帰宅…そして東京の夜空…
動かない車のテールランプを見つめながら、ついさっき別れてきた両親と田舎の景色が目蓋に浮かぶ…
朝目覚めると、かすかな焚き火の匂い。
お袋が“薪”でご飯を炊いている匂いだ。
井戸で顔を洗い、大きく深呼吸をする。体の隅々まで浄化されるような新鮮な空気。
朝飯まで周囲を散歩する。
裏の畑に立ち寄るとトマトやきゅうりが生っている。
トマトを一つ収穫し、噛り付く。甘酸っぱい夏の香り。
朝食を食べ終わり、オヤジと釣りをする。
狭くもない土手なのに、二人で並んで釣りをする。
ふと隣を見ると“今は”小さくなってしまった手で餌を針につけているオヤジがいる。
子供の頃、釣りに連れて行ってもらった時と同じ光景だ…違うのはオヤジの手の大きさ。
釣りを終え、帰ってくるとお昼で、お袋が“喜多方ラーメン”を作って待っている。
ラーメンを食べおわり、縁側で横になる。
空を見上げると青い空に真っ白い雲が浮かんでいる。
聞こえるのは風と小川のせせらぎとセミの鳴き声だけ。
ゆっくりと流れる時間の中で、ゆっくりと目を閉じる…
ふと目を覚ますと、青い空がオレンジ色に変わっている。
そこへお袋が“井戸水”で冷やしたスイカを持って来てくれる。
縁側で三人並んでスイカを食べる。
ルージュが種を飛ばす。
続いてオヤジが飛ばす。
その様をお袋は笑いながら見ている。
晩飯を食べ終え、風呂から上がると今度はトウモロコシやら枝豆やらが食卓に用意されている。
それらをつまみながら子供(孫)の話やら東京での近況話などをする。
普段は9時には床に就くはずの両親も、10時過ぎまで起きている。
お袋が“こっくり”始めるとお開きになる。
まだ眠くはないが、用意された床に就く。
新品のシーツがかけられている。タオルケットをかぶるとふんわり暖かい“お日様”の香りがする。
なんだかとても懐かしい香り…
田舎にいた三日間、だいたいこんな感じて過ぎて行った。
帰りぎわ、お袋はスイカやら野菜やらをたくさんくれた。オヤジは田舎の写真をたくさんくれた。
見送りの際、お袋は泣いていた。
オヤジは、ただ黙って立っていた。
一旦車を降り、オヤジと握手をした。
お袋とは抱き合った。
その後は両親の顔も見ずに田舎を後にした。
車中では泣いてしまった。年甲斐もなく泣いてしまった。
たった三日間だけど、久しぶりに“子供”に戻れた気がした。
我に返るともう降りるランプだった。
高速を降りると、いつもの見慣れた風景が飛び込んできた。
明日からまた“東京”での生活が始まる。
家に着き、空を見る。
スモックで濁った空。
星はまばら…
田舎の夜空を思い出し、また胸が熱くなったが「俺の家は東京だ。俺の家族も東京だ。」と自分に言い聞かせ、東京の空気を思い切り吸い込み玄関の扉を開けた。
朝目覚めると、かすかな焚き火の匂い。
お袋が“薪”でご飯を炊いている匂いだ。
井戸で顔を洗い、大きく深呼吸をする。体の隅々まで浄化されるような新鮮な空気。
朝飯まで周囲を散歩する。
裏の畑に立ち寄るとトマトやきゅうりが生っている。
トマトを一つ収穫し、噛り付く。甘酸っぱい夏の香り。
朝食を食べ終わり、オヤジと釣りをする。
狭くもない土手なのに、二人で並んで釣りをする。
ふと隣を見ると“今は”小さくなってしまった手で餌を針につけているオヤジがいる。
子供の頃、釣りに連れて行ってもらった時と同じ光景だ…違うのはオヤジの手の大きさ。
釣りを終え、帰ってくるとお昼で、お袋が“喜多方ラーメン”を作って待っている。
ラーメンを食べおわり、縁側で横になる。
空を見上げると青い空に真っ白い雲が浮かんでいる。
聞こえるのは風と小川のせせらぎとセミの鳴き声だけ。
ゆっくりと流れる時間の中で、ゆっくりと目を閉じる…
