何が大変だったって、今回の展示会は、10月に開催した埼玉県立近代美術館の時と違い、前日に搬入、設営ではなかったことだった。
開催当日午前中の9時から13時までに設営を終わらせなくてはならない。
展示会場には何度も下見に行ったが、展示方法も埼玉県立近代美術館と全く違い、はたして午前中で形になるのか本当に不安だった。
会場を決めた時には6mの天井は自分の作品を飾るのに最適で見つけた!! と、思うほど嬉しかったが、いざ展示となった時、6mのリフトからの展示はめっちゃアドベンチャーな感じであった。
自分にはムリだと思っていたので、イシマツさんに頼んでいたが、荷物を運ぶのに車を出してくれたチャリも結局午前中は設営にも入ってくれた。
飾り付けの位置の良し悪しをカチャバラにお願いし、コンキはアイロン係になって、次々に作品の皺を伸ばす。
わたしは作っておいた展示ディスプレイ図を片手にそれはそっち、これはこっちと指示役である。
時間との戦いの中、えらく硬くて太いピクチャーレールワイヤーとの戦いや、高いところでの並行に飾れているか確認したりと、チッチッチッチッと進んでいく時間の中で、みんな素早く動いてくれた。
鹿児島から駆けつけてくれたホルスは到着するや否や、リフト系は得意なようで、高いところにスルスル登ってスピードアップで展示を畳み掛けてくれた。
本当に、ひとりでは何もできない。と、痛感する。。
13時にはほぼネームなどを貼り付け終わり、信じられないくらい時間内に展示設営は終わった。
そして、チャリは会社へ向かい、展示会は始まった。。。
そこに至るまでに、前の時もそうだったが、一番悩んだことが、どうしたら、わたしのことを知らない人にここに足を運んでもらえるんだろう。ということだった。
もちろんわたしの知りうる限りの人たちに知らせよう。知らせたい。と、思ったのは当然だが、それ以上にどうしたらこの作品展を誰かが知って、興味を持って、作品を目の前にして何かを感じてもらえるか、をずっと考えていた。
そんなになんでも自分でプロデュースしなくていいよ。作品を並べて、来てくれた人に見てもらえればいいじゃない。と、チャリは言うのだが、どうしたら、、、、を考えるのは、わたしのサガなのである。
そんなワケで、地元のタウン紙や、卒業した中学校、女子美の広報、近所のお店、新聞の無料の掲載依頼、etc...そのほかにも、アトリアでもそういった広報を広げてくれるところはないかをお尋ねした。
人生の中で、こういった形で、あと何度もできるとは限らない。
今あることは、一期一会なのだ。と、思っていた。
そんなヒリヒリした毎日を過ごしていた時、5月のGWはどうすんの?と、チャリが問う。
試し染めまで出来れば嬉しいと思っていた着物は、急ぐより、腰を据えてやる方がいい。と、決めたので、出かけることになった。
郡上八幡から、南アルプスの麓の宿、そして帰りに友達が経営する、蓼科のオーベルジュに立ち寄った。
あちらは人が休みの時は忙しい。こちらは休みの時しか動けない。
なかなか会う時間が取れないので、行く時はいつも突撃になる。
ランチタイムの終わりくらいに訪ねて行くと、まだ食後のコーヒータイムを楽しんでいるお客様もいた。
その間に各自食事もとって、次のディナーの用意になる。
お店はカンタローさん、娘のユメミちゃんとフウキちゃんが切り盛りしている。
カンタローさんがお客さんが捌けた時に昼食をとるので、少しだけ話ができた。
10月の展示会に車を走らせて来てくれたカンタローさんが、展示会の準備はどう?と聞いたので、わたしが先の話をすると、ピザを食べながら、自分の話をしてくれた。。。
俺はさぁ。本当はさぁ。根を張りたくないって、ずっと思っていたんだよねぇ。
流れるままに暮らしていけたらいいなぁって、そう思っていたんだよねぇ。
こんなふうに、ひとつところに根を張って、こういう生活をしているって、昔は考えても見なかったんだよねぇ。
カンタローさんは山男で、若き日は、夏は山小屋で働き、オフシーズンは旅をしたり、里で働いたりしていたようだ。
でも、ひとは変わるんだな。一緒にいたエミちゃんの夢でもあったここに根を張って、それでいいって思っているんだからね。
お店ができたばかりの頃はさぁ。取材なんかも来てくれると、新規のお客さんも増えてくれるかなぁ、なんて思ったりしたけど、結局はいいところもあれば、悪いところもあったりして、どんどん知ってもらえばいいってもんでもなかったよ。
例えば、そう言うのを見ると、来る人は、ものすごく期待して来るんだよね。
そうすれば、その期待と少しでも違うと、がっかりされたり、そういう感想なんかも書かれたりして、あまりに情報が多いよりも、ふらりと来て、あぁ、ここ、いいなぁって思ってくれるようなお客さんの方が何度も来てくれるようになったりするんだよね。
そういう人に出会えることが、まず一番だと思うよ。それで、そうやっていると、必ず、そんなふうにまた見に来てくれる人たちが増えていくと思うよ。。。。
やっぱり、なんでもそうだけど、人と人、なんだよね。。。
そんな話を聞いて、何か、自分の中の緊張が解けた気がした。。。
俺はさぁ。今でも、なるようになるさって考え方かなぁ。。。
そうかぁ。。わたしはさぁ。目の前に目標があると燃えちゃうタイプなんだよねぇ。。。
わたしがそう言ったら、カンタローさんは、愉快そうに、笑った。
おそらく、天国で二人の話を聞いているエミちゃんは、わたしの言葉を、自分とおんなじだ!!と、きっと、思っているに違いない。。。
カンタローさんの気持ちを長い年月の中で、変えさせた。。。
カンタローさん、また遠いところ、展示会に駆けつけてくれて、ありがとうございました。
ユメちゃん、フウキちゃん、Tシャツ着てくださいね!!

























