思い出の花 -56ページ目

風光る


北風吹けば吊した干し柿ゆらゆら揺れて
もう食べ頃かと童は燥ぎ
キラリと光るカラスの目

木枯らし舞えば
吊した大根ぶらぶら揺れて
取って食いたや狸も揺れて
乾いた頃かと婆婆の目光る

shadow~シャドー~

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時の流れは早くて
残像だけが
私を通り過ぎて行く
あの日
置いて行かれた時から―――

夏の終わりに
季節の変わる音を
聴きながら
私は影をメイクして
青空を思い出すの

別れの訪れは早くて
幸せだった頃の
残像だけが繰り返す
あの時
手を離した瞬間から―――

過ぎた季節は
掴めるはずも無くて
そこに有るはずも無い
貴方の蜃気楼を
 ただ追い掛けて……

夏に見つけたパールを
パレットに入れ
記憶に引く海のライン
面影残して流れるカラー

あの日
取り残された私は
影を引いたまま
貴方の残像を
 ただ追い掛けて……

shot~ショット~

思い出の花-t.jpg
家に帰っても
出迎える者は無くて
一人見詰めたグラス
この小さなBARは
孤独な私を
微笑み迎えてくれる

今の私に甘いお酒は
似合わない
一人になった私は
いつものジンライム

時が経っても
一人が慣れなくて
また通い始めたBAR
この狭い空間が
寂しい私を
包み隠してくれる

透明なジンの光が
微笑む二人を映して
ライムの香りが
孤独を紛らす

また通い始めたBAR
BGMの
聴き慣れない洋楽は
私の過去を知らない
お酒だけの照明が
弱い私を隠す
このBARだけが
孤独になった私を
許してくれる

二人分の思い出
ポッカリ空いた隙間を
埋めてくれるのは
いつものジンライム