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中途入社社員は期待外れ?
新卒入社者には研修や社内オリエンテーションなど行っている事業者でも、中途入社者については、実務的な説明だけで、他は特に何もしていないという事業者は多いのではないでしょうか?
中途入社者は新卒入社者に比べて、同期という横のつながりが構築しづらく、不安や孤独感を抱えやすいので、能力発揮・定着のための方策が重要です。
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オンボーディングとは
英語ではOn-boardingと書き、乗り物に乗っていることを意味します。入社者が組織に早く馴染んで、能力発揮を後押しし、スムーズに業務に取り組めるようにするためのプロセスを指します。業務についての単なる説明・引継ぎだけでなく、会社の文化や風土、チームとの関係性を築くための支援を含んでいます。
これが出来ていないと、せっかく採用しても業務についてもらう前の段階で、組織に対してのエンゲージメントが下がってしまうこともあり、入社者の力を活かすどころではなく、短期離職に繋がってしまうということにも繋がります。
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オンボーディングの具体的な方策
組織ごとの固有の事情もありこれが絶対的な正解というものはないのですが、どの組織であっても、以下のような方策は有効でしょう。
入社者を子ども扱いしているのではないかという懸念が寄せられることもありますが、私見ですがやりすぎなくらいやって、やっと気遣いは伝わると考えます。
- 必要なツール類の準備は万全に
準備が出来ていないと、自分の入社は忘れられるようなレベルなのかと思われます。
- 入社歓迎していることを形に表す
既存社員にとっては何でもない1日でも、新規入社者にとっては緊張の1日です。出勤してきたら、すぐに駆け寄り迎え入れる側から挨拶しましょう。放っておかれると、ここに入社してよかったのか?と不安になります。
- ランチミーティング
昼食はチームで取りましょう。ただし、一人になる時間も大切なので、休憩時間は別に与えましょう。(=ランチは業務として取り扱う。せっかく気を遣っても、休憩時間ではないではないかというトラブルになっては元も子もないので。)
- 新入社員が知りたい情報は、一つのアドレス(場所)に集約する
困ったらどこを探せばいいかをあらかじめ用意してくれていることは、自分のことを考えてくれていると安心させ、不安を低減させることにつながります。
- 組織の文化・独自性についての情報を与える
今までの入社者から集めた組織あるあるや、独特さについてまとめたハンドブックを用意するなどすると、自分だけが戸惑っているわけではない・ここはそれをわかってくれているという安心感を与えられるでしょう。
- 社内のネットワーク作りを助ける
〇〇は××さんが詳しい、〇〇さんはこういう風に資料を提出されるのを好む、など文書になっていない生きた情報を、出し惜しみせず伝えましょう。(既存社員の悪評を立てるような内容は言わないように)
- 定期的な1on1
入社~一か月:1回/週、一ヶ月~二ヶ月:1回/2週、二ヶ月~三ヶ月:1回/月。
はじめは特に不安が募ります。頻度が高いほうが、実際の不安解消効果だけでなく、配慮されているということそのもので、効果は高いでしょう。ただし、絶対に一方的な意見の押しつけをしたり、業務の質や成果についての面談にはしないようにしましょう。
- 業務以外での目標の設定
どんなに小さなことでもいいので、新しい環境での達成感を味わえるような業務とは直接関係のない目標を設定し、そのサポートをメンターや上長が能動的に行うことで、支援しましょう。例えば、他チームの同僚と毎日3人歓談するなど。メンターや上長への信頼感に繋がります。
- メンター制度の導入
メンターは業務だけでなく、社内文化や非公式なルールについてもアドバイスする存在です。できれば、歳が近いほうが話しやすい存在になれるでしょう。
中途入社者がそれなり以上のレベルの場合、特に注意が必要です。単なる社歴・年齢が上の先輩社員をアテンドすると、手が空いている人を適当に選んでないか?と不安にさせます。入社者との気質的な相性や、業務レベルなどを勘案したうえで、入社者と同等以上のレベルの人を選びましょう。
- フィードバックアンケート
定期的に、現状についてのアンケートの記載を依頼し、内容と時期に応じて、1on1なり社内コミュニケーションツールなどで、丁寧に応対を行いましょう。
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最後に
中途入社社員に対する効果的なオンボーディングは、彼らが迅速にチームに溶け込み、最大のパフォーマンスを発揮するための非常に重要な鍵です。
まだまだ馴染みのない概念で、「中途入社者については即戦力を期待している。まずはお手並み拝見」という事業者も多いです。
中途入社者は即戦力ではありません。
早期に戦力になってくれる、組織に新しい風を吹き込んでくれる人です。
これを活かすことができるかは、受け入れ側にかかっているということを今こそ認識しましょう。