オンナひとり助けられないで、何が、革命だぁっ! | 自分に勝ちに行く!!

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聞くことは、人を豊かにする。話すことは、人を機敏にする。書くことは、人を確かにする。自分の心の内側を、書くことで確認して行こうと思います。つれづれなるままに、テーマもなく...?.。心の引き出しを増やそうと思います。

 

 

 

 

ずっと書きたいと思っていたレビュー、3回目の鑑賞の後に書く。(つまり、3回も観た。)

 

1回目は、面白かったのか、面白くなかったのか、さっぱりわからなかった。

わからなかったが、妙に引っかかり、今度もう一回観てみようと思っていた。Amazon prime。

 

ところがまた観ようと思った時には期限切れになっていてプライム特典では観られなくなっていた。

そして2回目は1年後くらいに観たのだったか。

 

なんでこの作品に魅力を感じていたのか、なんとなく、わかったような気がした。

圧がすごいのである。つまり、なんらかのエネルギーが充満している。。

 

うまく説明がつかないまま、時はまた流れ、3回目をチャリと観た。

 

あっ。何のことを言っているのかって?  

映画、「菊とギロチン」のことである。

 

 

 

 

 

 

 監督、脚本は瀬々敬久。

時は大正末期。

 

関東大震災は甚大な被害を与えたばかりでなく、その影響は、社会主義者の弾圧や、在郷軍人などによる朝鮮人の虐殺事件など、多くの問題を引き起こし、社会秩序が乱れ、あちこちに不穏な空気が流れた。

 

無政府主義者を謳う「ギロチン社」。自称詩人のヒガシデ中濱鐡が、そのアヤシイ結社のリーダーを勤める。

 

軍資金がなくなると、偉いさんを強請っては金の無心。テロルなる強硬手段での革命を唱えるが、本人は煽るばかりで子分たちは失敗ばかり。クズ男ばかりである。

 

理想と現実の欲望が噛み合わず、空回りばかりの未熟な集団だ。(実存していた。)

 

銀行頭取を襲撃するも相手を間違え、仲間は散り散りになり、ヒガシデ中濱と、ウラナリ大二郎は東京近郊に逃亡した。

 

一方で、花菊は貧しい農家の後家嫁であったが、暴力的な夫に耐えきれず、子供を置いて家をでた。

そして、その村に訪れていた興行の女相撲の旅の一行に加わった。

 

玉岩興行は地域のヤクザの元締めや相撲好きの地主などの贔屓を受け、土地を転々としながら興行を続けている。

戦争の色濃い時代、警察の監視や狭量な在郷軍人の偏見の視線を交わしながら、日々を上手く立ち回り、稼ぎを作っていた。

 

女相撲は江戸末期より昭和30年代頃まで地方にはかなりあったようだ。実は、それらはその時代、逃げ場のない女たちのセーフティネットにもなっていたのだという。遊女であった十勝川や、花菊のように家を捨ててここに来た小桜や。貧しくて腹一杯食べたいと門を叩いた者もいる。。

 

ここにいる女たちは誰もが人に言いたくない過去や現実から逃げて来ていた。

 

そんなワケアリの女たちだが、だからこそ、強くなりたい、と、心底思っているのだった。

 

ヒガシデ中濱は主義者ではあるが、自堕落で女好き、夢は語るが実行はしない。

大二郎は中濱の計画に乗り、人を一人殺していた。

 

逃げ延びた場所で中濱と大二郎は合流した労働運動社の村木と和田とで女相撲を見に行く。

見せ物的な余興と思っていたが、女たちの戦いは真剣そのもので会場は白熱した。

 

なかでも顔立ち美しく、色気もある十勝川は土俵に鯛が投げ込まれるほど人気者であった。

 

中濱と大二郎は、女たちのアツさに触れて、共感し、女相撲の一行に関わるようになっていく。

 

大二郎は花菊に、中濱は十勝川に興味を持ち始めるが、十勝川には秘密があった。

十勝川は朝鮮人であることを隠し、興行の裏では客を取って身体を売っていたのだ。

 

そんな中、偏見の塊のような在郷軍人の飯岡は、女相撲の中に朝鮮人の女がいることにこだわり、風紀を乱すと名指しをし、十勝川にサディスティックな執着を持って監視するようになっていく。。

 

そして。。。。‼️‼️ぎ、ぎ、ぎゃあ〜〜〜、ッッッッ‼️

 

て、て、天皇陛下、バンザーイ!!、、、

、、、、。

 

 

オンナひとり助けられないで、何が、革命だぁっ!

 

 

映画のジャンルとしては、群像劇、ということなのだろう。

複雑なストーリーが入り組んで、ひとつのストーリーになかなかまとめられない。

それが、レビューを描きずらい理由の一つなのだろう。

 

しかし、その時代の女の生きづらさや、若者たちの時代に対する焦燥、戦争で壊れかけた人間の歪みや、日本人の狭量さなどが、沸騰するようにフツフツと浮かび上がってくる。

 

それらが関東大震災の社会主義者への弾圧や、警察本体?や在郷軍人による地元民を巻き込んでの朝鮮人の虐殺事件など、偏見や嘘が蔓延した時代を作っていたのではなかろうか。

 

誰もが幸せではなく、鬱憤を抱えていた時代背景。。。

 

人々を顧みない政治と、その現実から乖離した世の中と。

 

そこにリアルに生きているのが、「自分を生きる」覚悟を決めた、オンナたちである。

 

ラストのウラナリ大二郎がいい。

花菊に自由に生きることを諭し、花菊への花道をボッカーン!と作ってやる。。

 

これはマジにスカッとした。

そしてとてもいいシーンであった。。

 

それぞれの人間たちを描いて映画は3時間越え。

ゆめゆめ油断するな!

最後まで観れたものが、いい知れぬ感動を得られる。

 

ギロチン社の面々の結末で流れるテロップも、誠に物哀しい。。

 

合格です‼️

 

大好きだなー。この映画‼️

 

ちなみにこの映画から、福田村事件の映画が作られることになったそう。

キャストもいろいろかぶっている。

2つをセットで観るもまたよし!