8月鑑賞映画まとめ | 三つ子の魂百まで…トラウマニア

三つ子の魂百まで…トラウマニア

映画レビュー、コレクション紹介、映画や趣味全般について書いています。

『シン・ゴジラ』

 

VSモノも面白いけどやはりゴジラのソロ活動は
未知の脅威に奔走する人間ドラマが重厚でよい。
『日本沈没』『ノストラダムスの大予言』『地震列島』

などの東宝パニック映画を基軸にしたストーリー展開。


被爆国ならではのゴジラへの防衛作戦。
ハリウッド作品のように原爆ボトンで

一件落着なんて短絡的な考えじゃない貫禄と

日本人が人類存続の為に語り継がねばならない

宿命みたいなものを放射性物質の被害者ゴジラを

通してオリジンのイメージを崩さず丁寧に

描いているのが素晴らしかったと思います。

 

特撮ファンとして少し残念なのは物量感が

足りなかったこと。確かにVFXでしか表現できない

ヴィジュアルもあるんだろうけど、やはり細部まで

作り込まれたミニチュアの質感と本物が生み出す
予測不能な破壊のカタルシスが

あまり見られないのは物足りないかな。

特撮班より本編班の功績の方が大きいと思う。


馴染み深いエリアでロケーションされているのも、
これまでの作品とはひと味違う親近感を覚えました。
江ノ島から鎌倉。横浜から川崎へ進軍する。

裏道に詳しいシンゴジさん(笑)
生まれ育った横浜南部が破壊されるなんて涙モノでしたよ。

 

庵野・樋口両監督長年の夢だった新幹線パート。
『新幹線大爆破』をリメイクするなら最新型の車輌でと

17年前に語っていた、まさにそれを映像化したというのは

鳥肌が立ちました。鉄道好きの監督による鉄分過多な

セレクションもファンには堪らなく豪華なもの。
東京モノレール、東海道線、京浜東北線、中央線、鶴見線、

東海道新幹線、都営新宿線、京浜急行、江ノ島電鉄、

そして極めつけに多摩都市モノレールの○○が…。

 

ゴジラが変態するなど生々しさの中に

機械的な要素をも含んだ最強最悪の巨神兵風な井出達。
抜本的な解決策が存在しないのはまさに人類の脅威。
まだまだ考えさせられる面があるのも虚構では済まない

リアルさを生んでいると思います。
それでもやっぱり蒲田くんは最高だったよなあ~(^^♪

 

2016年8月5日(金)、109シネマズ湘南で鑑賞。※IMAX上映

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『ヘルケバブ 悪魔の肉肉パーティ』

 

何の脈絡もない夢のような地獄絵図が時系列無視で

ポンポン飛び出してくるので見ている方はたらい回しに遭う。

幼少期に見た悪夢、それも大人になってからも
時折見る同じ夢。この辺は身に覚えがあるので、

妙な説得力を感じました。

 

就職先を間違えすぎた警官(には見えない)が迷い込んだ闇。
まぁケバブらしき物はあると言えばあるんですけど、

とても不衛生な環境でして実際に嘔吐しているような

リアルなカットも出て来たりして。
台詞も非常に小汚い!ボスがいい人。とてもいい人!

主人公はイイ男。なかなかにマスクが良い俳優!

 

「マニアック」のジェイ・チャッタウェイ風のテーマ曲や、
ポーンポーンスポポポポポーン!でお馴染みの人肉映画とか

随所にホラーファンがニヒヒと薄ら笑みを浮かべる

素敵なオマケが用意されています。
トルコ映画なんて初めて見ると思うけど、カット割りや特殊効果など
手馴れた感じで全然違和感なく引っ張ってくれました。

バスキン親分が清川虹子だったな!
意味が分からんというのは恐ろしい事ですよ。

 

2016年8月8日(月)鑑賞

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『ロスト・バケーション』

 

昨今の人喰いザメ映画の中でも群を抜く出来栄え。
CGのチープさを感じさせない『ジョーズ』の

メカニカル鮫に迫るリアルさは流石メジャー会社が

手掛けただけの事はあります。
そこにサーフィンの魅力とサバイバル能力に長けた

芯の強い戦う女性をブレイク・ライブリーが熱演!

