村とその国、焼き払う声で荒れ地にしたら、ユリウス、天に向けて翼を広げた。
受難の生、それを与えた神の元へ鋭く回転しながら舞って行く。
このとき、彼は神を信じていたが、その姿は知るはずもなく、我が存在、その真意だけを知るために、神の在り処を探って飛んだ。
いくつもの暗がりを、飛び交う星屑蹴り散らし、彼は無限の宇宙を彷徨った。翼はすでに折れ曲がり、カラスもハトも赤く染まった、光を浴びすぎ、その眼に濁って見えるは微かに灯るホワイトライト。
神の居場所を感じるユリウス、余力と翼の余熱を使い、惰性に任せて落ちてゆく。
吸い込む光と吐き出す光の中間地点、その舞台に落下した。
どこかで聴いた歌が流れる、神を慈しむ聞き飽きた歌、ユリウス、血の混じった唾を吐く。
悪魔か天使か、体を突き抜く声に撃たれて、彼は膝から落ちて這いずりまわる。
呻きながら、
“どちらでもいい”、
“どちらでもない”、
泡立つ血飛沫、ひしゃげて曲がる翼はちぎれ、目を開けることもない。
白い光だけを浴び、
その後ろに伸びる影は暗がり伸びる。
憐れみながら嘲笑い、神は彼の形を変えた、
ユリウス、彼は砂になって、散らばりながら宇宙になって、そのカケラは光を帯びた。
彼は流れる星に群れて、夜の地球を黄金のアーチ描いて彼方に消えた。
人々は神の思し召しだと十字を握り、想い想いに願いを託した、
ユリウス、それを聞くつもりもなく地球を離れて弾けて消えた。