(平成・美しい日本を護る会ブログ「やむやま」http://heigokai.blog.fc2.com/blog-entry-107.html)
120829
去る8月24日、古川元久国家戦略担当相は、閣議後の記者会見で、将来的に原発比率ゼロを目指すと表明しました。 理由として、「福島で故郷を追われ、人が住めない状況が今もあるから」とのことです。これは今の問題です。国家戦略担当相の立場で、今の問題で将来を決めようというのでしょうか。片言を捉えた指摘でないことは、古川が担当している「エネルギー・環境会議」のHPを見れば、将来のエネルギー資源の需給見通しに関する議論がないことから、そう言えそうです。
福島において今もって人が住めない状況が、将来にわたって続くと言う前提をおいていますが、放射線量は減少していくものであり、データに基づくな科学的検証は出来ているのでしょうか。そもそも政府が定めた安全基準に対する内外の批判があるのに、検証はできているのでしょうか。
政府は「討論型世論調査」として、将来の原発比率を、0%、15%、20~25%の枠組を提示して、さぁどう思うかと「民意」なるものを誘導しています。何故0%なのか、15%なのか、20~30%なのか、定量的なデータに基づく判断材料を提供していません。世論調査では回を重ねるごとに、0%支持の割合が増え、半数近くに拡大しています。しかし何故そうなのか、観念的な話ばかりです。民意を聞くと言う美名の基に、専門家を排除した悪しきポピュリズムは、我が国を集団自殺に追い込みます。
民間企業は、例外を除いて中長期経営計画を立てます。計画立案の手順は決まっています。まず自社の経営の現状と、技術力や資金力などに関しての強み・弱み分析を行います。次に自社を取り巻く環境の分析を行います。内外の経済動向、市場の動向、同業他社の動向などです。それらは出来るだけ根拠あるデータに基づきます。次は戦略立案です。自社の現状を基準として、環境分析から自社の強みを生かせるものを見つけ出し、それをチャンスとして活用する戦略を立てます。もちろん、企業理念に基づくものでなければなりません。また自社にとって脅威となるものもあります。それに対しては、負けないための戦略を立てます。
この手順をきちんと行い、戦略を果敢に実行できる企業が成長していきます。そうでない企業は沈滞し倒産に至ります。国家も企業と同じはずです。根拠あるデータに基づかない観念で立てた戦略では、国家と言えども衰退から死に至るでしょう。古川担当相は、何を根拠に国家戦略として「原発ゼロを目指す」と言うのでしょうか。少なくとも国家戦略室のHPを見る限りでは、根拠を検討している形跡はありません。鳩山ルーピーは原発反対デモに加わり、菅直人は反原発のいかがわしい市民活動家に荷担して首相に面会させました。原発問題は、民主党政権にとってはイデオロギーの問題なのです。
先の日米戦争の発端は、石油の対日禁輸です。エネルギー問題は、国家の死命を制します。原発問題にイデオロギー(観念)で取り組む民主党政権は、我が国を集団自殺の道に追い込もうとしています。
今後の原発問題を考えるスタートは、今回の事故の検証です。政府、国会の事故検証は、誠に不十分なもので、今後の原発強靱化に資する科学技術的検証と、国民の不安をかき立てる放射線量の安全基準に関する検証がなされませんでした。
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そのため、原発の安全性への不安だけが広まり、その不安を基準に観念的に将来の原発政策、エネルギー政策を決めようとしています。
さて、8月18日、チャンネル桜が「放射能キャンペーンの真実と原子力政策の行方」と題した有識者の討論番組を提供してくれました。不安の原因である放射能の安全問題、原発ゼロの場合の代替エネルギーの可能性の問題、エネルギー資源枯渇の問題などに関する政府が触れない基本的な視点を提供してくれていると考えます。要旨紹介させていただきます。詳細は下記をご覧下さい。
・(1/3)http://www.youtube.com/watch?v=NCyIyjsCJ6g&feature=plcp
・(2/3)http://www.youtube.com/watch?v=TV6xL7l3RV4&feature=plcp
・(3/3)http://www.youtube.com/watch?v=bSjp4zF6IdY&feature=plcp
《要旨紹介》
◎出席者
元三井物産原子燃料部長小野章昌氏、原子力学会放射線問題検討委員会主査斉藤修氏、「放射線を怖がるな」著者茂木弘道氏、札幌医科大学教授高田純氏、東京工業大学助教澤田哲生氏、経済評論家上念司氏、(司会)チャンネル桜社長水島総氏
◎現状への問題認識
・原発比率の設定は、その前提が明示されていず、間違った判断を国民に与える。