白い肌が時間を追う毎に汚れていき、
それが陰影のようにスレンダーで

健康的なボディにメリハリを与える。
美しさと逞しさのドッキングに大変魅了させられました。

 

エメラルドグリーンの海はどこまでも透き通っており

最高のロケーションなのに、サメが姿を現すとガラリと

漆黒の舞台へと様変わりする設定が非常に上手い。
退避する岩場からビーチまで僅か200mと手の届く距離なのに
魔物に行く手を阻まれ身動きの取れないじれったさをサバイバル術を
織り込みながらグイグイと引っ張るドキュメンタリータッチで
主人公への感情移入も相当な物。

時間経過をテロップではなくスマホやG-SHOCKを

浮かび上がらせ表現している所が未来的。


ブイって日本語かと思ったら違うんですね…。
そのブイの活用法も『ジョーズ』のOPを匂わせる、と言うか

本家をも凌ぐスペクタクルな宿敵の退治法は目を見張る。

独り善がりにならず心の余裕を持ったヒロイン。
絶体絶命の状況下に置かれても身に付けている

アクセサリーや衣服で必ず生き延びて見せるという

生命力に勇気づけられました。


傷口が大きく開き大量出血するカットは

下手なグロホラーより痛い描写。
やっぱ日頃の備えと精神力の強さは大切だと思います。
嫌らしさを感じさせない強調されたお尻や太腿に

目が釘付けになるのに清々しく撮れている。
ブレイク・ライブリーってなんて素敵な女優さんなんだろ。
自分も彼女の施術受けてみたいですよ(笑)
片言のスペイン語セリフも素敵でした!

 

2016年8月10日(水)、池袋HUMAXシネマズで鑑賞

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『アンフレンデッド』

 

クラスメートに苛められ自殺を図ったローラ・バーンズが
SNS上で同級生に復讐する全く新しいタイプのオカルト作品。

ほぼ全編PCモニタ上で展開する緊迫の復讐劇。
現代っ子の必須ツールも中年世代には難解な部分があるけど
FacebookにGoogle、コピペ等目まぐるしく飛び交う情報量で
押しまくる演出は斬新。POVが苦手な人には安定感のある

固定画面がしっくりくるかもしれない。


オフ会などで出会う事もあるわけで、下手な事を言えば

陰口を叩かれるかも分からない。
そんな希薄な人間関係をSNSという便利なツールを活用し

放棄すれば死が訪れ、ローラの質問に答えなければ殺される。 
死のカウントダウンが始まると仲間割れが生じ自滅してゆく
人間の脆さを上手く表現しています。

 

貞子はビデオだったけど、拡散力の強い

ネットリベンジから逃げる術はない!
呪いのアタック25とでも言うべき画面構成。 
ひとり、またひとりと脱落してゆくイジメっ子。
軽率な行動をすると取り返しのつかないことになるぞ!
PCで鑑賞すると臨場感がマシマシになるかも?

 

2016年8月10日(水)
池袋HUMAXシネマズで鑑賞。

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『巨大ねずみパニック』

 

ステロイド混合飼料を盗み食いしたドブねずみが巨大化!
大都会の地下からワラワラ這い出てきて人を食い散らかす
カナダ・香港合作の珍しい動物パニック映画。

前半は中年の男性教師が年増好きの教え子に迫られたり、
街中で出会った女性から食事に誘われた後、

ベッドのお食事へ展開するなど題材に見合わない

色恋沙汰で見る者を唖然とさせる。


「処刑教室」「ザ・ネスト」のリサ・ラングロワが

色目を使いセクシーな下着姿で担任を誘惑する姿は

ファンなら嬉しいシチュエーションかも(笑)

肝心のネズ公ですが、異様に歯が長くギョエー!と

奇声を上げ暗闇から顔を覗かせる姿が・・・カワイイ!

