Life in the Lone Star State -32ページ目

Secured Transaction 2010

今日はPresidents Dayで連邦の祝日ですが、テキサス州は通常営業でした。ただ、事務所は比較的静かでそれほど動いている感じはありませんでした。あと、保育園も休みだったので、学校などは休みなんでしょうか。うちはまだいいですが、保育園は休みだけど職場は通常営業という場合、小さい子を持つ親御さんはどうしているんでしょうかね。こちらの祝日制度がいまひとつよく分かりません。

さて、今日は仕事が暇だったので以前紹介したPLIの講座のSecured Transaction 2010という講義を少し聴いてみました。米国の統一商法典であるUniform Commercial Codeの第9章(Article 9)についての導入講座のようなものでした。

その中でもちょっと触れられていましたが、アメリカの預金債権担保について簡単に紹介します。まずはその前提として日本法のお話です。

日本では預金を担保に取る場合、通常、預金債権の上に質権を設定します(債権質)。預金債権というのは、銀行と預金者の間で合意される預金契約に基づき発生する債権で、銀行口座を開設する際に色々書類にサインをさせられる過程で、この預金契約も締結していることになっています。そして、通常預金債権を譲渡することや担保提供をすることはこの契約(約款)で禁止されています。そして、譲渡禁止特約や担保提供禁止特約が付されている債権は質権設定の対象とすることはできないと解されていますので、実務上債務者の預金債権に質権を設定する場合には、預金債務者である口座開設銀行の承諾が必要となります。銀行は通常この承諾はしませんので、担保権者と口座開設銀行が同一の銀行でない限り預金債権を担保に取ることは困難というのが日本の実務です。

また、法的な問題として、普通預金債権に質権を設定した後、入金出金を繰り返した場合、ある一定の時点で口座に入っている預金全体に継続して質権が及んでいるかという議論があります。この点は法的構成は色々主張されていますが、引き続き全体に及んでいるという解釈がほぼ通説で実務もそれを前提に動いています。(判例は大昔のものが1つあったと思います。)。

さて、これに対して、米国UCCのもとでは預金口座自体が担保設定の対象物として規定されています。従って、担保権者は預金口座自体を担保に取ることが可能で、この場合は当該預金口座内の残高の変動にかかわらず、担保実行時点の残高全体が担保権の対象となることが明確です。日本民法下では、質権設定の対象となるのは動産・不動産・債権の3種類なので、預金口座自体はそのどれにも該当せず、預金口座に質権を設定するという考え方は採りえないと解されています。

また、こちらでの経験によると、口座開設銀行と担保権者が異なる金融機関であっても、預金口座を担保に取る(つまり口座開設銀行が承諾している)ことが実務的に行われています。

長くなってきたので、残りは次回に。

(※2/17追記)
なお、内田教授は「民法Ⅲ」の491ページで、UCCの規定が参考になるとした上で、日本民法下も預金契約上の預金者の地位(預金口座)を財産権としてとらえ、それが質権の対象だと考える余地もありそうだと述べられています。実務上はまだ取りにくい考え方だと思いますが、ゆくゆくはこの方向で立法の議論もなされていくのかもしれません。