『百鬼夜行』シリーズの京極堂は、
「世の中には不思議なものなどないのだよ、関口君」
と言って世にも不思議な怪事件を、豊富な知識と綿密な調査で鮮やかに解決します。
一方、『巷説百物語』の主人公である御行の又市は、
「世の中には不思議なことがあるんだよ」
ってどうにもならない悩み事を、ち密な計画と得意の口先で鮮やかに解決します。
又市は身なりは汚いし口も悪いです。
ですが誰よりも優しい。
自分が起こす「仕掛け」で誰も傷付かないよう細心の注意を払います。
なので、事件の結末や仕掛けの種明かしが、「ストンッ」と心に入り気分がとてもよくなります。
司馬遼太郎や池波正太郎とはまた違ったテイストの時代小説です。
1つの物語が70ページ前後なので、ちょっとした合間に読むことができます。
『百鬼夜行シリーズ』もそうなのですが『巷説百物語』シリーズを読むと、
昔からの慣習や言い伝えを大切にして、次の世代に伝え紡ぐこと
って重要なことだと改めて思います。