暗闇に潰れて何が映っているかほとんど
分からないんだけど、一流の特殊メイキャップマンが

ねずみを製作してるんですよ。
あの「ジャンク」で電気イス処刑シーンを実は手掛けた(笑)

アラン・A・アポーンや「バタリアン」でタールマンを

造型したケニー・マイヤーズ、そして若き日の

アレック・ギリス(エイリアン3)とそうそうたる面々!
丸々と肥えたネズミが群れをなしてゾロゾロ歩く場面が割とリアル。
ダックスフントに着ぐるみ被せて撮影しているんだと(笑)

 

監督は「燃えよドラゴン」のロバート・クローズ。
映画館で流れている作品は自らメガホンを取った「死亡遊戯」。
しかもクライマックスのジャバー戦を

ほぼまるっと見せてしまうサービス精神に狂喜乱舞。。

リーの声はやっぱりクリス・ケントの吹替なんですよ。
怪鳥音が鳴り響くなか、観客がボリボリ食われていく。
手が千切れ、頸動脈から血液ピィーピュー!


観客がガラスを突き破る場面は死亡遊戯の倉庫シークエンスを

思い起こさせる、というか「ドッグ」っぽいなんとなくパニック状態が

伝わる非常にチープな作り。

地下鉄の乗客を血祭りに上げるクライマックスは

キワモノ映画には勿体ない地下鉄会社全面協力の

大胆なロケーションが展開し、
先のモテ教師が電車を運転するという暴挙に出て
突然幕を下ろすトンデモなオチはTV放送時に割と気に入って
録画テープ見返していた僕が20年ぶりくらいに鑑賞したのが
本作という訳でした(なげえよ!)


海外ではBlu-rayが出ていますが、誰特なの?なんて言わず
レアな中古VHSを見つけたらサルベージしておいた方がグーですよw
だってゴールデン・ハーベスト作品ですもの~♪

 

2016年8月13日(土)鑑賞。
初見は1989年12月6日(水)TBS『ナイト・アイ』(TV題名)。
ポール(屋良有作)※エンドロールまで流れるノーカット放送でした。

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『殺人豚』

 

飼い豚に死体を食わせるオジイ。

地獄のモーテル風なのかなと思いきやそうでもない。
何故かカルト化している本作だけど、いざ鑑賞してみると

初めて8mmビデオカメラを手にした中学生が面白がってズームで

遊んでいるような落ち着きのないカットばかりで
なんかイラッと来る。

 

この世の果てみたいなド田舎でノンビリした住民が

あーだこーだと語るだけの薄いストーリーではあるけれど、

H.G.ルイスちっくな安っぽい演出と脱色された
メリハリのない映像は絶対70年代前期だと確信できる

臭いが充満しており悪くはないです。

「豚に死体を食わせてはいけないと言う法律はない」と

身も蓋も無い一言で片付けてしまう

保安官にお前それ言うか!と脱力しました。
この保安官役の俳優ってサイレント・ランニングで

アンディを演じてた人ですね。

ブタ小屋の親父は耳毛処理に気を使いなさい。


『エルム街の悪夢』で有名な作曲家チャールズ・バーンスタイン

初期の作品だったのは驚き!

『エンティティー/霊体』の原曲らしきフレーズが飛び出したり、
妙に耳に残る歌とか音楽の力が大きいと思いましたね。

台無しちゃんになるけど殺人豚は出てきませんw
既に死んだ人間をお食べになられているだけ。
一番印象的なのは血だまりを歩くデカい虫でした。
このシーンは2回だけ巻き戻して見たいぞ。

渋谷TSUTAYAでVHSレンタルしてるから変な子は見るがいいよ。

 

2016年8月13日(土)鑑賞

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『ホラー・エクスプレス』

 

