[映画レビュー#81] タイラー・レイク/ 命の奪還 | ニールのシアター

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正月あたりの話、男女友達で飯を食べてたときのことです。ちょうどその時にマーベル映画、MCUの話題になったわけですが、そこで1人の女の子がとあるキャラの単独映画の楽しさや愛について語ってたので、こりゃ話に乗りましょうと思いさらっとこんなことが口から滑ったわけです。「ああ、良いよね!エンドゲームではね(以下ネタバレのため省略)」

 

「はあああ!?バカ!ネタバレするなんて最低!私、彼のこと大好きなのに!」と友達を激おこぷんぷん丸にさせた瞬間がありまして

 

「お、おう。いやぁ、ごめんごめん笑」(⌒▽⌒)

 

いやぁ、下ネタ以外にも可愛い女の子から「最低」と言われる手段があるんですね!これは大発見でした。ただね、もしも本当にそのキャラが好きなのであれば、その時に僕自身に余裕があったなら、僕はライムスター宇多丸さんのお言葉を借りてこう言いたかった。

 












そこまで「エンドゲーム」のネタバレに敏感なくらい好きならよう

 






見とけよぉぅ!!!!!!!(怒)

(;´Д`A

 

おかしいだろうが普通によぉぉ!公開から一年以上たってんだぞ!!

 

 

ただその子にはまだネタバレ攻めをくらわせようと思います。また罵られるかもしれないじゃん☆

 



さあ女性とマーベルファンが波のように引いたところで行きましょうか。

 

今回紹介する映画はまさにMCUのメインキャラクターのソーを演じてきたクリス・ヘムズワース主演、製作にはMCUに深く関わっていたアンソニー&ジョー・ルッソが送るアクション映画です。

 



バングラディシュのダッカで麻薬王のアミールアシフはインドの麻薬王オヴィ・マハジャンの同名の息子であるオヴィを誘拐。父親は裏社会の傭兵部隊に救出を依頼。メンバーの1人ニック・カーンは、傭兵仲間のタイラー・レイクを勧誘する。ニックのチームとタイラーによる救出作戦は成功したかに見えたが、思わぬ急襲によりタイラーとオヴィはアミールの兵士、少年兵達に追われることになってしまう。タイラーはオヴィを無事救出できるのか。

 

原題:Extraction

Netflix映画

配信開始日:2020年4月24日

上映時間: 117分

製作国: アメリカ合衆国

 

監督: サム・ハーグレイブ

脚本: ジョー・ルッソ

原作: アンデ・パークス、ジョー・ルッソ、フェルナンド・レオン・ゴンザレス

製作: アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ、クリス・ヘムズワース、マイク・ラロッカ、エリック・ゲイター

音楽: ヘンリー・ジャックマン、アレックス・ベルチャー

撮影: ニュートン・トーマス・サイジェル

編集: スタン・サルファス

 

出演: クリス・ヘムズワース、ルドラクシャ・ジェイスワル、パンカジ・トリパティ、デヴィッド・ハーバー、ゴルシフテ・ファラハニ、ランディープ・フーダー、他

 

 

 

作品を占めているアクションとメインキャラ2人が素晴らしいぶん、その他一部の要素が余計に感じた、という感想ですかね…。いいか悪いかでいえば、断然良い方だしおすすめもできるんですけどね!(ちゃんとフォローをし) ちなみに今作は世界中でもかなり視聴回数が増えているようで続編も動き始めつつある、といった状況。まあ納得です。今、自宅あるいはいろんな場所で気軽にこんな骨太作品が見れるという時点で十分すごいと思います。まだ配信サービスに入っていないという方もNetflixはかなりラインナップがオリジナル作品、旧作ともに充実しているので、ご検討してみるのもアリかもしれません。

 


個人的には今回の作品が発表された時には映像、布陣含めて惹きつけられました。「アベンジャーズ/ エンドゲーム」でマーベル映画制作からは一旦離れると発表したルッソ兄弟が今作の制作、脚本を携わり、そのルッソ兄弟と「キャプテン・アメリカ」シリーズで組んでいたスタントマンが今作で監督デビュー。主演は我らのマイティ・ソーことクリス・ヘムズワース。個人的に特に「お!」となったのが、ニュートン・トーマス・サイジェル。「ドライヴ」の撮影監督です。まあ見るわな!

 


今作の大きな見所の一つはやっぱり、開始から約35分後に繰り広げられる擬似ワンカットアクション。「1917」と同じく別々のカットをつなぎ合わせてはいますが吸いつけられるような、そして不安定ながらも周囲の環境が確認できるカメラワークが緊張感を誘います。「ん?そこ行くの?



行くのか?マジで行くの⁉︎



マジで…

 




行った!!!!!」


というまさにジェットコースターで身を任せるしかないような感覚にさせるアクションの連続です。実際の尺は10分と、短いように聞こえますが見てもらえば分かります。全体のアクションはとりあえずありがとうございますというレベルで確実にショットを決めてくれるので楽しかったです。ワンカットのところが目立ちすぎるところももちろんありますけどね。

本当に最高に慌ただしい10分間。それだけの間に相当死にますからねw

 



監督のサム・ハーグレイブ(今作で狙撃兵役としても出演しています)のスタントの経験も生かしたアクション演出もよかったです。タイラーの弾数を無意識に計算しつつ、休みなくマガジンをさっと投げ捨て、入れ替えるのも含めて見ていて気持ちいいのなんの。そんなアクションの中にも主人公タイラーのキャラクター性、バックグラウンドもアクションで読み取れるように作っているのが大きな魅力だと思いました。例えば、敵マフィアの少年兵たちを相手にするシーン。子供達の攻撃頻度に合わせて徐々に倒し方が乱暴になるのですが、それでも大人を相手にする時とは異なり絶対に殺さない域でちゃんと対応するこのある種の「まだ完全に堕ちたわけではない主人公感」の描き方。まあ痛い攻撃なのには変わりはないんだけどw

