NICCO@マラウィ~国際協力日記/アフリカ編 -世界をフィールドに~ -2ページ目

うんちとおしっこに隠された強大なパワー

インターンの綾田です。日本を飛び出し遠い遠いアフリカの地。マラウイまでやってきました。たった3ヶ月と短いですが貴重な時間を過ごしています。ここで見たこと感じたことをありのままに綴っていきたいと思いますので、みなさんどうぞ御一読ください。


それでは第1記目のお話を。
テーマは初っ端から「え~っ!!」と思うような普段何気なく出している【うんちとおしっこ】について。実はかれらはものすごいパワーを秘めているんです。この日記を読んだ後には、きっとあなたもうんちとおしっこを見直すはず!ひとまずご覧あれ。


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マラウイの人たちが使っているトイレは穴を掘っただけの「ぼっとん便所」。作り方は簡単で、穴を掘るだけです。または穴を掘った周りをコンクリートで固めます。このトイレがなんとも臭いんです!!しかも雨季になると雨水が流れ込み、うんちやおしっこが溢れ出すんです。溢れ出した汚水は家の周りで育てている野菜などにかかり、それが原因でマラウイの人たちは下痢などの病気で命を落すこともあります。(マラウイでは野菜をきれいに洗わないという問題もあります。だから、いつも村でご飯を食べると砂や石でジャリっとします。)


そこでNICCOは活動を行っている地域で、エコロジカルサニテーショントイレ、略して「エコサントイレ」を建てました。このエコサントイレは、地面の上に立てた高床式のぼっとん便所で、雨でうんちやおしっこが流れ出すこともなく、キレイでそして臭くないのが特徴です。そしてなんと!人間のうんちとおしっこを分けて貯めておくことができ、肥料が作れます!!

肥料作りも簡単で、うんちをした後に、台所で出た灰をふりかけて消臭・殺菌します。そして6ヶ月間待てば肥料になります。おしっこは水で約10倍に薄めれば、すぐに肥料になります。



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そんな簡単に肥料も作れ、下痢も防げるこのトイレ!!画期的だと思いませんか!?
でもすごいのはトイレだけじゃない!!うんちとおしっこもすごいのです!!

うんちとおしっこの強大なパワーをご覧あれっ!!!!!   

  
<エコサン肥料を使った畑> 



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<肥料なしの畑>



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このメイズ(トウモロコシ)の成長の差!!恐ろしいくらいのパワーでしょ!?
同じ時期に同じ場所に植えたメイズ(トウモロコシ)が、たったうんちが混ざっているかどうかでこんなにも差が出るのです。うんちとおしっこでこんなにもしっかりした肥料になるのなら、わざわざ貴重なお金を出さずとも食物を育てられる。それを知った村人は大喜びです。メイズの成長を見るたびに、彼らの笑みも輝きを増している気がします。そんな彼らの笑顔を見るのも、メイズがどんどん育っていくのを見るのも、私の楽しみであり喜びでもあります。
今日も大きく育て!メイズたち!


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通ずる想い、通じぬ想い

建設した井戸の余り水を利用して野菜などを井戸の近くの畑で育てる、ウォーターポイントガーデンではマスタードに続いてトマトも実り始めた。グループによっては売り始めているところもある。そこで、稼いだお金をきちんと管理してもらうためのビジネストレーニングや、グループ内でのルールをつくるミーティングを行った。

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ミーティングをすると必ず一度は出てくる意見が、「ニッコーの支援がもっと必要だ」という内容のもの。種が必要、道具が必要、さらにはお金が必要…。時には何人もが声を張り上げ、勢いが増すこともある。村人が話すチェワ語を理解できないだけに、声の大きさやその迫力に負けて内心ドキドキしてしまう。なんとか冷静を装って返答する…新たな種は配れない、道具が必要だったら売上げから出すことを考えて欲しい、井戸を維持し続けるために自分たちの村のために頑張って欲しい。けれどこんな私たちの想いを理解してもらうのはそう簡単なことではない。自分の家族を養うことでいっぱいいっぱいの彼らが、自分のためでなく村のみんなのためにこつこつ長い時間をかけて野菜を育てること自体、これまで無かったこと…。彼らの目線に立ち、一歩一歩進むことを忘れてはいけないと考えさせられる。