シベリア横断鉄道にクリストファー・リーとピーター・カッシングが
乗り込んでどうなる事やらと見守っていたら、

運搬中の氷漬け死体が蘇えり見つめられた者は

白目を剥いて死ぬ!類人猿みたいな毛むくじゃらの化け物が

異様に手先が器用だったりして、つい笑ってしまう場面が

多いのですが、他人の身体に乗り移ったりと
ボディスナッチャーっぽい設定やカサンドラクロスの

元ネタ(と言うかまんま)なショットが登場するなど

1973年製作とは思えない斬新なグランドホテル形式で

大満足できる怪作でございました。

 

つるつるの脳味噌や、神父が寝返ったり、

いきなり登場するテリー・サバラスなど
突拍子もない展開だけどスピード感があって

あまり古臭く感じないのは意外。
目ん玉の特殊メイクが豆電球仕込んだりと大変そうですね。
汽車のミニチュアが実写と見間違えるくらい上手く撮れていて
風吹の中を疾走するシーンは抜群のムード!
ジョン・カカバス作曲の美しいメロディも心に響きます。

こんな面白い作品が劇場未公開なんて勿体ないですよね。
食わず嫌いしてて損しました…。

 

2016年8月13日(土)鑑賞

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『デス・サイト』

 

犯人が仕掛けてきたポーカーゲームに勝たないと

人質が殺されるダリオ・アルジェント監督のスリラー映画。
ポーカーのルールを知らないので置いてけぼりを

食ってしまったのが残念でした…。

ローマ市内のロケーションは美しく描かれているんだけど、
犯人探しの面白みが足りないというか、殺しの手口を見せないし
どうも詰めの甘さが目立ちます。灰皿に映る犯人や

手掛かりとなる植物などアルジェントらしさは感じられますが。


虫大好きの監督だけど本作ではワンカットしか出てこなかった。

セルジオ・スティバレッティがクリエイトした等身大ダミー人形は
長回しにも耐える出来栄えで腐臭漂うリアルさ。
クラウディオ・シモネッティの音楽はマンネリ化したイメージが
払拭できておらずあまり映像を引き立てていないのが残念。
ゲームで流れるムカっ腹の立つBGMも彼の仕事っすw

 

フィオーレ・アルジェントが老けすぎてて

何処に出ていたのか分かりませんでした。
娘をこき使う監督だけど、今回のヒロインは神経質そうだけど
我が強くてなかなかの活躍ぶりだった。
邦題の「デス・サイト」は酷いなあ。。
ショップではワゴンの500円シリーズで売っていたこともあるし、
画質・音質は申し分ないだけに埋もれた1本って感じで

ダリオ好きとしてはちょい悲しい。

電車の制動距離短すぎるでしょ(笑)
動機が不純なのもなんだかなあ…。

 

2016年8月14日(日)鑑賞

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『ORGAN/オルガン』

 

キツイ!グロじゃなくて中身が無いのが…。
ヤクザとヤクザ警官の見分けが付かないし、

舞台が東京なのに関西弁が響き渡る(笑)

路地裏でトラックに巻き込み事故食らう

刑事のくだりは最高に笑えますね。
意外な出演者だと若き広田レオナと菅田俊くらい。
沼田刑事が千原ジュニアにしか見えなかったよ。。

際どい台詞はあるけど、アマチュアの域を出ない特殊効果と編集、
浮きまくるアフレコなどかなり異質な空気が漂っていて
リピートするには苦しいドラッグムービー。

 

2016年8月14日(日)鑑賞
※超過激ロングバージョン(完全版)

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『ローリング・サンダー』

 

ベトナム帰還兵の復讐劇。

『タクシードライバー』のポール・シュレイダー脚本なので
タクドラと似通ったシークエンスが幾つも確認できるけど、
トラビスがベトナムへ行ったという確証はなく、
面接時に名誉除隊と説明されるだけ。
一方、ローリング・サンダーではアメリカ国民に

