うつ病の「概念」は時代と共に変化している・・・
紀元前350年 ヒポクラテスは
長期的な「恐怖」「悲嘆」「落胆」「不安」「自殺」は「黒胆汁」が引き起こす病気であるとした。
中世期は、「深刻な憂うつ」は悪魔によるものだとして、司祭や祈祷師の「悪魔祓い」で治そうとした。
1899年 エミール・クレペリンという研究者が
精神疾患を「早発性痴呆」と「躁うつ病」に分類し、現代精神医学の発端となった。
1969年 NIHMは
全ての抗うつ薬試験のレビューを実施し「適切な対照群と比較した試験ほど、報告された改善率は低くなる」つまり「実は患者はプラセボ反応により改善したと感じているのではないか、薬は実際にはこのプラセボ反応を増幅させているのであり、薬に身体的な副作用があるせいで、患者は自分がうつ病に効く『魔法のクスリ』を飲んでいると信じ込んでいる」と発表した。
1974年 NIHMのディーン・シュイラーは
大半のうつ病エピソードは特別な介入をせずとも、自然な経過を経てほぼ完全に回復して終わると説明した。
2000年代に入り ノースウェスト臨床研究所のアリフ・カーンが
「7種類のSSRIの治験データを検証し、旧世代の薬以上に効果的でないことが判明した」とSSRIに打撃を与えた。
次いで、オレゴン健康科大学のエリック・ターナーが
「1987年から2004年に承認された抗うつ薬12種類のFDA提供データを改めて検討し、74件の試験のうち36件は抗うつ薬の統計的有効性を示せなかった」と断定した。
2008年 日本でも話題になった「抗うつ剤は本当に効くのか」の著者アービング・カーシュは
「プロザック、エフェクサー、セルゾン、パキシルの臨床治験において、極めて重度のうつ病患者以外の患者への抗うつ薬の使用を指示する証拠はほとんど認められない」と結論づけた。
2009年 マサチューセッツ州の精神科医ジョン・イオニーディスは
「SSRIの臨床データを検討したところ、精神医学界にとって憂うつな結果がもたらされた。この残念な結果から目をそらしたくても、自分達(精神科医)はプロザックや他のSSRIに頼ることさえできない、なぜなら悲しいかな『そうしたクスリはたぶん効かない』からだ」と皮肉っぽく語った。
このような指摘にもかかわらず、現在も精神科医は処方を続け、精神科医を信じるものは精神科治療薬を飲み続けている。
ウィタカー氏は何度も「神話」という表現を使っている。
私も最近思うのだが、精神科医もクスリを飲み続ける患者も「神話」を信じる「信者」のように思えてならない。
精神医療が科学的エビデンスもない「宗教」のようなものだとすれば
信じない者、どう考えても信じる事の出来ない者は危険な「宗教」には近づかないことが賢明な選択だと思う。
Nico
引用 : 『心の病の「流行」と精神科治療薬の真実』第8章