1979年夏 あの夏は暑かった
1970年代も終わりが近づいてきた1979年、オレは小学5年生を謳歌していた。
おふくろのショーツを肩にかけながら「魅せられての」あのジュディ・オングの
今でも何言ってるか真剣に歌詞を読んだ事がないサビの英語を全くでたらめに歌っていたし
時にはアソコが丸見えになるくらいジーパンをおろしては「秀樹 感激」と言って
YMCAを狂ったように踊っていた恥ずかしい少年時代。
暑かった夏、友達と川に泳ぎに行こうとなって数人で集まるんだけど、まあ当時は兄弟多いヤツが多くてね、必ず弟連れてくるヤツが数人いてさ、しかもそう言う弟に限って鼻垂らしてて、シャツの袖で鼻拭いてるようなのが多くてね、結果的に当時のオレのグループは貧乏集団なんだよ、まあ金持っている家の子はプール言ってビート板でバチャバチャやってるだろうしね、そんなわけで夏に川行って泳ぐと言う発想を持っている時点で中流階級もしくはそれ以下決定。
「おーい、なんで弟連れてくんだよ」ってなるわけ、しかも自転車持ってないんだぜ。
当時の子供は金持ち、貧乏入れ乱れて皆、仲良しのグループを結成してるわけで、お坊ちゃんは
5段変速のスーパーカーライトなチャリ持参で、貧乏くさいお母さんのママチャリで登場なヤツもいたりね、しまいには自転車も無い歩兵もチラホラいると言うのが当たり前の時代。
金持ちの友達なんて短パンにハイソックス、のびた君みたいなのを地で行ってるやつ、比べて貧乏軍団はデロデロのTシャツや兄貴のお下がりが多くって、お前それ去年も来てたよな、と言うより今週ずっとその格好だよなって言うのも多かった。
首回りはおしゃれさんですかってくらいビロビロに広がって肩まで見える始末で、とにかく黄ばんでたけど、オレ達は仲間だからそんなの気にした事はなかったね。
まあオレも似たような恰好だったしね。
ちなみに、のびた君似の金持ち坊ちゃんは冬はニットのベストを必ず着用していて、やっぱり冬でも短パンでハイソックスだったよな、金持ちで短パンもいれば、短パンしか無くて仕方なく冬場にも短パンってのもいるので見極めは難しいぞ・
ちなみにその坊ちゃまの家に遊びに行った時に初めてミートソースが出たんだけど、初めて見たからビビったね、一緒に行ったオレより貧乏な相方と一緒に一瞬固まった記憶があるもんね。
なんだこれ、状態よ。 だってミートソースなんて食べた事ないしさ。お恥ずかしながら。
リビングがあるなんてのも今考えれば当たり前なんだろうけど、友達の家なんて7人家族なのに2部屋しかなくってさ、2段ベッドがどんだけみたいな潜水艦の寝るとこ状態なんてのも普通だし、長屋に住んでるヤツとかね、オレん家も壊れかけてたけどそれよりはマシだったな。
スパゲッティで思い出すのはオレの家なんてお袋がケチャップ混ぜただけでナポリタンって呼んでやがってさ、具が無いんだよ肝心の具が、毎回出てくるから多分給料日前の調整期間でケチャップ混ぜて胡麻化してたんだろうな。
と毎回ながら話が脱線してしまい恐縮なので本線に戻しますが、そんな集団で、いざ川を目指そうと自転車漕ぎだすんだけど、歩兵の鼻垂らした弟連中は走って付いてくるのよ。
これが意外に速いし貧乏だから持久力だけはあってさ、分かるだろう、昔の子供ってのはどこまでも走れんだよな、自転車なんかあれば永遠に走れてたしね。
今オレが同じことをやったら最初の信号でゲロ吐くけどな。
いたずら好きのオレ達含めた実の兄連中はさ、悪い考えが芽生えて自転車のペース早めたりしてさ、ダッシュするわけ、弟連中も必死でね、後ろから泣きながら付いて来たりして。
イジメかよっていまなら絶対に言われるでしょう、いえいえ昭和50年代の日本なんてそんな民度の低い時代でね、学校ではせっせと道徳の時間なんか設けて本読ませ、子供たちの心に訴えながら民度やモラルと言う物を猿のようなオレ達に植え付けってたんだからね。
兄貴連中は大爆笑の中、実の弟なのにしまいには巻いちゃおうって事になってみんなでスピード出すけど、3人くらいの弟勢もこれまたジャマイカのマラソン選手ですかってくらい全員でペースを上げて付いてくるわけ、泣きながらだけど根性はやつらあるから。
あの頃はそんな事で一人や二人追いかけるのを挫折して途中でいなくなっても特に心配もせず、泣きながら家に帰ったなくらいにしか思わなかったな
そこまで世の中悪い人もいなかったし、車が走ってたって平気で道路渡ってたしね。
子供が強かったしね、危ない事、痛い事は経験済みで肌間隔で分かってたから、危険回避能力は高かったんだろうね、今のベトナムのオートバイ群の中を平気で道路横断する子供と同じ状況だったんだと思うね。
今だったら虐待って言われるだろうね、でもね当時はそうやって兄貴と遊んでる弟って自然に
気持ちが強く育ってね、小学校高学年の頃には兄貴を泣かせているなんて事は当たり前だったのよ、3番目の弟なんてのはもう悪魔みたいに性格も歪んで貪欲で強いわけ。
って言うか川はどうしたのよ、全く到着してないんだけどと怒られそうです。
この後、川ではとてつもない事件が起きるんだけどね、その話はまた次の機会に。
オイ、本当に次に書くのかと飽き性の自分に問いたい。 頑張ります。