帰国を歓迎されるシーンから始まる。

捕虜となり7年にも渡る拷問に耐え、それが日常の一部として

染み付いてしまったレイン少佐。
我が家へ帰ると息子は懐いてくれないし、妻は保安官と不倫関係。
祖国に戻っても居場所がない。やっと安息できたかと思った矢先、
強盗に押し入られ全てを失った少佐の苦痛は

タクシードライバーのトラビスとは比較にならない程の

悲しみを背負っていると思う。

 

フック型の義手を鋭利に尖らせ、復讐の鬼と化すレイン少佐を

少し愛嬌のある顔立ちのウィリアム・ディヴェインが

物言わぬ存在感で観る者を圧倒させます。
彼の助っ人として若き日のトミー・リー・ジョーンズが

喜々とした表情を浮かべながら
ショットガンを炸裂させ悪党をバッタバッタと射殺してゆく
クライマックスシーンはダイナマイトの短い導火線に

火を付け握ったまま特攻するようなカタルシスを生んでいます。


ジョニーの弟に『悪魔のいけにえ』で車椅子のフランクリンを演じた
ポール・A・パーティンが扮しているのも見逃せない。
しかも、いけにえのキャラと同じく青いシャツを纏って。

粗削りな所はあるけれど、怒りが込み上げる男をなだめるかの様に
平穏なメロディの主題歌がOPとEDを飾り、

ベトナム戦争で苦しんだ人々の心に響く

ストーリーが堪らなくリアルで説得力を感じる。


レイン少佐の腕立て伏せが素晴らしく美しいフォーム!
顔を付きだすと効果抜群。

抜かりのないディティールに70年代の底力を観た!

 

2016年8月14日(日)鑑賞。
※TCエンタテインメントの【HDニューマスター】Blu-rayで。

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『ジェイソン』

 

ジェイソンは出てこないのにジェイソンって奴は出てくる。
チェーンソーが出てくるのにレザーフェイスじゃない!

もの凄くややこしい(笑)
13金の舞台設定をそのままに、安直な二番煎じ

Z級ホラーかと見くびっていたら、あれっ?

意外と面白いし話の流れがしっかりしている。

スラッシャー物のクリシェをふんだんに盛り込みながら、
誤魔化しの効かない自然光バリバリの下で

堂々とした大量殺人と心理戦が錯綜する意欲作でした。

 

女優が別嬪さん揃いで、ヒロインなんてかなり好みの顔でしたよ。
ボートの上で揺さぶられていたオニャノコが

早期退場しちゃったのは残念だったなー。
13金のクレイジーラルフまんまなオッサンが

出たり入ったりするカットが一番ビビるよ…。

ジェイソンの武器チェーンソー説、あれは嘘だ!
いやホントだよ。それが『ジェイソン』ってメンドクセー(汗)

 

2016年8月15日(月)鑑賞

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『ジョーズ2』

 

続編モノの中では1作目にヒケを取らない出来栄え。
海が苦手だったブロディ署長がサメに襲われる息子と

仲間を救出するため孤軍奮闘する姿が非常に頼もしく

理想の父親像とでもいうべき家族愛に重点が

置かれているのが本作の特徴。

 

前作に比べサメの動きがしなやかになり、背ビレを覗かせ

猛スピードで迫りくる!ところ構わず体当たりする

狂暴性が見どころ。顔半分が焼けただれ無差別に

食い荒らす手の付けようのない貪欲なサメ。
中でも沿岸警備隊のヘリを海中へ引きずり込む

迫力のアクションシーンは、どのサメ映画にも

真似できない強力なインパクトを放っている。

 

中継島での攻防戦。

ブロディ署長が電力ケーブルを引き上げる辺りから流れる
アップテンポで攻撃的なフレーズが飛び交う

巨匠ジョン・ウィリアムズの音楽。

カコン!カコン!と鳴り響くオールの音。
M-65を羽織ったロイ・シャイダーが再び宿敵ジョーズに
真っ向から戦いを挑むクライマックス!
退治法も斬新ですが、ゴムボートに乗っていなければ

