怒涛の素敵な一週間 | 音楽、経験、心情、出会い

4/27-5/2

シッケダンツ先生のマスタークラスと、ショルツ先生のクラスコンサート


どうして、大事なものがかぶるのか。一度はマスタークラスの受講をやめようと思ったし、一度はコンサートの出演も辞退しようかとも思った。ずっと迷っていたけど、結果的にやれるものなら、どっちもだ!と思いついてマスタークラスの申し込みをした。幸運なことにキャンセルが出ていたらしく、遅い申し込みでも受けることができた。どうせ受けるなら、人前で弾けるくらいに仕上げるために追い込み、クラスのコンサートで演奏しようと思い、この3週間本気で取り組んだ。最後の2ページは譜読みすらしていなかった。笑

27日の午後からマスタークラス開始。夕方にプロコフィエフの協奏曲のレッスンを受けた。最初の3段で30分。こういう音や、響きにこだわる、少し細かいヒントを求めていた私としては、とてもいいレッスンだった。音楽の方向性と違うところで、右手の力を抜くためにラッセンしてしまわない。ぬいていれなおさない。どこまでひとつのラインか。そして強張らない、腕からのビブラート。他の人のレッスンをみていると、よくビブラートのことを言われていて勉強になる。

28日は朝ごはんを食べ、1番にバッハのソナタ二番をみてもらった。3楽章だいすきな曲だけど、いまいちしっくりきていなくて、ショルツ先生のレッスンはあまり発見がなく模索していたので、とりあえずみてもらった。ここでも二つの音符のレガートでぬけてしまっていた。二つ目の音をきいてからぬく。あと三和音のタイミングが早すぎないのと、そのとき下は軽く柔らかく、上のメロディを駒よりでハルテンする。ぶつかるところの和音もっと聞いて味わう。

そして午後お昼ごはんを食べてから、ショルツ先生のレッスンと試演会のため、ブレーメンへ。トラムでアクシデントがあり、走って向かうことに。息きらしながら汗だくでコンチェルトを弾いた。案の定、手は硬いし、弓は浮くし、音は聞けてない。しょうがない。今回ひとつ学んだのは、ポジション移動における時間とタイミングの重要性。それが曖昧だといつまでも目的地や、その先の音は曖昧。ポルタメントはするのか、どの指で上がるのか(前の音か後の音か)、右手と呼吸とポジション移動の今だと思うタイミングで、毎回弾く。人に合図するように弾けば。例えばカンマーの時誰かの目をみて提示するように。
その後クラスの試演会。その前に10分程度鏡をみてアインシュピール。呼吸を整えて音を聞いて、ヴァイオリンを見ないように弾こうと決めた。最初はグッド。シッケダンツ先生とやった音の方向性とビブラート聞けた。体も柔らかく音もよかった。速いところを見てはいけないと思うと、不安になって弾けなくなったり、頭からすぱっとぬけたりしてしまった箇所がある。そこは頭と気持ちの問題と思う。見てはいけないじゃなくて、見なくても弾ける。と思おう。

29日は朝ごはんに間に合うようにオスナブリュックにきた。練習して、レッスン。今日はプロコフィエフのうたう箇所をみてもらおうと思っていた。ビブラートと方向性。速いところより難しく感じる。だけど、結局40分で最初から最後までいった。プロコフィエフ、考えなきゃいけないこと、変えたいところ、やりたいことがありすぎるけど、まだ身についていない感じ。生徒2人のレッスンを聴講したが、ビブラートやボーイングのことを徹底的に言われていた。去年の三月に私が受けたときみたい。その時よりはビブラートも姿勢もボーイングもよくなっていると思うし、音楽を学べるレッスンが受けれている。まだまだ良くないけど、きっと方向はただしい。
そして夜はブレーメンに戻って、クラスコンサート。途中から今までの人生で1番怖くて、弾きながらはやく終わってほしいと思ったなんてはじめて。何箇所かある16分音符の所は一音外したり一瞬でもハッと思ったら終わり。一度そうなってしまい、それから気持ちを整えて、頭を集中させるのに必死だった。なにやってんだか。まだはじめて少ししかたっていない新しい曲で、今日も5時に起きて頭も働いていなかったのだと言い訳も出来るが、どんな時でも人前で弾く時は、今までの最高の演奏をするようにしなければいけない。最近楽譜をみて練習していなかったこと、シュテレごとに頭で想像してから音を出すという練習をしていなかったこと、指やいげんだけの確認練習を怠っていたことなどが原因としてあると思う。音楽性や音の響きはよかったと思から、音程とミスをなくしてパーフェクトな演奏が出来るようにしたい。とりあえず明日の講習会はモーツァルトをみせて、夜の試演会は、バッハとプロコをちゃんと弾けるように一日練習しよう。

今日はもう30日か。朝ブレーメンを出てオスナブリュックで朝食。銀行まで歩いて行かなければいけなくなったから、散歩しながら今日の練習予定を立てたり、バッハのイメージをしたりした。練習して、夕方モーツァルト4番のレッスンを受けた。今まで長く弾きすぎて、癖でやったいるところ、音楽を考えすぎて、体がうまく機能していないところ、などなど、全然できていないことを思い知らされた。シッケダンツ先生のもとで毎週レッスンが受けられたらいいのに。ざっくんには、私にはシッケダンツ先生が合ってるし、きっと先生も気に入っている、って言われたけど、分からない。その夜はまたプロコフィエフのコンチェルトを、マスタークラス受講生の前で弾くことになったが、ピアニストと合わなかったり、違う音がなる度、動揺してしまう。よくない。18さいの日本から来てバチュラーを受けたいという子が、を弾いていた。難しい曲なのに、音程や細かい音が確実でミスがなかった。音楽性とか表現力は乏しいけど、私は18歳のときあんなに弾けなかったなぁ。いまの頭と技量のまま高校生に戻りたい……。ハンブルグでシッケダンツ先生につくざっくんもベンもやっぱり安定してて上手い。夜シッケダンツ先生に会ったときに、上手く弾けなかった…と言ったら、なにがよくなかったの?明日の演奏会弾いてねと言われた。もう選ばれないと思っていたから嬉しい。明日は全力で集中して出せるもの全てだそう。その後ざっくんとスーパーでワインのチーズや生ハムを買って2人で色々話した。ざっくんはすごく褒めてくれるし、認めてくれて、毎回話すと励みになる!彼もほんとに色々考えてたくさん練習してて、彼に出会えてヴァイオリンに対しての向き合い方も変わったと思う。人生で出会えてよかったと思える人のひとり。

