NHK・にほんこども新聞 -3ページ目

【第31回】Dear, Big Brother

木乃伊的生活.web-日野宗尚

先 日、事務所のポストを開いてみたら、見慣れたチラシやら請求書の類やらに混ざって、上掲画像のような、実にミステリアスな“名刺っぽい何か”が投函されて いた。実はこれ、手にとってみると分かるのだが、“地下系桃色商売の皆さん”が、“商品”を出前する際に投函していく「ピンチラ」と同じような紙質の代物 なのである。しかもそれでいてチラシと呼べるものかと言えばそうではなく、だからと言って名刺と呼べる代物かといえばそうでもないという、なんとも珍妙極 まりないアイテムなのだ。なお、まったくの余談だが、集合住宅などに「ピンチラ」が投函されている場合、同じ建物に住む人や近隣住民の誰かが、「夜の出 前」を頼んでいると考えて差し支えないだろう。君のクラスの一番うしろにパーマンが潜んでいるように、あなたの家の近所にも、血気盛んな男性は潜んでいる のである。

さて、それにつけても「日野宗尚」氏とやら、一体何者なのだろう。

そんな素朴な疑問を感じた筆者は、投函状況 から考えて、同様の体験をしている人がどこかにいるのではないかと推測し、すぐさまネットで調べてみたのだが、現在のところ、ネット上での情報拡散はさほ ど進んでいない様子。しかし、2chやTwitterなどの一部媒体では、既に筆者と同様の体験をし、その不気味さゆえに、コメントを投稿しているユーザ が散見された。そこでさらに興味深く感じた筆者は、この名前を元に検索をかけてみたのだが、その結果ヒットしたのが下掲画像のようなサイトである。

木乃伊的生活.web-日野宗尚

『日野宗尚ー「刑法論考』「大地震時に伴う火災に関する調査」という、なにやら極めて個性的なコンテンツが並ぶサイトである。(http://www2.tba.t-com.ne.jp/abcz111/)。

無 論、得体の知れぬものに対して、バイラルマーケティング的な貢献をしたくない筆者は、URLこそ掲載すれど、リンクを貼るつもりなど一切ないのであるが、 もしまかり間違って、読者諸姉諸兄の中に、このサイトに興味を持った方がいるならば、思い切って上掲URLをコピー&ペーストしてこっそりと覗いてみて欲 しい。おそらくその余りに独創的な内容ゆえに、8割方のユーザが脱落するだろう。ブラウザのウインドウを閉じるまでに、2、3分あれば充分かもしれない。

と はいえ、少なくとも、好事家にとっては下手なベストセラー本を読むよりも、いくばくかの有意義な時間が過ごせるであろうこともまた事実だ。なお、まったく もって余談だが、三流四流五流の雑文稼業として十数年間糊口をしのいでおりながらも、筆者は某グローバル大作家先生が書いた1Qなんちゃらを未だに拝読していない。なぜなら筆者は、国境の外れあたりまで移動する気概もなければ、北欧の森を彷徨う勇気もなく、また、ひたすら踊り続けるほど若くはないからである。


と、やや本題から逸れてしまったが、再び話を冒頭の名刺に戻すと、先述したサイトに掲載されている極めて特異、かつ、大真面目な私的学説の内容は、ザックリと要点だけかいつまんで説明すると、概ね以下のようなものとなっている。


■「大地震に伴う火災に関する調査」の項のまとめ

・大地震などで火災が起きた場合は、ダンプで運んできた土砂をユンボシャベルで流し込み、家ごと殲滅させてしまう。それにより、類焼を防ぐことができるのではないか。

・その際、家屋の下敷きになってしまって動けないような被災者は、気の毒だが死んでもらう。

・この手法は、戦艦などで魚雷を被弾した際に、区画ごとに閉鎖し、沈没を防ぐような手法と同じものである。


… と、ことさら筆者などが言うまでもなく、極めて独創的な内容となっている。無論、同サイトでは、このほかにも実に様々な「学説」が掲載されているのである が、目下、本業での締切が近い筆者に、それを書くだけの余裕はない。そして、その余裕がないということは、当然のことながら1Qなんちゃらを読む時間もな いということである。テレスクリーンなぞなくとも、筆者の行動は丸見えなのだ。



永久戦争は続く。