リセット。足の踏み場のないアトリエから金木犀の香りのする表に出る仕上げの前に目をリセットしようと近所のカフェに行きコーヒーを頼むケーキまでつけてしまうところが私の弱いところだ窓側の席で往来の向こうの空を眺めるうっすらと茜色をしていた雲が浅葱色にに溶けていく家に灯りがともり始め 街路樹のコントラストが一層強くなる手にはまだ朱が残っていた最後の一色画面にそれを落とし入れたところを想像してみるコーヒーを飲み干して店を出る香ばしい記憶が頭の奥に残っている間に筆を採らねばならない