夜の足音、それは氷を衝く鎌のよう、
彼はまたやって来る、その身に染み渡るように、
のたうちまわる、
這いまわる、
影が体を取り囲む、
鐘が鳴る、
どこか遠く水を渡って、
朝に憂いて夜を明かした、夜に怯えて朝を迎える、生きし日々はただそればかりを繰り返す、
彼がまた来る、この身すべてを取り込もうと口角吊り上げ、微笑みさえも浮かべてた、
また暗がりを用意した、彼は破り捨てたあの紙切れを手にしてる、
祝祭の招待状だか、葬列の案内状だか、それとも下衆な醜聞塗れの大衆誌だか、
映りし鏡のその顔は、よくよく眺むば眺むほど、自分自身にしか見えず、
酩酊醒めてみる夢と、
酩酊さなかにみる夢と、
どちらもやはりは青白く、そしてやはりは青臭く、
意味を問う弱さを笑えと迫る月明かりもまた青みがかって、
意味などハナからありはしないと強がりもせず放てる意志と、
夜の足音、それは凍りかけの雨が打つ音、
夜の足音、それは氷を衝く鎌のよう、
変わらずのたうつ無様を笑うその姿、それは眺むば眺むほど、老いた自らにしか見えず、
足音立てて夜がまた来る、
足音立てて夜はまた来る、

illustration,text by Billy.