蛇足と言う言葉がある。


偉い人が、二人の絵描きに、蛇の絵を、早く上手に描いたやつに褒美をやると言い、早く描き上げた方が、まだ描いてる方に、お前が描いてる間に、蛇の絵に、足まで描き足すことができると、サラサラと蛇に足を描いた。結果的に、それは蛇ではないとされたと言う、一休さんのとんち話みたいな内容である。

 

話は変わるが、作家百田尚樹さんの小説は実に面白い。

海賊と呼ばれた男や永遠の0などが有名な作家さんである。元々は放送作家さんから小説を書くようになったようだ。ただ、今も放送作家さんなのかはよく知らない


あくまでも、僕、個人の意見なのであるが、

百田さんはすごいセンスの良い人だと思う。


あくまでも、僕の勝手な見解だから、とやかく言われても困るのだが


たとえば、永遠の0という作品は、映画化、テレビドラマ化もされて、かなり話題にもなった作品であったと思う。


映画とか、テレビを観られた方も多いのかもしれないが

多分、小説を読んでから映画を観た僕ですら、V6の岡田准一さんや、VFXに魅了されしまっていた


当時の最高傑作機であるゼロ戦が、ゆっくり飛んでいるように見えてしまい、現代の最新鋭機と比べると、別に先端の技術を使いこなすわけでもない一世代前のおじさん的な僕たちにですら、頼りなく見えるような気はしたのだ。

しかし、それが当時の最新鋭機なのだ装甲を極限まで薄くし、軽量化を進め、奇跡的な飛行距離と旋回能力等の運動性能は、当時は世界一であったと言われているのだ。


ではなぜ、この小説を、僕がすごくセンスが良いと思ったのかである。

それは、全体を通じて、やんわりと対戦時の日本を否定しているように感じたからである。


映画の中で岡田くんが演じたゼロ戦のエースパイロットである主人公は、露骨に特攻を否定しているのではあるが、あとは本当に地味なところで、当時の日本軍のやり方を否定していたと思う。


例えばであるが、小説の中で、旧式の21型ゼロ戦と新式の52型ゼロ戦を比べる描写がある。52型の方が新型であるにもか変わらず故障が多いことを指摘するのであるが、この故障などが発生しているのは、腕の良い工員であったり、技術者がなりが、徴兵され戦場に駆り出されている。


そんな状況で、女工や学生などが兵器工場で、学生の本分である勉強すらさせずに、駆り出されている

また、そんな状況であるから、民間の住宅地に近いところにある工場に空襲までされているような内容まで書き描いている。


映画では、主人公を演じた岡田くんが、一言か二言を言い、その後、彼がその事実に悩む顔をアップが画面上に広がるのだ

あ〜ら!良い男と、世の女子はそっちのけで岡田くんを観てしまうのであろう


戦時中の話である。

某有名なグループのボーカリスト出身の海岸で、生まれ育った僕の祖母は、生まれたての母を背負って、焼夷弾の雨が降る中、逃げ回った思い出を、祖父との生活に比べたら、そんなこと大したことはないと、ことも無げに話していた


しかし、チャコの海岸物語や渚で、シンドバッドが勝手にしているあの辺の海岸線をドライブデートしたこともある方なら思い出してほしいのだが、あの近辺に巨大な工場などあったであろうか

少なくとも、彼らが歌った、ホテルパシフィックは、そこには存在すらしていないのだ


実際は、その地区の最寄駅の隣の駅にある工場付近を空襲するためだったようだが、結果として、僕の母の故郷にまで、焼夷弾の雨がふるのであった

そしてその時、チャコの海岸は、なんと火の海だったのだ


僕は、このような事実を祖母から聞いていたからだろうか、小説の主人公が感じる、閉塞感が何となく理解できる気がした。


この話の主人公は、そんな戦争のなかで、未来をつないでいくべききはずの若者を特攻隊員に追いやることで、こんな戦争に加担している自分に深く思い悩むのであるのだが


そんな風に戦争を切る作家なのだ。

百田さんは、戦闘機乗りの主人公目線で、最新機なのに、なぜ機体に、不良が多いのか?という観点から戦局、国民生活、戦争という矛盾を描いていているのである。



さらに、僕が一番好きな彼の作品である、

風の中のマリアでも描かれている。


大学時代に、生物を専攻した僕は、植物、動物、昆虫はとにかく大好きだ。


スズメバチの生態については、ご存知の方は少ないと思う。


実は天敵がミツバチであったり、他の社会性昆虫と同様に役割があり、それをコミニュケーションをとりながらきちんとこなすしていくのである。


非常に面白い世界なのだが


あの小型のみつばちが、一体どうやって

ミツバチとスズメバチは耐えらる温度が違う。それもたったの1℃の違いでミツバチの方が高い温度に耐えることができるのである。たった1℃温度差を出すために、ミツバチたちは、スズメバチに身を寄せ合って、身体をひたすら動かし温度を上昇させて、殺すのである。

しかし、スズメバチは、ミツバチをその強固なアゴで食いちぎりながら抵抗するのである。


そう、僕が伝えるとしら、たったこれだけになってしまう


僕らは、生物学の中で、タンパク質や酵素が不活性化してしまうのが温度と関係していることを証明できれば満足なのである。


従って、その内容を、わかりやすく誰かに伝えようなんて到底思わない。

それが、ワンシーズンしか生きられスズメバチの一生だったとしてもである


この作品は、僕の父が仕事を辞めた、まさにその時期に書籍化されたのである。


父は、死にものぐるいで働き続け、僕らの未来を作ってくれたのだ


その時、スズメバチの一生が父の人生と被って見えたのであった。

それが、この作品がとても好きな理由がでもある。


なんとも、センスのある切り口であると僕は思うのだ。


話は最初に戻る。


だからこそ、百田尚樹をヨイショしたら図書券をやるなんて姑息なキャンペーンをやるべきではないと思うのだ

とにかく、そんなことをしなくとも、自らでは、とうてい思いつかない切り口に、唖然とし、すごいと感動してたり、昆虫の物語に、自分の親父を重ね合わせる読者もいるのだから力のある作家なのだから、そのような蛇足はいらないのだ。



と、百田尚樹先生を、ヨイショしてみたが

ヨイショしたら図書券をくれるという企画自体も無くなったようだし


そもそも、夏の騎士という作品の感想文で褒めちぎらんと、図書券はもらえなかったらしい

これは、蛇足でもなんでもなく…

それは、間違いなく、無駄骨というのだと思う