かなり遅れてしまいましたが8月21日、岡山市のアート系の作品を主に上映するミニシアターの「シネマ・クレール」にて、高橋大輔さんが出演している映画「蔵のある街」、鑑賞してきました。前売り特典のポストカード等が全種類欲しかった為、券を3枚別々に購入し、家族三人皆で映画館へ。(以下、ネタバレ含む感想です。)
観る前にはなるべく真っ更な状態で鑑賞したくて、殆ど作品について情報を持っていなかったので、最初高橋さんの役どころに驚きました💦不倫!?とか…後に誤解がとけてホッとしましたが。街の人達にも変な噂をされる事無く信頼が篤い様でしたしね。ヒロイン白神紅子の母と高橋さん演じる学芸員の古城緑郎とは絵関係で友人で、父含め知人だったのが、父が二人の仲を誤解して嫉妬し絵を燃やしたりしたのか、と。平松監督は敢えて父母の過去を詳しく描かなかったとの事ですが、若干解りにくくも感じたので、昔の三人が幼馴染で仲良いが古城と母が二人で絵の話で盛り上がる横に父が独り入り込めずポツンとしている様なシーンが少しでもあればなあとも思いました。家族も同意見で、因みに息子は大学4年の夏休みに地元である大原美術館で研修を受けて学芸員の資格を取ったので、懐かしがって居りました。本当に岡山県人としては、映画の画面に広がる既視感ある風景だけでも楽しめてしまいました。美観地区は勿論何度も行っていますが、「肉のいろは」でコロッケとか買った事ありますし、蒼の実家の食器店や倉敷教会の通りも歩きましたし。ジャズ喫茶「穴蔵」ならぬアヴェニュウへの訪問は先月のブログ記事に書いた通りですが、予想以上に登場人物達の集う、物語の舞台となっている感じでした。
とは言え、この作品は単なるご当地映画ではなく、普遍的なテーマを含んだ力作だと思います。紅子の毎日はカナータイプ?の自閉症の兄を放課後迎えに行ったり生活の介助をしたりのヤングケアラーでハード。(倉敷市は全国有数の工業都市で金持ち自治体なので、作業所から自宅の送迎やヘルパーとか出来ないのかとメタな事を思ったり💧)兄がパニックに陥った時、クールダウンとして宥める為友人の蒼や祈一が花火の打ち上げを約束してしまった事から物語が回り始めます。花火は兄の子どもの頃の幸せな記憶そのもので、強い拘りがあるのでしょうね。蒼と祈一も決してヒーロー的ではなく、親に期待されていなかったり現代っ子的なダメな所もきちんと描かれていて、彼らの悩みや葛藤に共感が持て感情移入出来ました。役者さん達、本当に演技が達者です。高橋さんも氷艶で磨かれた発声や演技で、最初は少しドキドキしましたが、俳優の一人として安心して観ていられました。風船の老人の設定も興味深いですね。作中でも触れられている、倉敷の守護神的な「絵の神様」なのでしょうが、兄のきょんくんの様な童心を無くしていない人にしか見えないのでしょうか。風船は幸せの象徴なのか、色々考えさせられます。緑郎さん含め色彩の名を持つ登場人物達が花火を打ち上げる夢を諦めず協力し、前向きなエネルギーで街に活力と彩りを与えていく、観ているこちらも元気になれる素敵な映画でした。