1989年に導入された消費税。
ちょうど、僕が高校生になったときだ。
今まで物を買っても、余計なお金はかからないものだったが、その時から3%かかるというではないか。
定価と、税込価格という表記もあり、全く持ってよく分からない世界に入り込んだ…と思った記憶がある。
生まれてから十五年間の間である。
パーセンテージを習ったのが仮に小学4年だったとしたら、パーセンテージに関する知識はせいぜい5年程度しかない。
しかも、大抵、理科のビーカーに入っている食塩を求めるために使う、机上の空論みたいなものが、突如として、実社会に出てきたようなものだったのである。
さて、高校生で16歳の誕生日を迎えた僕らにとっては、原付か、中型免許を取得することができるようになる。
昔の呼び方になるので、今とは違うんだということは、免許の更新をする度に気が付いているのだが…申し訳ないが、昔の表現にする。
僕らの高校時代は、バブル時代で、バイトには恵まれていた。
夏休み、部活もやらず、大学進学のための勉強もしないのであれば、いたずらに長いこの休みにバイトをすれば、それなりにバブルを経験できることができたような気がする。
ただ、景気は良かったのだが、最低賃金が低くかった…高校生だと、マクドナルドが650円とかだったような気もする…
ただ、前向きな僕らは、最低賃金をあげろ!とか、政治が悪い!などの方向には向かわず、一件の単価が低いのであれば掛け持ちしますれば良くね?ってなるわけである。
それでも、目的は様々であったが、とにかくこぞってバイトに出かけたわけである。
無駄に長く、熱い高校生活、初の夏休みが終わると、大抵のバブリーな高校生達は各々の興味のあるものにお金を使うことになり、初めて消費税を脅威に感じたものである。
都内から私鉄で30分程度の地方都市ではある。中学の狭い学区ではなく、高校になると区をまたぐ学区となるわけである。
猛る高校生にとっては、自転車では活動範囲が狭すぎる…
そうだ、バイクだ!という事になる。
オンデイズやゾフなどのおしゃれなアイウェアなど存在せず、眼鏡という視力矯正器具としていた時代である。
その視力矯正器具をかけた姿が、藤子F不二雄の漫画キテレツ大百科のキテレツそのものであった島村くんは、夏のバイトで40万近い大金を稼いだ。
今にして思えば、どうしてそんなに稼げたのか不明であるが…
当時は、さほど疑問にもせずに、キテレツが何を買うのかということに、注目した。
やはり中型免許とバイクであった。
免許取得とバイクの購入等の全ての段取りが終わったのが、金木犀の香りも、とっくに過ぎた11月下旬であった…
彼が、僕らの溜まり場に、HONDA NSR250
に跨り、フルフェイスのヘルメットをかぶり、颯爽と現れたのだ。
なんとも、アクセルをふかす姿は、もうレーサーそのもの、原付の僕らは、羨望の眼差しを彼に送った。
フルフェイスヘルメットのバイザーを開けたそのなかに、視力矯正器具が見えたとしても、カッコいいと、素直に思った。
それから、2週間後、クリスマスエクスプレス牧瀬里穂のCMが流れまくり、街の中はクリスマス一色である。
キテレツが溜まり場に自転車でやって来た…
聞けば、廃車になったとのこと…
今ならば、身体が無事でなによりだ!となるのだが…
その後、冬休みに入り、新年を迎え、成人式が終わる頃、キテレツは、新車の原チャリに跨り溜まり場に来ていた…
そして、その圧倒的短期間で、お金を稼いだキテレツに尊敬の眼差しを送るのであった。
僕らは、いつだって、転んでって、立ち上がるんだ…笑