平成23年10月20日
「韓国の金融不安拡大に対する日本の支援について」(感想)
韓国訪問中の野田首相は、ウオン安回避に向け、韓国への資金支援枠を約700億ドルに拡大することで合意した。緊急時に外貨を融通できるようにして韓国の金融不安拡大を阻止するためである。先に朴大統領米国訪問時に、FRBから300億ドルの資金支援枠が受けられることになっているので、合計で約1千億ドルの支援枠がある。
しかしながら、1997年に、韓国が金融危機に見舞われたとき、世界中で韓国を助ける意思を示し実行した国は、殆ど日本以外に無かった状況に照らすと、今回も他に支援国が無いと見られるので、上記の支援枠ではなんとも心許ない。
昨年末の韓国に対する外国人投資残高は8250億ドル、対外債務残高3600億ドル合計約1兆1850億ドルとなり、大まかに半分が短期債務だと仮定すると、約6千億ドルの資金支払い請求が1年以内起こることが考えられる。これに対して、外貨準備高が約3千億ドルであるから、約3~4千億ドルの支援枠が不足している。
1997年韓国が経済危機に直面するや我が国の行動は、大蔵省と都市銀行の連携の下に、敏速且要所要所を押さえた形で援助が的確に仕組まれた。
先ず我が国は、韓国に対する国際的支援体制の国際的枠組みをつくるために、IMFに対し10億ドルの支出を要請したが、IMFに出資できる手許資金が1億ドルしかなく、やむなく我が国がIMFに9億ドル緊急出資することによって、IMF出資額が満たされた。
同時に大蔵省は、韓国に対する資金支援枠350億ドル設定・実行し、我が国都市銀行に対し韓国に対する金融支援を要請、これに呼応して各都市銀行は対韓国クレジット・ラインを拡大した。
サウジアラビアの韓国向け原油積み出し停止が入るや、他国への波及を抑えるため、間髪をいれず日本の銀行が保証人に立った。韓国が輸入する食料、工業原材料等あらゆる物資の船積停止措置を取り払って、韓国経済への衝撃緩和に動いた。
EUにおけるドイツやフランスのような支援を我が国が韓国に行っていたら、韓国では今のギリシャのような内乱が生じていたことは十分考えられる。
2002年に行われるFIFAの日韓サッカー共済が決まり、その矢先の経済危機であったが、共済を成功させることを前提として我が国の経済援助は整斉と続けられた。韓国の経済はⅤ 字型に復興したものの、2001年再び苦境に立ち、我が国は改めて韓国での開催が韓国経済を上向きにさせるとの見解に立ち、日本政府からの融資(輸出入銀行融資30億ドル)を実行して、これによって韓国でのスタジアム建設が続けられたことにより日韓共催はようやく実現した。
国際通貨基金(IMF)など国際社会全体では総額583億ドルの援助を表明し、韓国はデフォルトを寸前で回避できたとされているが、我が国都市銀行の連帯保証や協調融資組成等を援助に参入すれば、援助総額のほぼ全額が我が国の貢献によるものである。以上
(湯澤甲雄 記 )