思い出の花 -102ページ目

『聖戦』


教会に運ばれた男女の遺体は
沢山の花に包まれていた
覚悟の死 白装束の二人は
墓場へ導かれてゆく



あいつの胸に この剣を突きたてたいと
屍を そばに置いておきたいと願う

この剣で
あいつの胸を十字に切り裂きたいと
中を覗きたいと願う

私の胸は
引き裂かれんばかりに貴方を想い
見透かしても
意に返さぬ貴方の言葉が私の胸を刺す

私は神に誓う
いつまでも あいつにヤイバを向けよう
あいつの胸に剣を突きたてるか
この剣が折れるまで……



パイプオルガンと鐘の音が
教会に響き渡り
白のウエディングドレスとモーニング
花束を抱え 幸せを神に誓った二人が
新しい人生へと旅立つ

人々は言う
結婚は人生の墓場だと

『つらら』


白い息は 細かな氷の結晶と成り
白銀の世界に閉じ込められた

凍えそうな日
冷た過ぎる空気が肌を刺し
私をこの世界に閉じ込め様と体温を奪う

凍える日
暖房の利いた部屋も
明るい照明も
冷たく暗い
寄り添う者も無く
独り自分を抱き締めた

凍えた日
白銀の世界に閉じ込められた
もう何も気にしない
感じない
氷と同化した私
温もりを求めたりしない
今 温められたら
氷は涙に変わり
崩れ落ちてしまうだろう
温もりが怖く成った

『上京絵巻』


田舎暮らしに
愛想を尽かし
江戸に向かう船の上

大波小波 乗り越えて
大きく成って帰るよと
風呂敷一つで
浮世の航海

世間の荒波 厳しくて
漂う小舟
行き先 知れず

人波に飲まれ流され
波立つ心
我を見失なう

しょっぱい水を
たらふく飲んだ
母ちゃん恋しと
寄せては返す胸の内
涙 涙の大津波
帰るに帰れぬ
浮世の後悔

嗚呼 波瀾万丈が
人生かな