感電していたのでは?
ユニバーサルスタジオのアトラクションにも

採用されているこの撃退法。
全く古びない良く練られたプロットは

何度見ても興奮させられますね。

 

マイクの友人役で「クリスティーン」のアーニーを

演じたキース・ゴードンが出演している。
ブロディ夫人役のロレイン・ゲイリーやヘンドリックス役の

ジェフリー・クレイマー等、1作目から続投している

お馴染みのメンツが拝めるのも嬉しい。
1作目で足を食い千切られたボート漕ぎの男性は

名スタントマンのテッド・グロスマン。
本作ではスタントコーディネーターとしてクレジットされている。

 

TV放映版にはヘリ操縦士が海中でサメに食われる

(直接的な描写はなし)シーンやブロディ署長の退任を求める

会議など細かなシークエンスが挿入されているのですが、
VHSが発売された時にはこれらの場面はオミットされ、
今回発売されたBDもVHSと同じ仕様になっているのは

言うまでもありません。
おそらく劇場公開版とビデオリリース版があるのだと思います。
しかし特典映像に収録されている削除シーンが

額縁仕様だった事を考えるとオリジナルマスターネガは

紛失している可能性が高いのではないでしょうか。

 

ダイバーの前に突然飛び込んで来るショッキングな

カットなど心臓に悪いドッキリ効果があるのも印象的。

ショーン役の子供が素晴らしく可愛らしいんですが、
ヒステリックに叫びまくるジャッキーの喧しさは何十回と
観た今も腹が立って仕方がない(笑)

弾丸に青酸カリを含ませ蝋でフタをする

地味なショットは男の子が好きな画ですよw
水平線に浮かぶ夕陽のエンドロールに

美しいジョン・ウィリアムズの曲が流れる。
満足度100%。70年後期黄金時代の大傑作です!

 

2016年8月16日(火)ユニバーサルのBlu-ray(原語)で鑑賞。
※初見は1986年放送の金曜ロードショー

  

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『幻魔大戦』

 

キース・エマーソンのファンなので前々から興味があり劇場鑑賞。
宇宙の破壊者・幻魔の出現により世界は壊滅。
各国の超能力者が集結し地球を守るため戦う。
主人公の丈(ジョー)と心優しい姉の三千子が見せる家族の絆を
印象的に描いているのが泣けます。

姉の声が池田昌子なので必然的にメーテルを想起させ、

スリーナインのような母性愛に満ちた作りが
個人的にうるうる来ました。

 

難解な設定においてけぼりを受けるところもありますが、
馴染み深い昭和の東京の街並みが事細かく

描かれているのはテンション上がります!
新宿アルタ、副都心、ポルノ劇場(歌舞伎町?)、吉祥寺駅前、

中央線など。新宿の映画館で観たので臨場感もバツグン!

吹替声優が誰なのか聞き当てるのも醍醐味。
俳優が担当している声ではカフー役の穂積隆信と

フロイ役の美和明宏くらいしか分かりませんでしたが、

まさかタオの声が原田知世だったなんて
さすが角川作品らしいキャスティング!

 

キース・エマーソンが奏でる美しくポップな

シンセが流れる度に盛り上がる。
少し音量低めなのと曲が場面に合っていない

シーンが幾つかありましたが、
エンドロールで流れるローズマリー・バトラーの

「光の天使」の使い方は生きる希望を

感じさせる涙腺崩壊の名曲!
1983年製作ですがドルビーステレオで鳴り響く

音の臨場感は相当なモノ。

正直なんだか良く分からなく間延びする箇所も

幾つかあるんですが(光の点滅が派手w)
後々になって感動や深みがジンワリ

甦って来る不思議な作品でした。

 

2016年8月19日(金)、角川シネマ新宿で鑑賞。
※角川映画祭

 

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『野獣死すべし』

 

松田優作が役作りのため奥歯を4本抜き、挙句の果てには

長い足を切り落としたいとまで言い放った

優作さんの狂気が滲み出る心底薄気味悪い

ハードボイルドアクションの傑作。

 

