サンディエゴにある、カリフォルニア・ルービックという会社に、アンドレを通じて契約社員となったわたしは、文化服装学院を卒業してすぐに、単身でアメリカに渡った。
海外旅行も一度もしたことがなく、ましてや言葉もままならない。それでも、なんとかなるさ。と、思っていた。楽天的。
取りあえず、就職がアメリカに行く、という形で決まった後、付け焼き刃に日仏学院で3ケ月、英会話とフランス語会話をならった。最初の頃は、一番前の席で、なんとか理解しようとしていたが、3ケ月を終了する頃は、うしろの方で、爪をいじっていた・・・・。意味なし。
今,覚えているフランス語は、ジュ、フェ、ド、ラ、ナタシヨン(わたしは水泳が出来ます。)と、ニ,ト、ロン、ニ,ト、クー(長くもなく,短くもなく。)こんな言葉くらいだ・・・。意味なし。
シンガポールエアラインのビジネス席だった。がらがらだったので、肘掛けをあげて、北海道行きの夜行列車に乗る様にL字になって、眠った。
ロスについて、空港を変わるのに、スーツケースをずるずるしながら、何十人の人に声をかけて訪ねた。旅行英会話の本を持って行ったので、訪ねる質問は完璧だ。ただ、帰ってくる答えが、なんと言っているのか,全く解らなかった。そのとき、荷物をロスで受け取る様に日本の空港で言われていたが、ダイレクト to サンディエゴも、可能だったのではないだろうか?
そのチケットはアメリカから送られてきたものだった。
重いスーツケースを持って、バスに乗って、別の空港に行かなくてはならず、汗だくになった。
自分が宇宙人になったような気がした。
その時、初めて、わたしは、とんでもない所にいくのだなー。と思った。
ようやくサンディエゴ行きの飛行機に乗れた。カトンボのように小さい小型機だった。
その飛行機が飛び立つと、荷物置きの棚が壊れそうにガタガタゆれた。 わたしの抱えた不安のようでもあった。
でも、空は晴れて、めちゃくちゃきれいだった。そして、小さい家が、カラフルに並んでいるのが見えた。ひとつひとつの家の脇に青い丸が見えた。目を凝らすと、プールのようだった。
今までで、その時にしか見た事がない、ボールのようにまん丸い雲が、いくつも飛行機の下に浮かんでいた。
天国の様に、きれいだった。
思えば、あの飛行機の中で見た風景が、わたしの初めての、海外体験の印象だ。
ここの人はみんなプール付きの家に住んでいる。
澄み切った青い空の下で。
サンディエゴ空港には、来てくれるはずの迎えはなかった。
なんて事 ? と、思ったが、せっかちなわたしは電話のかけ方もわからないので、タクシーに乗って、住所の紙切れを見せた。
タクシーの運ちゃんはしきりに話しかけてくるが、わたしにはわからない。適当に相づちを打つしかない。それがよくなかったのか、なめられたからなのか、32US$のメーター表示なのに、渡した50ドルをサンキューサンキュー、と、言って、そいつはお釣りををよこさなかった。けんかするすべもわからず、わたしは、会社の前にスーツケースごと降ろされた。
わたしのサンディエゴでの初日。
楽天的なわたしをメッタ斬りにする一日は、まだ、終わりでは、ない。 続く~。