 


そしてこの「タイラー・レイク〜」、サム・ハーグレイブ監督の作品ではあるのですが、ルッソ兄弟も今回作品に深く関わっていることもあり作風やアイデアに惹かれて彼らがこの作品に参加したのだと考えるとすれば、今回で僕はやっと「あ、ルッソ兄弟が映画でやりたいことってこういうことなのかな」と気づくことができました。社会的背景のダークな部分で生きる善悪とその世界そのものシステムのサイクルを、同等のバランスで描きたいのではないかな、なんてことを思ったんです。それを示すためでしょう、タイラーや少年オヴィ、そして対する敵組織のリーダー、その子分たちといった戦線の各キャラクターの存在は殺すか殺されるかの非情な世界で縛られた人々のいろんな境遇を象徴しているような設定になっています。で、その麻薬組織で成っているようなシステムを築き上げた根源というのは根深すぎて、そこに慣れてしまったほとんどの大人はただ殺しあう以外に道はないし、そこにいる子供はその大半の大人を見て自然と明るい道からは外れてしまう。嫌なサイクルですよね。



そこに登場するのがイレギュラーな存在、まっさらで純粋無垢なオヴィが入ることで、タイラー、そして見ている側の僕らの心を揺さぶっていくわけですが。本当に場違いとかそんなレベルじゃないくらいに天使のような少年でしたね。このオヴィとの絡みが、タイラーのトラウマを考慮すると、ポジティブな面もネガティブな面も出てきてしまうところが苦かったです。その描写がよく出ていたのが、中盤デヴィッド・ハーバー演じる仲間(仮)の家での、例の一件の後に泣きじゃくるオヴィを抱締めようかどうしようかと困惑するシーン。

そこの映え具合で、格闘シーンだけですでに惚れ惚れしていたのですが、ここで改めてクリス・ヘムズワースってめっちゃいい役者じゃん!としみじみ感じたりもしました。

 

といった感じでですね、この抽象的な世界観表現だけで僕は今作のことは7割方好きではあるんです。

ただですね、上記のような各々のキャラのバックグラウンドにさらにジョー・ルッソのダークな社会のサイクルの思想のようなものが加えられていまして、それらが微妙に組み合わさっていないところがあるんですね。「惜しい!勿体無い!」となってしまったんです。作品全体で悪党の見ていて結構胸糞悪くなるような悪行の終盤、壊滅の仕方に対して、今作を見た方、どう思いました?

 


僕はですね、結構興ざめだったんですよね。「血も涙もない世界でどれだけ希望を持っても結局は儚く…いやそれでも!」というメッセージを記すアクションの傑作って色々ありますよね。「ランボー/最後の戦場」「ローガン」とか。そういった作品群は、全てがスカッと終わるわけではないです、でもそこがいいところだったりもするじゃないですか。それが良くなる理由は、その人間性を失いかけている崖っぷちの主人公が、自分自身の力で、敵の根源を徹底的に潰すまで戦うからであると思うのです。さあ「タイラー・レイク〜」ではですね、そこの部分がかなりあっさりと、しかも他の人間の手によって遂行されてしまう。見た方ならわかると思いますけどあれ、ただの不意打ですからねw 「デス・レース2」でもこういう展開があってすごくげんなりした記憶があります。いや、これもジョー・ルッソは「善を極悪非道な世界で最後まで誰か1人でやりきるのは難しいんだ」ということをもしかしたら伝えたいのかな、と解釈できないわけではないです。


ただですよ、あれだけカーチェイスやって銃撃戦やって、そこでたくさん殺したわけですよ。そんな強大な敵を倒すのに映画全体であれだけタイラーが苦戦していたやつが、あんな簡単に殺れるようなやつだったんだと考えると、少し僕は白けちゃいましたね。監督のアイデアとルッソ兄弟のアイデアに微妙なズレがあったのが、ほんのわずかではありますがたまに途中途中見ていてノイズに感じることもありました。



でも、やりたいテーマは今回僕も理解できたのである説を思いつきました!思想に沿ったストーリーをアクション活劇のカタルシスを理解している他の脚本家に書いてもらって、それをルッソ兄弟に監督させるのであれば、良いものができるんじゃないか、です!「キャプテン・アメリカ/ ウィンター・ソルジャー」とかはその一例ではないでしょうか。あれは本当にナイスなバランスでした。

今作に関してはアクションやキャラクター設定だけで十分見応えのある作品になっていたと思うので、そこの人物描写と格闘のアイデアを膨らませてエンタメ要素増し増しで続編を作るのであれば、「ブレイド2」並みの熱い傑作続編が生まれるのではないかと僕は思うので、

 

期待しております!!!サム・ハーグレイブ監督、もっと振り切って良いですよ!せっかくアクションが最高なのだからそれも込みででなんらかのメッセージとカタルシスを打ち込める可能性は大いにあると思いますから!汗

 


最終評価は71点です。

 



最後まで読んで頂きありがとうございます‼︎

 


というわけですね、ご無沙汰でございます汗 ちょっと最近課題に追われていました笑 またもしかしたら間隔が空くかもしれませんが、可能な限りどんどんレビューは上げていきますのでご自愛ください!

 

次回は、そうだな、ルッソ監督作品、この流れで行ってみますか?行きましょう!

 

では次回は「キャプテン・アメリカ/ ウィンター・ソルジャー」でお会いしましょう!