あっっっという間に5月1日になった。朝ご飯たべて、練習して、レッスン。ピアノとのテンポの合わせやビブラートの音色などレッスンして、お昼ごはん。ピアノと合わせしたり、寝たり練習したりして夜ご飯。お散歩して着替えたら演奏会がはじまった。シッケダンツ先生にもう三年ついているベン。力がはいっていない綺麗な響きの音で、ビブラートも無理がなく、素敵なシューベルトのソナタを弾いた。二番目はブルガリアからきた17歳の子。パガニーニのG線だけの小品。少し右手の肘が上がりすぎていて、力で弾く音がたまにあったけど、左はとても綺麗で、フラジオやラングベクセルも確実だった。その後は昨日聴いた日本から来た子と、ざっくん。残念だけど音だしがしたかったから、聴かず部屋に戻った。やっぱり緊張したのか、良く弾こうって思いすぎたのか、肩がかたくなってしまった気がする。Bestなビブラートができなかったし、力まかせに弾いてしまったところもある。出したい音や、やるべき事は分かっているのに、できなかった。でも一週間前と比べたら自分でも分かるくらい演奏は変われた。そして、今後の課題も明確になった。私の後最後に弾いたのも、ブルガリアからきた17歳の女の子。素晴らしかった。イザイの無伴奏と、ブリテンのワルツ。右手が自由で音も綺麗だし、音程も正確。
あれくらい弾けたらどこでも受かるし、習いたい先生にも習えるのかなぁ。あの手がほしい。あぁいい曲だなぁ。って思いながら聴いていた。終演後シッケダンツ先生に、一年前の時よりは確実に良くなった。と言われた。思えば一年前の講習会では、ドイツ語も分からず常にあたふたして、毎日あるレッスンにどう対応していいのか分からず、自信があったモーツァルトが全然よくないとされ、もしかしたらコンサートで弾けるかもしれないから頑張れと言われたバッハも、結局当日になって選ばれなかった。最後のコンサートで、シッケダンツ先生の門下の同い年の子がプロコフィエフのコンチェルトgmollを弾いているのを聴きながら涙がでた。自分の不甲斐なさと、悔しさと、音楽への感動と、先生やその子への尊敬、今後の決意、いろいろな思いがぐちゃぐちゃになって、気持ちの中だけでとどめられずにでた涙。そう思うと今回の講習会は、本当に意味のあるものだった。去年よりシッケダンツ先生の演奏スタイル、求めている音、大事なポイントなどがはっきりとわかったし、自分自身を保ちつつ、階段を上がろうとすることができた。シッケダンツ先生につきたい。何度もそう思ったが、1番大事なのは、この後5年間でどれだけ成長できるか。どこで勉強しようと、上手くなる人はなる。シッケダンツ先生もプライベートのレッスンをぜひしてくれると言ってくれたし、ブレーメンにはドンデラー先生、ベルリンには笠井先生、いろんな人からいろんなものを吸収しまくって、貪欲に勉強して、じぶんで高めていく。ただ、受験するー!がんばるー!いい環境にいたいー!いい先生につきたいー!と思っていた前の自分とはまたそういう面でも、改めて気持ちが変わったし、先がみえた。またバチュラーからやるかとかマスターのほうがいいのかとか、日本の大学を卒業するべきなのかとか、そういう事を考えずに、あと五年、自分がヴァイオリンとちゃんと向き合うには、誰から何をもらって、どんな壁を超えて、どう成長していくか、そしてどうなりたいのかと考えたら、答えはわかりやすい。シッケダンツ先生に、マスターを受けるなら、本当に確実なテクニックとコントロールができる奏者であるべきだ、と言われた。この半年で左手の問題を必ずクリアしよう。一年前とこれだけかわれたのだから、できる。自分を信じて毎日真剣に直していこう。
コンサートの後は、みんなでBARにいって、ビリヤードや、ダーツしたりしながら飲んだ。本当にみんないい子で、へんなガツガツ感もなく、みんな素直で、高め合う感じで、すごく居心地がいい講習会だった。

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最後の日は朝食後、まだ帰ってない人達6人みんなでワークショップのような、一緒にレッスンした。最初にバッハの取り組み方がわからないと質問がでてから、3時間、バッハについてきれることなく話してくれた。何が大事か、どう曲の紐を解いていくか、ソナタとパルティータのことから、細かい重音のテクニックまで、ありとあらゆることをいろんな角度なら、丁寧にはなしてくれた。みんなでヴァイオリンを出して、弾いたり、他の人のバッハのレッスンを聞いたり。最後に、私が左手のことを質問して、考え方と左手の形、ビブラート、ポジション移動、クロイツェルの話など、して時間になった。最後に昼食を食べて、解散!

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うちに帰って屋根裏でラドラー飲みながら月みてこれ書いてる。おつかれ自分。明日からまた頑張ろう。

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