今回の相談は、「出向」に関する質問事例です![]()
出向とは・・・
所属する企業の雇用契約を保ったまま、他の会社で働く事を言います。
大手企業の例だと、グループ会社など関連する別企業で働くことが多いですね。
中小企業の場合は、 人手不足の会社に手伝いに行く・・・という実態も多いと思います。
本来は労働力としてではなく、他の会社で経験をすることでスキルアップをすることを目的に出向したり、人材交流などを目的に行われるべきと言われています。
今回の質問は、出向の際の「責任区分」を整理したい、という質問でした。
出向に関する労働条件、責任の区分について教えてください。
(回答)
● 出向者に対する労働法の適用は?
出向社員は、身分上の労働関係(=出向元)と労務指揮関係(出向先)とで二重の労働関係の上に立ちます。
そのため、労働法の適用については、出向元、出向先につき、それぞれ労働契約関係が存する限度で労働法の適用があるとされています。(昭和61.6.6基発333号)
就業規則について
勤務条件(労働時間や就業の場所など)に関わる部分は出向先の就業規則が適用され、解雇や退職などの労働者としての地位に関わる部分については出向元の就業規則が適用されます。
賃金に関する規定について
現実の支払者の就業規則が適用になり、また現実の支払者が労基法の遵守義務を負うとされています。
実務上は出向先で給与が支給されることが多いので、出向先の賃金規程が適用される場合が多いが、出向元から格差補てんを行っている場合や、出向元から賞与を支給する場合は、その範囲で出向元の賃金規程が適用される。
●労災保険に要注意!
出向者の労務管理で注意すべき点は労災保険の関係です。出向者が、出向先の指揮監督を受けて労働に従事する場合は、労働保険料の計算は、出向先に含まれます。これは出向元から支給されている格差補てん給も含めて、全て出向先で労働保険料を申告納付することになります。また、労災発生時の手続きも出向先が行いますので、注意が必要です。
この点で、派遣元で手続きを行う派遣社員と混同してしまい、出向先の人事担当者が何も対応してくれなかったというクレームになる場合があります。(派遣の場合は、派遣元で労災に加入する。)
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労基法の規定 |
責任の所在 |
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労働条件 労働契約 |
双方 |
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解雇 |
出向元 |
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割増賃金の支払い |
出向先 (最終的には出向元) |
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労働時間 休憩 休日 時間外労働 |
出向先 |
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年次有給休暇 |
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産前産後の休業 |
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育児休業 |