ふと目を覚ますと、青い空がオレンジ色に変わっている。
そこへお袋が“井戸水”で冷やしたスイカを持って来てくれる。
縁側で三人並んでスイカを食べる。
ルージュが種を飛ばす。
続いてオヤジが飛ばす。
その様をお袋は笑いながら見ている。
晩飯を食べ終え、風呂から上がると今度はトウモロコシやら枝豆やらが食卓に用意されている。
それらをつまみながら子供(孫)の話やら東京での近況話などをする。
普段は9時には床に就くはずの両親も、10時過ぎまで起きている。
お袋が“こっくり”始めるとお開きになる。
まだ眠くはないが、用意された床に就く。
新品のシーツがかけられている。タオルケットをかぶるとふんわり暖かい“お日様”の香りがする。
なんだかとても懐かしい香り…
田舎にいた三日間、だいたいこんな感じて過ぎて行った。
帰りぎわ、お袋はスイカやら野菜やらをたくさんくれた。オヤジは田舎の写真をたくさんくれた。
見送りの際、お袋は泣いていた。
オヤジは、ただ黙って立っていた。
一旦車を降り、オヤジと握手をした。
お袋とは抱き合った。
その後は両親の顔も見ずに田舎を後にした。
車中では泣いてしまった。年甲斐もなく泣いてしまった。
たった三日間だけど、久しぶりに“子供”に戻れた気がした。
我に返るともう降りるランプだった。
高速を降りると、いつもの見慣れた風景が飛び込んできた。
明日からまた“東京”での生活が始まる。
家に着き、空を見る。
スモックで濁った空。
星はまばら…
田舎の夜空を思い出し、また胸が熱くなったが「俺の家は東京だ。俺の家族も東京だ。」と自分に言い聞かせ、東京の空気を思い切り吸い込み玄関の扉を開けた。
帰省?
明日からお盆休みなので、今晩から田舎に帰ろうと思っている。
田舎と言ってもルージュは“東京産”なので両親の田舎であると言える。
ルージュの両親は田舎を出て東京で結婚し、姉とルージュを育て上げ、成人し独立した途端、何を思ったのか「俺達は田舎に帰る」と言い出した。
いきなりのカミングアウトにルージュ1人では太刀打ち出来ず、嫁いだ姉を呼び“緊急家族会議”が開かれた。
ルージュ夫婦(まだ離婚前でした)と姉夫婦の4人で一斉に「何を突拍子もない事言ってんの?」と畳み掛けた。
ところがオヤジは一向に動じずに答えた…
「お前らが子供の時から決めてた事だ。お姉ちゃんが結婚し、お前(ルージュ)も結婚して家を建てたら田舎に戻ろう…とお母さんと話してたんだ…俺達は田舎もんだから都会の水は馴染めない…土の匂いが忘れられない…かと言って東京で育ったお前達を田舎に連れて行くわけにもいかない…だからお前達の手が離れた今、田舎に帰るんだ…」
と切々と語った。
ルージュの奥さんと姉は、「そんな!老後はどうするのよ?」とか「どうやって生活するのよ?」とか散々まくし立てていたが、ルージュはそんなオヤジを“カッコいい”と思ってしまった。
最初に田舎に戻ると聞いた時は“無責任で無鉄砲で無計画”の“三無ダメ男”
だと思ったが、うちら姉弟が独立した事で責任は果たしているし、うちらが子供の時から決めてたとなると“無計画”ではなくなるわけで…
その話を聞いてからルージュは反対論は唱えられなかった。奥さんや姉には“薄情者!”とか“親不孝者”とか言われたが、何を言われても“賛成”と両親の方に寝返っていた。
まぁ色々あったが結局両親は家を売り、田舎に帰った…
あれから16年…驚いた事にお袋の髪の毛が“黒く”なったのだ(笑)
東京にいる時は真っ白な位白髪だったのに、今は白髪はあるものの黒髪が復活しているのだ。よっぽど東京が嫌でストレスを抱えていたのだろう。
田舎に帰った途端、田舎者の血が蘇り、復活したと言えよう。
