暮れてゆく街を南へ向かう、足取りは軽くないがそれでも着実に自らがいるべき場所へと進んでゆく。目の前に広がる景色は故郷で見ることはできないものだった、黄昏時は燃え落ちる太陽と、それが引き連れる群青、そして赤みのグラデーション。
美しい星だ、ペンギン星人は素直にそう思う。私はこのような風景を遠く離れた母星の同胞たちにも見せてやりたい、ペンギン星人はそう思っていた。
……故郷の彼らは、いま、どうしているだろう……そして、唯一人、この星で友情を交わしたリョウタ少年は私の帰還をどう思うだろう……涙して歓喜し、抱きしめてさえもくれるだろう。
そう、私たちにはあたたかな想い出と確かな絆、そして種族を越えた友好関係があるのだ。
想い出は美化されていた、都合良く書き換えられてゆく、だが実際にはペンギン星人とリョウタ少年の間には特筆すべきような想い出はない。ペンギン星人はひたすらに勘違いを続けるのだった。
家路をゆく人々がのそのそと歩く彼を見ている、通りすがりのネコが彼を威嚇する、ぶつぶつと想い出をつぶやく不気味な着ぐるみは明らかに異質である、幼い子を連れた母親は我が子を抱きかかえ、足早にペンギン星人から離れてゆく。
「……ちょっといいかな? 」
背後から声が聞こえた、ペンギン星人は振り返る。この星の人々から親愛を受けているのだと思う。
しかし、そこにいたのはペンギン星人を訝げに睨む濃紺の制服に身を包んだ中年男だった。
「◯◯警察の者だが、着ぐるみが……いや、ぶつぶつ独り言を話している不審者がいると通報があったもんでね 」
「ケーサツ……?」
ペンギン星人の思いとは裏腹に、地球人はペンギン星人を受けいれてなどいなかった。
≪まだ続いてしまうのか……≫
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