前回は多岐川裕美のマンションを紹介しましたが勝野洋と松尾嘉代が被災する地下鉄・銀座線ロケ地の解説をしていきたいと思います。
劇中で勝野と松尾が離婚話し合いのため、表参道の割烹料亭へ向かう途中、赤坂見附駅ホームで待ち合わせをします。
銀座線の渋谷行きに乗車し電車発車後、不気味な地鳴りが響いた直後に震度7の直下型地震が発生!電車は急停車しトンネルで立ち往生。乗客は赤坂見附駅まで歩いて避難しますが出口がガレキで塞がっているため地上へ脱出できず、ホームへ戻ったところに隅田川が陥没し東京湾から流れ込んだ濁流に飲み込まれ、僅かに生き残った乗客は電車の屋根に上り迫り来る水に怯えながら脱出方法を見つけるまでを描いています。
赤坂見附駅は銀座線と丸の内線が同じホーム上で乗り換えできる便利な構造になっています。1968年製造の1500N形(1508号)に乗車する川津夫妻 。 ※営団側から撮影許可が下りなかったためゲリラ撮影!
パニックに陥った乗客は我先にとホームへ駆け上がる。セット製作には2000万円を費やしたとか。
2004年撮影の上り渋谷方面ホーム。やたらと柱が多いのが特徴。
濁流に押し流される銀座線2000形。中野昭慶氏や井上泰幸氏が手掛けたリアルなミニチュアは前半分しか作られていませんが、水に粘性を持たせるため泥や絵の具、ビールに圧搾空気を混ぜ大質量の水を表現したリアルなカットです!
※電車の車号は2117号。これは実在していた番号で廃車後は日立電鉄へ譲渡されています。この地下鉄が濁流に飲まれるシーンですが、伊藤英明主演の『252 生存者あり』でほぼ同じような場面があり、確実に『地震列島』を意識したものだということが分かります。
濁流の轟音に立ちすくむ乗客たち。
ロケ地はつい最近まで劇中と同じような光景が広がっていましたが、だいぶ面影が消えてしまっています。
電車の方は銚子電鉄に譲渡された2000形が近々銀座線のカラーリングを再現して走るそうなので鉄ヲタとしては見逃せません。
特撮シーンで最も印象的な水に流される銀座線ミニチュアは虎ノ門駅でして主人公たちが乗車した電車とは別物です。ガレキで塞がれた赤坂見附駅構内の大きな階段は改札を出なければ存在しないので実際現地へ行って見るとちょっと大雑把な作りをしているなーという印象を受けました。
1980年8月26日の毎日新聞に掲載された記事。固有名詞を使うのは乗客に不安感を与えるとして営団地下鉄が東宝にクレームを!トンネル崩落やガス管がムキ出しになり爆発するなどあり得ないと東宝側に申し出たが、既に映画は完成。公開も迫っていたので無視したのだとかw
公開から13年後、台風直撃の豪雨で赤坂見附駅と電車が水没したのは製作側のリサーチが行き届いていた証!東京湾の水が流れ込む場所として設定したのが、荒川近くにある車輛搬入口。ここから浸水し、網の目のような地下鉄網を辿って銀座線へ濁流が押し寄せる。ちょうど水流が止まる位置を学者の計算により赤坂見附とした所から舞台がこの駅になりました。
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