『聖戦』
教会に運ばれた男女の遺体は
沢山の花に包まれていた
覚悟の死 白装束の二人は
墓場へ導かれてゆく
*
あいつの胸に この剣を突きたてたいと
屍を そばに置いておきたいと願う
この剣で
あいつの胸を十字に切り裂きたいと
中を覗きたいと願う
私の胸は
引き裂かれんばかりに貴方を想い
見透かしても
意に返さぬ貴方の言葉が私の胸を刺す
私は神に誓う
いつまでも あいつにヤイバを向けよう
あいつの胸に剣を突きたてるか
この剣が折れるまで……
*
パイプオルガンと鐘の音が
教会に響き渡り
白のウエディングドレスとモーニング
花束を抱え 幸せを神に誓った二人が
新しい人生へと旅立つ
人々は言う
結婚は人生の墓場だと
『つらら』
白い息は 細かな氷の結晶と成り
白銀の世界に閉じ込められた
凍えそうな日
冷た過ぎる空気が肌を刺し
私をこの世界に閉じ 込め様と体温を奪う
凍える日
暖房の利いた部屋も
明るい照明も
冷たく暗い
寄り添う者も無く
独り自分を抱き締めた
凍えた日
白銀の世界に閉じ込められた
もう何も気にしない
感じない
氷と同化した私
温もりを求めたりしない
今 温められたら
氷は涙に変わり
崩れ落ちてしまうだろう
温もりが怖く成った
『上京絵巻』
田舎暮らしに
愛想を尽かし
江戸に向かう船の上
大波小波 乗り越えて
大きく成って帰るよと
風呂敷一つで
浮世の航海
世間の荒波 厳しくて
漂う小舟
行き先 知れず
人波に飲まれ流され
波立つ心
我を見失なう
しょっぱい水を
たらふく飲んだ
母ちゃん恋しと
寄せては返す胸の内
涙 涙の大津波
帰るに帰れぬ
浮世の後悔
嗚呼 波瀾万丈が
人生かな