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ミーティングの終り、「ジコモコンビーリ(ありがとう)!」、「ティオナナ マーワ(また明日ね)!」と握手してさよならする。あんなに文句を言っていたから明日は来ないかもしれないなぁ…と不安が募るほど、握る手に力が入る。翌日、思いのほかほぼ全員が来てくれた。喜びと微妙な驚きが混じった複雑な気持ちを振り切って、女性たちの誘いを受けて手を繋いで歌って踊った。体全体を使ってリズムを取り、お腹の底から声を出して歌う彼女たちは本当にかっこいい。とても追い付かないけれど、私も私なりに歌って踊ってみる。するとさらに盛り上がる。なんとなく想いが通じているような感じ…こんな瞬間が一番嬉しくて楽しい。

マラウイでの仕事の進め方

雨期が迫ってきている。マラウイの主食ンシマの原料であるメイズ(とうもろこし)の栽培は雨期と同時に始まる。つまり村人にとって忙しい季節。ここでの仕事のパートナー、現地スタッフのジェーンによると、雨期に入るとワークショップをしようにもなかなか村人が集まりにくいらしい。それを聞いて少し焦った私。なるべく重要なことは早めに終わらせようと、11月いっぱいのスケジュールを組み、ジェーンと農業担当のスタッフ、ジャーマンとミーティングと行い、予定を確認し合った。

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ところが…予定通りにはなかなか進まない…。現地スタッフの一日の終業時刻は夕方4時。3時を過ぎるとジェーンもドライバーもすっかり帰宅モード。ウォーターポイントガーデンのモニタリングやワークショップの参加を呼びかけるために帰宅方向とは違う方向の村へ車を走らせてもらうのにも一苦労する。モニタリングを怠ると野菜がダメになっていても救えない…直接話して参加を呼びかけなければ村人は翌日のワークショップには来ない…(あの村の人にも来るように伝えてねー、では通用しない…)、結果が見えている分、私はつい落ち込んでしまう。

何でもきちきちと仕事をしたがる自分と(こんな風に書くとしっかり者のようだけど残念ながらそんなことはない…あくまで彼らと比較するとそうだというだけ。)マラウイの現地スタッフとでは、仕事の仕方はもちろん、仕事自体への価値観もまるで違う。一筋縄でいかなくて当然。きっと私はここで何かを学ばないといけない…、自分の何かを変えるチャンス…、そう思ってここ数日、毎夜これまでの自分を振り返ったりしている。

彼ら現地スタッフ無しでは、プロジェクトは進められない。一歩でもゴールに近づいていけるよう、彼らと一緒に頑張りたい。明日は月曜日。また新しい一週間が始まる。彼らのいいところ、それは何か問題が起きても明るく次に踏み出すところ。まずは私もそれに倣ってみようと思う。

マラウイ到着

首都リロングウェに到着後、さっそく車で一緒になったマラウイの女性のエネルギー溢れる笑顔と笑い声が私の不安を打ち消してくれた。初めてのアフリカ。空からみたマラウイの大地は赤く、そこはこれまでに見たことのない世界。間もなく始まろうとしている二ヶ月限定の新しい生活が想像もつかなかった。

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早くもここへ来て二週間が経った。今ではすっかり肌は黒く焼け、「ムリバンジ!(how are you?)」とチェワ語で挨拶することにもすっかり慣れた。

井戸に併設されたウォーター・ポイント・ガーデン。使った水が流れていくところに、小さく囲まれた畑があり、そこでトマト、マスタード、玉ねぎ、そしてバナナやパパイヤなどのフルーツを育てている。ウォーター・ポイント・ガーデンは全部で16ヶ所。それぞれ、選ばれた農家10名からなる委員会で管理されていて、私たちはそのメンバーへ向けて、育て方や委員会の運営方法についてのワークショップやミーティングを行う。

ウォーター・ポイント・ガーデン運営の目的は、井戸を維持するための資金づくり。井戸が壊れたときの修理に必要なお金を、収穫した野菜の売上げで賄う。メンバーのモチベーションの低いグループ、野菜が虫に食われているグループ、早くもマスタードの収穫が迫っているグループ、課題や状況はグループによって様々だ。