アフロヘアのウェイター役に些細なことで

すぐキレる分かり易いキャラの鹿賀丈史も

優作さんに負けず劣らずな名演でして、

ペイ中なのかと本気で思うほど
落ち着きのない動きと目を合わせようもんなら

「お前何見てんだ!」と食ってかかる狂犬っぷり。

同世代でシコシコやってきた仲とか言われても
こんな人間爆弾みたいなヤツと関係を持ったら

命が幾らあっても足りませんわ(笑)

 

オープニングは青木義朗の殺陣が見事だし、

クライマックスの長回しも見事ですね。
優作さんかなりアドリブ入れてると思いますよ。
アドリブっぽい箇所は故郷訛りが出ちゃって凄いものね(汗)
そこが魅力の一つでもあるんだけど「わがるが?」

何べん言ったでしょうね…。

 

銃の密売屋を演じる佐藤慶の東北弁は良く真似しました。
「ずっぱごずっぱつ(十箱十発)」雑踏の中で崩れ落ちる

スロモってゲリラ撮影なのかな?嫌に生々しいんですよ。

金魚のフンみたいに尾行を続ける室田日出男も良い味出していて、
弁当まで買って白飯に食らいつく所なんてディティール細かいなぁ~。
レコードの視聴中にヘッドホン付けてるのに

会話を把握してる伊達さん気色悪い!
ホント掴み所のない戦場カメラマンのフラッシュバックと

妄想か現実か見る者へ解釈を丸投げする乱暴なプロット。

意味不明だから不意に見返したくなるのかもね。

 

で、言わずと知れたリッブヴァンウインクルの話。
あれ電車はセットらしいんだけど、車掌が尋ねに来るでしょ。
それで巻き沿いを食らう流れが異様に気持ち悪くて
初見時に具合悪くなりました(笑)
「面白いでしょー、ねぇ?」はい面白いです…。

 

2016年8月19日(金)角川シネマ新宿で鑑賞。
※角川映画祭にて

 

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『マングラー』

 

洗濯用プレス機が処女の血をすすりランドリー従業員を

次々と飲み込み粉砕していくアイデアが面白い。

デザインがモロに魔物だし工場全体が魔窟のような世界観で
スチームが吹き出し、ピンクやブルーの照明が

びかびかと点滅しまくる辺りはスティーブン・キングらしい

突拍子もないヴィジュアルだと思うし
真にキッチュな暴走が素敵ね(笑)

 

社長役は「エルム街の悪夢」のフレディこと、ロバート・イングランドが
老けメイクを施し怪演!しゃがれ声と不敵な笑い声は

まさにフレディそのもの。
主人公の刑事には「ヒルズ・ハブ・アイズ」で焼死するお父さんを演じた
テッド・レヴィンが胃薬を丸齧りするナイスな癖と圧倒的な存在感で
仕草を真似たくなる役柄でした。

 

昔、工場に勤めていた頃大きなプレス機に

腕をもがれそうになった事があるんで
マングラーが生贄を美味しくいただく場面はキャンタマが縮むくらい
恐ろしく他人事とは思えませんでしたよ…。
全体的にファンタジックなムードが漂っているけど、

フーパーらしさは感じなかったかも。。
血は水よりも濃し!

 

2016年8月22日(月)鑑賞。

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『イット・フォローズ』

 

不条理すぎてとにかく怖い。見せ方も怖い。

見てしまったから後悔している…。
斬新な設定。生命の根源が死を呼ぶニュータイプの化け物ホラー。
僕が時折夢に見る死体が階段を降りてきたり、

バラバラ死体が放置された物置に放り込まれる

悪夢と似ているような気がした。
「マニアック」のようなエレクトロミュージックが画面を引き立て、
風景の切り取り方も美しい。ただそれは付随的なもので否応なしに
恐怖はどこまでも忍び寄る。死んでも死に切れないとはこの事だね。
一体なんなんだ?

