Life in the Lone Star State -31ページ目

Secured Transaction 2010 (その2)

今日は前回の続きで米国の預金担保についてです。

日本の担保法では、設定される約定担保権の種類は抵当権、質権、譲渡担保権のいずれかでその要件も決まっていますが、UCCでは、日本法のようにはっきり法定の要件が決まっている約定担保権が存在するわけではありません。

こちらの担保法の大原則がUCC9-201に規定されています。以下引用します。

Except as provided in the Uniform Commercial Code, a security agreement is effective according to its terms between the parties, against purchasers of the collateral, and against creditors.

注釈によればここで規定されるSecurity Agreementとは、 “an agreement that creates or provides for a security interest.”を意味します(UCC9-102)。

つまり、UCCのもとでは一定の規制はあるものの、原則当事者が合意した内容で担保権の効力が発生するということです。日本法の物権法定主義とは大きく異なる制度です。

預金口座に担保権を設定する場合、実務的にはCollateral Account Assignment Agreementと呼ばれる契約を締結しますが、ここで担保権の設定に関する文言としては、以下のような表現が使われています。(実際はもっと色々書いてありますがシンプルに直しています。)

In order to secure the payment and performance of the obligation of Debtor under the Credit Agreement, Debtor hereby assigns, transfers, pledges and grants to Secured Party a first priority lien, claim, encumbrance upon and security interest in Account No. XXXX at Bank of XXX.

日本法のコンセプトだと、質権ならpledge、譲渡担保権ならassign for security purposeという表現が一般的ですが、こちらは節操なく関係しそうな動詞を並べたてている感じです。同一当事者が同一のものを同時に譲渡したり質権を設定したりできるのかとか、assignとtransferの違いは?とか細かいことが気になりますが、これでいいそうです。漏れなく全ての権利を押さえておきたいということで、沢山書いておいて損はないという発想なのかなと思ったりしましたが、一応それぞれに意味はあるそうです。

次に対抗要件の具備についてですが、預金口座の場合Controlという方法によって対抗要件を具備します(UCC9-314)。このControlの具体的な内容はUCC9-104に規定されており、

(1) 担保権者が口座開設銀行である場合
(2) 債務者、担保権者及び口座開設銀行の三者が、債務者の同意なく担保権者が当該口座内の預金の処分について口座開設銀行に対して出す指示に銀行が従う旨合意すること
(3) 担保権者が当該預金口座に関して口座開設銀行の “Customer”になること

の3つです。

(1)は担保権者と口座開設銀行が同一主体の場合で、この場合自動的に対抗要件が具備されるというものです。(ちなみに日本の場合は、同一主体でも通知又は承諾の手続きを要します。)

(2)が担保権者と口座開設銀行が異なる場合に実務で取られている方法で、債務者、担保権者及び口座開設銀行の三者でDeposit Account Control Agreementを締結して、上記の合意を書面で行います。

(3)はその預金口座を担保権者自ら保有することという意味だと思われます。(Customerの定義はUCC4-104にあります。)

UCCのArticle9の話については、また機会があったら書きたいと思っています。今回はこの辺で。

最後に今読んでいるArticle9の参考書のご紹介。

Mastering Secured Transactions: UCC Article 9/Richard H. Nowka

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