映画『地震列島』のロケ地(地下鉄編) | 三つ子の魂百まで…トラウマニア

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前回は多岐川裕美のマンションを紹介しましたが勝野洋と松尾嘉代が被災する地下鉄・銀座線ロケ地の解説をしていきたいと思います。


 

劇中で勝野と松尾が離婚話し合いのため、表参道の割烹料亭へ向かう途中、赤坂見附駅ホームで待ち合わせをします。


銀座線の渋谷行きに乗車し電車発車後、不気味な地鳴りが響いた直後に震度7の直下型地震が発生!電車は急停車しトンネルで立ち往生。乗客は赤坂見附駅まで歩いて避難しますが出口がガレキで塞がっているため地上へ脱出できず、ホームへ戻ったところに隅田川が陥没し東京湾から流れ込んだ濁流に飲み込まれ、僅かに生き残った乗客は電車の屋根に上り迫り来る水に怯えながら脱出方法を見つけるまでを描いています。


赤坂見附駅のエスカレーターに乗る勝野洋 三つ子の魂百まで・・・トラウマニア

15年ほど前に撮影した同地点。駅名板の四隅にRが付けられていました。
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丸の内線から下車した松尾嘉代が勝野洋と合流する赤坂見附ホーム。
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こちらが現在の様子。ホーム改良工事で
柱を覆っていた円柱カバーが取り外され

丸の内線にはホームドアが設置されました。

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赤坂見附駅は銀座線と丸の内線が同じホーム上で乗り換えできる便利な構造になっています。1968年製造の1500N形(1508号)に乗車する川津夫妻 。 ※営団側から撮影許可が下りなかったためゲリラ撮影!

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2人が並んだ乗車位置
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5月15日【15時36分】大地震発生!この車内シーン、セットなのか実車を借りて撮影されたのか定かではありませんが、乗り込んだ1500形じゃないのは明らか。ドア窓やつり革の形状が違います。
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見附を発車後すぐのカーブで立ち往生した
銀座線車両の貫通扉から逃げ出す乗客。電車は実在しない2185号で1000万円をかけて製作されたモックアップです。
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パニックに陥った乗客は我先にとホームへ駆け上がる。セット製作には2000万円を費やしたとか。
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公開当時劇場に貼られていたキャビネ写真三つ子の魂百まで・・・トラウマニア


1997年夏に撮影した同地点。劇中とほぼ同じです。

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現在の様子。改修工事で壁面に変化が見られます。

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駅名板も実物そっくり!
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1980年製作当時と変わらない駅名板も現在は撤去されてしまいました。(1995年1月19日撮影)
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出口が塞がれ逃げ場を失った乗客を次の駅まで誘導する運転士…。予算の都合でしょうか?丸の内線のレールまでは再現されていませんでした(笑)
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2004年撮影の上り渋谷方面ホーム。やたらと柱が多いのが特徴。

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濁流に押し流される銀座線2000形。中野昭慶氏や井上泰幸氏が手掛けたリアルなミニチュアは前半分しか作られていませんが、水に粘性を持たせるため泥や絵の具、ビールに圧搾空気を混ぜ大質量の水を表現したリアルなカットです!

※電車の車号は2117号。これは実在していた番号で廃車後は日立電鉄へ譲渡されています。この地下鉄が濁流に飲まれるシーンですが、伊藤英明主演の『252 生存者あり』でほぼ同じような場面があり、確実に『地震列島』を意識したものだということが分かります。
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濁流の轟音に立ちすくむ乗客たち。

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水に押し流された後、電車の屋根上で繰り広げられるエゴ剥き出しのサバイバル劇。これはモックアップですが実車と見間違える程の出来栄え。砧の東宝スタジオプールに組まれたセット。
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ロケ地はつい最近まで劇中と同じような光景が広がっていましたが、だいぶ面影が消えてしまっています。


電車の方は銚子電鉄に譲渡された2000形が近々銀座線のカラーリングを再現して走るそうなので鉄ヲタとしては見逃せません。

特撮シーンで最も印象的な水に流される銀座線ミニチュアは虎ノ門駅でして主人公たちが乗車した電車とは別物です。ガレキで塞がれた赤坂見附駅構内の大きな階段は改札を出なければ存在しないので実際現地へ行って見るとちょっと大雑把な作りをしているなーという印象を受けました。


1980年8月26日の毎日新聞に掲載された記事。固有名詞を使うのは乗客に不安感を与えるとして営団地下鉄が東宝にクレームを!トンネル崩落やガス管がムキ出しになり爆発するなどあり得ないと東宝側に申し出たが、既に映画は完成。公開も迫っていたので無視したのだとかw

公開から13年後、台風直撃の豪雨で赤坂見附駅と電車が水没したのは製作側のリサーチが行き届いていた証!東京湾の水が流れ込む場所として設定したのが、荒川近くにある車輛搬入口。ここから浸水し、網の目のような地下鉄網を辿って銀座線へ濁流が押し寄せる。ちょうど水流が止まる位置を学者の計算により赤坂見附とした所から舞台がこの駅になりました。
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