バレンタインデーに寄せて
そんなわけで、子どもの頃から映画好きだった。(どんなわけじゃ。)
父と一緒に蕨劇場にも行ったし,たくさんのハガキを、洋画の窓という、12チャンネルの深夜番組に出して,試写会も見に行った。けっこう出すヒトが少なかったのか,当たるモンだった。
昔は、ペアチケットではなくて、試写会のハガキは、ひとりしか入れない。そんな時も、母は、付いてきた。(と、いうより、連れて行ってもらった。か。)
はがきを、もぎりのヒトに渡して,わたしはここで待ってますから。と母が言うと,もぎりのヒトは,いいですよ。一緒にお嬢さんとご覧ください。と言って必ず中に入れてくれた。母も確信犯だったと思うけど,入れてくれなくても,母なら,待っていたろうな。と、思う。
小学6年の時に小さな恋のメロディがブレイクして、子ども達にも,外国人のアイドルが出来た。マークレスターだ。
ビージーズのメロディが耳に残る。何度か期間を開けながらヒットを出している彼らの、2波の時代だ。(1期目はホリディとか、マサチューセッツ、3期は、大好きなサタデーナイトフィーバーの時。)
そのころから、スクリーンとか、キネマ旬報とか、映画の雑誌が目につくようになった。
アランドロンとか、チャールズブロンソンとか、ハリウッドスターがグラビアページを飾った。さらば友よも、かっこよかったなぁ。
ちょうど中一くらいの時に当たった試写会のハガキで、ロミオとジュリエットを父と見に行った。この時は、ペアチケットだったのかな ? 父がゴリ押しで入るのを見た事がないし、そのたぐいを器用に出来そうにない。
オリビアハッセーの、信じられないほど美しいジュリエットと、ちょっと四角い顔のレナードホワイティングの、なんとも悲しい愛の物語だった。話の途中から、泣き始め,最後は号泣していた。
家に帰ってからも,寝ても覚めても,ロミオとジュリエット。
あの時の感動をもう一度とばかりに、スクリーンも買い始めた。
スクリーンの後ろの方に載っている、アヤシい通信販売の、ブロマイドも買った。
今見ると,どこが良かったんだろう?と、思うくらい、真四角の顔の、レナードホワイティングにぞっこんになり、下敷きにはさんで,毎日眺めていた。
死をもいとわない、狂おしい恋。かけた命よりも、なお、大切な他人。
幼いながらに、こんな人間関係があるのか、と、激しく胸を打たれた。
ヒトを恋する事に、漠然としたあこがれを抱いた。
それがきっかけとなったかはわからないけど、買い始めたスクリーンにイラストを添えたハガキを出した。
そのハガキは、翌月のスクリーンに掲載されていて、驚いた。
洋画の雑誌なのに,なんでか、12単衣のお姫様を書いたような覚えが。
この12単衣にフックがあったのか、写真を付けてなかったからなのか、50通ほどの手紙が、届いた。
たくさん届いた手紙だったが,話をしてみたいと思うヒトは、ひとりしかいなかった。
そのヒトとは,何年か文通を続けて,今も、年賀状の交換をしている。
会った事は一度もない。
でも、これも、ひとつの出会いであり,つながりなのだと、とても、大切に,思っている。
