ただし私たちのゴールは収穫や販売ではない。村人が自主的に取り組み、井戸を維持管理できるシステムを作ること。二ヶ月なんてあっという間…限られた時間で無能な自分ができることなんてわずかだろうと思う。でも、精一杯頑張ってみたい。「ゴールを見失わず、今やるべきことを一つずつクリアしていけばいい」、これはここで働くスタッフ秋本さんからのアドバイス。与えられた時間で、見つけることができた課題と一つ一つ丁寧に向き合っていきたい。

徒然日誌3 -Warm Heart of Africa-

最終回となる第三回目のテーマは「Warm Heart of Africa」。アフリカのあったかいココロが詰まったマラウイで私が感じたこと、想い、そしてこれからを綴ります。

 

自身で課したマラウイ派遣のミッションの一つ、それは「自分の進路を見据えること」でした。実際に自分の足で現場を訪れ、自分の眼で見て体で触れて感じること、その時間が、進路に悩み、さまよっていた私に必要でした。この国際支援といわれる特殊な世界で働いていくことはどういうことなのか。10年後、一体私はどこでどうやって何をしていたいのか。そしてその目標を達成するにはどんなプロセスが必要なのか。じっくり考えるきっかけがある、そう信じて今回の派遣に臨みました。

 

また、私の頭の中にあった「貧困、紛争、不衛生」などのアフリカへのレッテルも一度リセットして、じっくり一人ひとりの「生」をこの目で確かめることも重要なミッションでした。

 

そう意気込んで始まったわたしのマラウイdays。一人ひとりとの出逢いが楽しくて嬉しくて、あったかいココロに包まれながら、あっという間に47日間が過ぎていきました。そんなこと最初から想定していましたが、やっぱり時間だけは偉人でも戻すことはできないもの。そう思って一日一日が帰らぬ日々だと、常に心に言い聞かせていました。

 


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マリ(私の名前)と名付けられた赤ちゃんと。

 

「幸せなときはある?」

「こういう時が幸せっていうのはないよ。だって毎日が、今この瞬間が幸せだからさ。」

「夢はあるの?」

「もちろんあるさ!将来は手芸を習って洋服を自分でつくりビジネスを始めるんだ。」

この人たちは貧しくなんかない。彼らの心は日本の大都会よりも100倍以上あったかくて、そして豊かである。そして、自分のゴールをちゃんと持っている。私は、一人ひとりの想いを聞いてなんだか少し安心しました。なんだ、みんな一緒なんだ。

 

正直不安がなかったといえばうそです。「もうこんな世界で働いていられない!」と思うかもしれない。だけれど、その時は自分自身の想いなのだからそう受けとめよう、とある種の覚悟はできていました。だけれど、彼らの「生」をしっかりと確かめたことで、私はよりいっそう「少しでも彼らの力になれたら」という想いがぐんと強くなりました。頼りっぱなしじゃなくて、自分たちの力で助け合おうという彼らの姿勢から、私は多くのことに気付き、そして将来を見据えるきっかけとなりました。

 


NICCO@マラウィ~国際協力日記/アフリカ編 -世界をフィールドに~

私の夢はフルタイムで働く農家になること。

 

そして、もうひとつ勉強になったのは、スタッフ一人ひとりの姿勢。現場でどういう想いで、どういう姿勢で働いているかを知ることは、私がNICCOに入局した当時からの目標の一つでもありました。一人ひとりの「思いやり」が大きな力となって事業を動かしているのです。皆が村人との強い信頼関係を築いているのはもちろん、しっかりモットーを持って取り組んでいる姿。一人ひとりのおおっきな背中を追っかけながら、自分なりの信念を貫いて目標に向かって努力していこうと思えました。

 

そんな私の進路決定への鍵となったのは、「自分自身の武器を身につけること」。前回の日誌にも書いたように、まだまだ私に足りない事はありますが、まず自分自身が自信をもって誇れる「専門性」を身につけて、その技術を活かして、将来この世界に関わっていこうと決意できました。

 

「共に生きる」―。私のモットーがより一層色身を帯びることとなった今回のマラウイ派遣。「お互い一生懸命生きようね、でも相手を思いやる心は忘れずに。」とりあえず、今これからは、この想いをもっともっと多くの人に伝えていくことが、今わたしができることの一つ。一人でもたくさんの人の心になにか芽がでるきっかけとなればと信じて、これからも自分軸を大切にして一歩一歩前に進んでいきます。


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 マラウイの夕焼け