「裕君待っててね今行くから」
本当は一緒に居たかった。
ずっと裕也の血に浸っていたかった。
でもそれではいけない。
一緒に居れない。
永遠の一人になってしまう。
捕まってからじゃ遅いの。
でも・・・。
葛藤は果てしなく続いたように思えた。
「ここは・・・」
「こんにちは、願望者の方?」
いかにもオタクという匂いがプンプンする。でもどこかおかしい男が小さな椅子に座り有実に話した。
「なんですか?ここ」
「ここは自殺所だよ。死にたいやつらが集まって命を投げ捨てる場所。死にたいんだろう?」
男は目が据わり有実を見つめた。
「自殺所・・・」
「死にたい。裕君の場所に行きたい」
「なんだかわからないけど貴女はいくつですか?」
「大人よ。何でもいい私は死にたい!どうすればいいの」
血まみれの有実に男は据わった目で
「わかりました。誓約書を読むのでサインをお願いします」
と事務的作業を行った。
あぁ早く横になりたいそう思う男。
最近体調が優れない。
もうフラフラで働く気力がない。
でもこの子は生きていなければならない気がする。
でも頭でわかっているはずなのに。
どうしてだろう。
何だか他人なんてどうでもいいような気がした。
「受取人はママでいいや」
遠く聞こえる声。
勝手に手を動かし案内するさま。
情けない。
また人を・・・
「ではエレベーターを上がり下さい。いい旅路を」
「裕君!!!」
有実はフラフラしながらでもまっすぐ歩きエレベーターに入った。
それからのことは覚えていない。
ただ真っ白になって
裕君のそばに行きたくて
飛んだのに
行けなかった。
「とか思ってるのかなあの子」
続く