Life in the Lone Star State -142ページ目
今日もローファームネタですが、まずは本の紹介から。
Vault Guide to the Top 100 Law Firms, 2009 edition: 11th Edition
アメリカのローファームをランク付けした本です。どういう視点からのランク付けかというと、依頼者からの評価ではなくて、実際に事務所で働く若手弁護士の声を集めてランク付けしたものです。したがって、評価項目は、勤務時間、研修の充実度、パートナー弁護士との関係、給料、事務所の雰囲気などから構成されています。
依頼者側が案件を依頼する際に参考にするというよりは、これから弁護士になって就職先を探そうとしているロースクールの学生や転職を考えている弁護士にとってはそれなりに参考になる本だと思われます。実際に、リクルートの面接の様子や、どんな人材が採用されるかなどについても実際にその事務所に入った弁護士の声が載せられています。
日本では、日経ビジネスによる弁護士及び法律事務所のランキングが有名ですが、実際に働く弁護士側からみた事務所ランキングのようなものは私の知る限りまだありません。
実際に働く弁護士の満足度というのは、同じ事務所の弁護士でも人それぞれでしょうし、複数の事務所で実際に働いた経験がない限り、他の事務所との比較もなかなかできないでしょうから、それを客観的に数値化してランク付けしてみたところで、あまり意味はないような気がします。このあたりは、何でも順位付けをしたり、数値化するのが好きなアメリカ人ならではなのかなと思ってしまいます。
一方でこの本が示唆していることは、大事務所が一流の事務所(に限らず一般企業も同じでしょうが)であり続けるためには、依頼者に対して魅力的な事務所であるだけではなく、そこで働く弁護士やこれから働きたいと考えているロースクール生にとってもそこで働きたいと思える魅力的な事務所でなければならないということだと思います。法律事務所の唯一の資源は人材であり、優秀な人材を揃えることは上質のリーガルサービスを提供するために必要不可欠の要件です。
日本では、以前は個人事務所を中心に、その個人の高い能力によって質の高いリーガルサービスが提供されてきたわけですが、事務所が大型化する過程では、いかにサービスの質を維持しつつ規模を拡大させていくかというところに腐心しなければならないわけです。そのためには依頼者にとっていい事務所であり、かつそこで働く弁護士(個々人が高い意識を持っていることが前提ですが)にとってもいい事務所であるという二律背反的な命題を実現させていかなければならないということなんでしょうね。
では今日はこの辺で。