先日、帰省の連絡をするとお袋はほぼ1日おきにメール(生意気に笑)をしてくる。「甘いスイカを用意したよ」とか「喜多方ラーメンも買っといたよ」(福島県なので)と言った内容だ。
逆にルージュが「お土産何がいい?」とメールすると「そんなもん荷物になるからいらない…身一つでいい…」と返ってくる。
“お袋だなぁ”と思う…
東京にいた際、お袋は甘味が好物だったので、水羊羹と最中とあんみつをしこたま買い込んだ。
オヤジもやはり“かりんとう”や“ラクガン”などが好きなので大量に用意した。
今回、子供達は各々の都合で行けないので、後は“身”一つでいくだけだ。
が、一つ重要な過ちを犯してしまった事に気が付いた…
先月のオヤジの誕生日に“かりんとう”と“ラクガン”を送ったのだが、「今度は甘納豆にしてくれ」との催促を受けていたのだ…
忘れてた…
田舎に行く前に、まず甘納豆を調達しなくてはならない。
田舎と言ってもルージュは“東京産”なので両親の田舎であると言える。
ルージュの両親は田舎を出て東京で結婚し、姉とルージュを育て上げ、成人し独立した途端、何を思ったのか「俺達は田舎に帰る」と言い出した。
いきなりのカミングアウトにルージュ1人では太刀打ち出来ず、嫁いだ姉を呼び“緊急家族会議”が開かれた。
ルージュ夫婦(まだ離婚前でした)と姉夫婦の4人で一斉に「何を突拍子もない事言ってんの?」と畳み掛けた。
ところがオヤジは一向に動じずに答えた…
「お前らが子供の時から決めてた事だ。お姉ちゃんが結婚し、お前(ルージュ)も結婚して家を建てたら田舎に戻ろう…とお母さんと話してたんだ…俺達は田舎もんだから都会の水は馴染めない…土の匂いが忘れられない…かと言って東京で育ったお前達を田舎に連れて行くわけにもいかない…だからお前達の手が離れた今、田舎に帰るんだ…」
と切々と語った。
ルージュの奥さんと姉は、「そんな!老後はどうするのよ?」とか「どうやって生活するのよ?」とか散々まくし立てていたが、ルージュはそんなオヤジを“カッコいい”と思ってしまった。
最初に田舎に戻ると聞いた時は“無責任で無鉄砲で無計画”の“三無ダメ男”
だと思ったが、うちら姉弟が独立した事で責任は果たしているし、うちらが子供の時から決めてたとなると“無計画”ではなくなるわけで…
その話を聞いてからルージュは反対論は唱えられなかった。奥さんや姉には“薄情者!”とか“親不孝者”とか言われたが、何を言われても“賛成”と両親の方に寝返っていた。
まぁ色々あったが結局両親は家を売り、田舎に帰った…
あれから16年…驚いた事にお袋の髪の毛が“黒く”なったのだ(笑)
東京にいる時は真っ白な位白髪だったのに、今は白髪はあるものの黒髪が復活しているのだ。よっぽど東京が嫌でストレスを抱えていたのだろう。
田舎に帰った途端、田舎者の血が蘇り、復活したと言えよう。
先日、帰省の連絡をするとお袋はほぼ1日おきにメール(生意気に笑)をしてくる。「甘いスイカを用意したよ」とか「喜多方ラーメンも買っといたよ」(福島県なので)と言った内容だ。
逆にルージュが「お土産何がいい?」とメールすると「そんなもん荷物になるからいらない…身一つでいい…」と返ってくる。
“お袋だなぁ”と思う…
東京にいた際、お袋は甘味が好物だったので、水羊羹と最中とあんみつをしこたま買い込んだ。
オヤジもやはり“かりんとう”や“ラクガン”などが好きなので大量に用意した。
今回、子供達は各々の都合で行けないので、後は“身”一つでいくだけだ。
が、一つ重要な過ちを犯してしまった事に気が付いた…
先月のオヤジの誕生日に“かりんとう”と“ラクガン”を送ったのだが、「今度は甘納豆にしてくれ」との催促を受けていたのだ…
忘れてた…
田舎に行く前に、まず甘納豆を調達しなくてはならない。

