『やまびこの唄』
心につのる山並みの
声に出さねば
やまびこ返らず
山の向こうに
伝えたし想い
川の元より海へと届け
海に想い届いたならば
風に乗せて磯の香りを
届けてくれよう
刻は流るる
想い流るる事なかれ
風は流るる
切なさ流るる事なかれ
心につのる山並みの
叫んだ想いに
やまびこ返る
磯の香りを乗せて
『雪中桜』
春を待ち侘びる季節に
身をかがめ歩けば
建築の間を流れる車と
葉の落ちた街路樹が
この道を寂しく感じさせる
カラスも眠り
人も眠り
オレンジの街灯だけが
寂しく照す道で
先程から雪がチラリ
建築とアスファルトを隠し始めた
人工的な風景も
雪を被れば自然と成し
山と変わらぬ
雪が積もった街路樹
街灯照す道
浮かぶ桜並木
身をかがめ歩く季節に
温もり求め見る雪の花
春を待ち侘びて……
『雪蛍』
吐く息 白く
冷たく澄んだ空気が
身体の中から
心を浄化する
気温の下がった夜空
月がチラリ照す雪蛍
蒼い月が
雪蛍を映し出す
静かな街に
静かに降りた幻
朝 白銀に輝く街を見て
昨夜の雪蛍は
陽のカケラだったと
気付く時
カケラも又 幻
溶けて空へ昇る蛍の光