以前に図書館で借りて表題作のみ読みましたが、文庫が出たので買って全部読みました。5作の短編が入っています。
私は1番目の「ストロングゼロ」が最も面白かったです。アルコールがやめられなくなっていく感じが文章で上手く表現されていました。疾走感というか、転がり落ちる感じが。
それは全部に共通していて、整形だったり不倫だったり、性欲と激辛料理だったり、対象は様々ですが。
人ってみんなどこか弱点を持っていて、そんな立派に生きられないよなとも思いました。そこに切なさも感じるけれど、みな同じというような安心感もありました。
題名からわかるように、コロナの割と初期の頃に書かれていて、ロックダウンするとかしないとか、ライブハウスが潰れてしまうとか。
数年前くらいのことなのに忘れてしまっていて、随分前のことのように感じました。
コロナのことだけでなく流行りものとか時代を映している部分もすごくあると思います。
主人公がどれも比較的若い女性で、私より若い世代の人は確実に面白く読める作品です。
私はデビューされた頃からちょこちょこ読んできているので、改めて文章が上手いなとすごく思いました。