 

2016年8月23日(火)鑑賞。

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『ジョーズ3』

 

80年代3D映画ブームの火付け役となった

ジョーズ・シリーズ初の立体作品。
水飛沫や水中銃が画面手前に向かってわざとらしく

飛び込んで来る撮り方も2Dだと煩わしさを感じるだけ…。
それでも偏光フィルターを採用した3-Dシステムには

幼少期とても憧れました。

 

海の中に建設された水族館"海底王国"に

巨大ザメが忍び込み来園客を恐怖のどん底へ叩き込む!

となかなかの知恵を絞ってみたものの、
蓋を開けてみりゃあ水槽版・箱庭遊びのような安っぽい仕上がり(笑)
サメよりイルカを主体に持ってきて難を逃れるなど
飼育員のヤル気のなさが目立つんですが、

駆け出し時代のデニス・クエイドがマイケル・ブロディに扮し、

映画初出演となったBTTFのリー・トンプソンの
初々しい姿は一見の価値あり。

 

水死体と歯糞爆弾は子供の頃とてもショックを受けましたね。
シリーズ中で最も評価が低いですが、メスザメの狂暴さは群を抜いていると思う。
何が一番素晴らしいか・・・

それは躍動感のあるアラン・パーカーの音楽でしょう!

 

2016年8月24日(水)ユニバーサルのBlu-rayで鑑賞。
※初見は80年代にビデオレンタルで。

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『ゴースト・バスターズ』

 

理系オタク女子が好きな事に打ち込んでネオンカラーの

お化けを退治する80'sの名作GBリブート。

女四人衆が個性的で街のためというより
趣味活動の一環としてゴーストと戦ってる姿がとってもフリーダム。
オリジナルのように市民から英雄扱いされる訳でもなく、
地道に仕事をこなしてるのは現代風なテイストですね。

 

男性の支持を集めているのはメカ弄りの天才ホルツマンなんだけど、
僕はおしとやかで惚れっぽいエリン派。

黒人パティのグルーヴ感も最高にイケてるし、
暴走ワンタンのアビーもどこか憎めない。
返答が遅れてやって来る天然パーなケヴィンが揃えば

怖いものなしのスーパーチーム!


お馴染みマシュマロマンにオニオンヘッドの再登場は嬉しかったし、
ほら色々とカメオ出演だって豪華で

頬がとろける隠し玉が揃ってるんですよ。

美術にも驚かされる。これがセット?みたいな。
ポップなCGとIMAX-3Dで見るファンハウスちっくな

アトラクション大満足でしたわ~。
タイムズスクエアの映画看板に

あれやこれや思い出すだけで笑みがこぼれます。
4人の女性ゴーストバスターズ、プロフを見たら

ホルツ以外は結構歳いってるんすね。
全然若く見えたからビックリしましたよ。女臭さっていいもんだ!


ベトベト、ヌルヌルもばっちし(^^♪

 

2016年8月25日(木)、109シネマズ湘南で鑑賞。
※IMAX上映初日。

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『ライト/オフ』

 

ホラー映画で不意を突いてくる演出事体苦手なのに、

お化けが出てくるのが真っ暗闇って反則でしょ!
そりゃ身構えて指の隙間や薄目で見ちゃいましたよ(汗)
恐ろしい場面はことごとくクリア。
マジびびりしたのが1~2回って不甲斐無いったらありゃしない…。
明かりが点いた時の安堵感たるやもう! 

 

視覚が効かないのに、爪で床を擦る音とか聴覚でも追い込んで来る。
凄いんですよサラウンドが。
左後方に雑音出している観客がいるのかと勘違いするくらい音の分離感がリアル。
で、次は右から聞こえてくる。

こういうネタは劇場じゃないと面白くないかもね。 

 

武器となる電灯類も見事なチョイスでした。
言っちゃダメだけど、光と闇のだるまさんが転んだでしたね。
あんな暴力的なお化けに狙われたくないな…。 

 

2016年8月27日(土)公開初日、シネマート新宿で鑑賞。