宮家が、皇室のご活動を分担され
    て、国民との絆を深められると考えることは、誠に浅はか極まりないことで
     あり、やめるべきです。

 (2)「準備室」の論点整理には、著しい偏向があり、わが国民の固有の尊厳と国民
    感情更には法律に照らし大きく乖離するので、全面的に棚上げすること。

 (3)「準備室」は、「皇統に属する男系の男子の増加」は全国民並びに国会が認める
    喫緊の問題として、現在一般国民となっている「皇統に属する男系の男子」
    について、皇族となってもらうべく皇室会議の内意を得べく、早急に事務に
    着手すること。以上